【傑作】『MATRIX』を見ました!感想です。

本作の採点は、ちょっと特殊な方式を採ります。
やはり、マトリックスは「この題材を1999年に形にした」という所に、あまりにも大きな意味があると思うので、内容そのものの点と歴史的評価としての点で採点します。

MATRIX 91点 +歴史的評価 5点 合計 96点
(5段階評価なら☆5)

【点数比較参考作品】
BACK TO THE FUTURE 99点
ダークナイト     98点
INTERSTELLAR    98点
告白         93点
DARK KNIGHT RISING 93点
2001年宇宙の旅    92点
この世界の片隅に   91点
パラサイト~半地下の家族~ 88点
シン・ゴジラ     88点
カメラを止めるな!  88点
ボヘミアンラプソディー 87点
JOKER        86点
ロッキー1      84点
君の名は       80点
==名作だなと思うライン80点==
シャイニング     78点
えんとつ町のプペル  70点
言の葉の庭      40点


■■■全体としての感想■■■

本作はまさに歴史的・革命的ともいえる映画の転換点…いや、人類の想像力の転換点ともいえる作品。
そんな傑作を今更見たのかお前は!とお怒りの声が飛んできそうですが、
はい…その通りです…。(泣笑)
この映画が1999年に表現した仮想現実の世界は、2021年の現代科学でまさに「人類は仮想現実の中に住んでいる」という定説になりつつあり、特に量子論的な観点から見るとほぼ間違いないんじゃないかと言われている。
多少設定は違えど、この世界(宇宙)の真理に近づく仮説を、当時の人類に先行して作品で伝えた『MATRIX』の歴史的評価は、単なる「映画の出来」だけでは語れない凄さがある。
何となく内容の設定だけは僕は以前から知っていたが、今回この作品を見てみて、めちゃくちゃ楽しめた。2021年でも十二分に楽しめる傑作だと思う。
1999年当時は、映像革命的な視点で盛り上がっていたイメージがあるが、時代が進んで量子論的仮想現実の仮説が一般の人々にも伝わり始めて、改めてこの作品の評価が上がった…という流れになるのかな?
革命的要素を複数含んでいる作品だなんて…本当に凄いね…!!


では、以下はネタバレを含む感想を書いていきますので、まだこの作品を見ていない人は気を付けて!

















では、語っていきます!


■■■気になった点■■■

まずはビミョーだった点から。笑
傑作とはいえ、全肯定で語れるわけではないのだ!笑

・アクションシーンについて。
作中で仲間がネオの格闘の動きを「速い!!」と称賛するのだが…
僕が日頃から格闘技を多く見ているせいもあって…
「全然速くないし、攻撃力も弱そう…」と感じてしまったのは、ちょっと悲しかった。。。
仮想現実の中で「人間に設定されている動きのプログラムの限界を超えよう」としているのだから、格闘シーンの動きは映像を1.5倍速とかにして速く見せても問題ないと思うんだけど、何故それをやらなかったのだろうか…。

・ややご都合主義な展開。
人間のドラマやカタルシスを描くにあたって、「何故彼はそう成り得たのか」という根拠付けは非常に大事で。
本作でいうと、ネオが最後に覚醒するシーン、何故彼は覚醒たり得たのか…という点は根拠付けが出来ていないと思う。
あそこで主人公が覚醒する展開は確かに熱いが、「…なんで覚醒できたの?」という疑問が感情の高ぶりを鎮めてしまう。
「預言者に会ったり、色々あったから、あのタイミングで目覚める事ができたのかなぁ…?」くらいの、曖昧なものだ。
一応目覚める前にヒロインのトリニティーがキスをするが、「キスで覚醒した」なんてバカな設定だったら俺は怒る!笑
 また、他にもサイファーに撃たれたはずのタンクが何故か普通に生きてるし、
そもそもマトリックス世界はAI側がつくった世界のはずなのに、エージェントがマトリックスに干渉できる幅が狭すぎない?とも思う。
…まあ、エージェントがあの世界で何でも出来てしまうと、人間側に全く勝ち目がなくなってしまうから、「あのくらいの設定」にしたんだと思うけど、…ちょっとな。完全管理できるはずの自分の庭で、あれくらいしかできないAIというのは、ちょっとショボい気がする。


■■■素晴らしかった点■■■

・序盤の引き込む展開。
物語が始まって、モーフィアスに会い、仮想現実の真実を見せられるまでの流れは凄まじく素晴らしい!!!
「何?何なの!?どういう事なの!?」と、食い入るように次の展開に答えを求めてしまう。
台詞や語りがさ、本当に上手に焦らしてくるよねぇ…。笑
まんまと嵌って僕はのめり込んでしまいました。

・存在感抜群の預言者おばさん。
この作品のカタルシスは、「ネオは救世主なのかどうか」に集約されていると思う。
作り手的な目線で言うと、どうやったら救世主の目覚めを深く演出できるか…という最も大きな材料に、預言者を使ったんだろうな、と。
大きな目的もなく唐突に「本当の現実」に引き込まれてしまったネオには、敵と戦う理由が乏しい。
そこで本作では「救世主であるか否か」という論点で、周囲の仲間たちはネオとドラマを紡いでいく。
その決定的な役割を果たしてくれたのが、あの預言者のおばさんだ。
「自分を救世主とは思えない」と思っているネオの思考を、そのままにさせたのがあの預言者おばさんだ。
もしネオが「自分が救世主だ」と思って行動したのなら、ネオはモーフィアスのプラグを抜いていただろう。
「救世主は自分だ。自分が生きる事がこの世界を救う事になる。」と。
ネオは「モーフィアスが救世主だ」と思っていたからこそ、彼を助けに行く決断をした。
結果、彼は救世主になった。
このプロットと演出は、あの預言者おばさんの存在があってこそ輝く。
この作品のキーマンだよね。
(…でも個人的には、キーマンがポッと出のキャラで良いのか…?と思う面もある。笑 僕ならヒロインをキーマンにしたいけど…でもそうすると設定そのものを変えねばならぬからゴニョゴニョ…。)

預言者おばさんに会った時の、花瓶の演出がめちゃくちゃ印象的だった。
あのやりとりで一撃で「本物の(信頼に足る)預言者である」という事を分からせているよね。
人間心理を手玉に取るような、巧みな話術も。
あのシーンはちょっと繰り返し見てしまった。


・幻想的かつ荒廃的なビジュアル
世界観描写も素晴らしかった。AIが支配するどこか寒々しいディストピア感が、物語への没入を促している。
2199年だっけ…?の、未来の本当のディストピアの描写も絶望感があって素晴らしかったし、
何よりマトリックスといえば、あの緑の、コンピューターの2進法的な文字の世界。あれの印象が凄い。
映画『MATRIX』が世界に及ぼしたビジュアル・ショックは大きかっただろうな…と。


・人間の五感や思考に疑問を呈す、仮想現実というテーマ
やはり、この作品の最も素晴らしい所は、
「今感じているそれは、果たして現実か?」という疑いを、
作品を見た全人類に投げかける事ができる点だ。
見終わった後に、皆が思うはずだ。
「今、ここは、現実か?」
「現実とはなんだ?」
「何が現実を現実たらしめるのか?」
「もしかして自分のこの意識も、この世界のものではなく…」
等々と、
映画が終わった後も延々と考え続けてしまうだろう。
作品を見ていない時間も作品の事を考えさせることが出来るというのは、
つくり手にとっては目指すべき至高な訳で。
たった2時間の鑑賞の後、自分の人生における思考回路に変革が起こされてしまうなんて…創作物として本当に最高だと思う。
仮想現実というテーマをここまでの形にして人類に提示したこのマトリックスという作品は、歴史的な評価を得るにふさわしい傑作の1つであると思う。


■■■おまけ■■■

つい先日公開となった、『THE MATRIX RESURRECTIONS』、これを見たくて、10月頃から「マトリックス3部作、見ておかねば!」とこの2カ月を過ごしておりました。
そんな中で『キアヌ・リーヴス』という悲し過ぎる聖人のファンになってしまい…ほんと大好きになりました。キアヌ。愛すべきキアヌ…。

レザレクションズも見に行くよ…!
待っててキアヌ!


■■■総括■■■

本作も僕の大変好みな題材の作品故、ちょっと僕の偏重的な採点をしてしまった気がしますが…(笑)、
まぁ、最終全ては好みですしね!!!(開き直り!!)
でも、もし題材が好みじゃなかったとしたら、ちょっと低い点を付けたかもしれない…というのも事実。
やっぱり、ご都合主義を感じないカタルシスを感じさせてほしい…とも思う訳で。
それでも『MATRIX』は、期待した通りの傑作であることは間違いありませんでした!
大好き!!!
次はすぐに『リローデッド』を見ます!!

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