【挑戦的傑作】『TENET』を見ました!感想です。

TENET 91点
(5段階評価なら☆5)

【点数比較参考作品】
BACK TO THE FUTURE 99点
ダークナイト     98点
INTERSTELLAR    98点
MATRIX RELOADED  95点
告白         93点
DARK KNIGHT RISING 93点
2001年宇宙の旅    92点
この世界の片隅に   91点
MATRIX       91点 +歴史的評価加点 5点 合計 96点
パラサイト~半地下の家族~ 88点
シン・ゴジラ     88点
カメラを止めるな!  88点
ボヘミアンラプソディー 87点
JOKER        86点
MATRIX RESURRECTIONS 86点
ロッキー1      84点
君の名は       80点
==名作だなと思うライン80点==
MATRIX REVOLUTIONS 79点
シャイニング     78点
えんとつ町のプペル  70点
言の葉の庭      40点


友人に勧められたり、Twitterで話題になっているのを見たりして、ずっと気になっていた作品『TENET』、ようやく見ました!
「難解」「一度見ただけではよくわからない」などの噂だけは知っていて、僕は結構そういう作品気になっちゃうので、楽しみにしてました!

では、語っていきましょう!



■■■まず、率直に■■■

傑作。こんなアイデアをしっかり形に残せる映画監督が人類にいる事を誇りに思うよ。

基本的に本作は「見ている者を置いてけぼり」にしている。
この作品はもはや、1度の鑑賞で全てを理解する必要はない。そのようにつくられていない。
何度も見返す事を前提につくられている。
ライトな層に評価されようとなど思っていない作品だ。
誰も扱った事のない、誰も表現した事のない、映画界への挑戦。
しかもそれを、破綻させず作品としての形に収めている。
コアな層が圧倒的な評価を下すだろう。

こんな作品を隣に居る漫画家仲間がもし描いてきたとしたら、僕はぶっ飛んで屋根を突き破る勢いで驚くね!
「うわあ!!!君は世界に名を轟かすだろう!!」って。

興奮が冷めやらない。
こんなぶっ飛んだ作品に出会えたのは久しぶりだ。
クリストファー・ノーラン、恐るべし。

しかも、「よくわからない」だけで終わらせない、ちゃんとした感動もある。
それがある事で、「よくわからなかったけど、最後だけはわかった!」と、ライト層も楽しめる、エンターテインメントの基礎・シナリオの基礎は押さえている。
このレベルの監督なのだから、当たり前といえば当たり前なんだけど。
「ただただぶっ飛んでいる作品」にはなっていないという事です。


では、ここから先はネタバレ有りで語っていきます!























いきますよ~!



■■■ネタバレ有りで感想を■■■

この手の作品は、所謂「タイムトラベル」や「タイムリープ」を主題に扱い、過去と現在と未来の繋がりを、伏線の回収と共に受け手(見ている人)に提示する事でカタルシスを呼び起こす手法の類になる。
本作はそれを「エントロピーの減少」という設定を利用して描いている。
タイムトラベルみたいに単純なネタ(設定)ではないので、描くのが非常に難しくなるし、見ている者は非常に理解しにくくなる。
それでもあえてこの作品を形にしたのが凄いと思うし、「他には誰も撮れないだろう。いや、撮る気にもなれないほどの映画になっただろう。」と思う。


ただ、僕も物理学にめちゃくちゃ詳しいわけではないので言い切る事は出来ないけど、
「トンデモ解釈物理学」な部分も結構あるとは思う。詳しい物理学者が見たら「そうはならないだろう」っていう。要するにファンタジーな部分。
つまる所、「このネタで撮ったら面白いんじゃね?」を形にする為に、実際の物理学では考えられにくいファンタジーは作中に存在していると思われる。
例えばガソリン爆発で低体温症になった所。
爆発は爆発だし、炎は炎な訳で、物理学的には「低温な炎」は存在しない筈だから、あそこはファンタジーな部分なのでは?と、個人的には思う。
…誤解してほしくないのは、「ファンタジーがいけない」と言っているのではないのだ!
「物理学に詳しくないと分からない作品…と投げ槍にならず、この作品の面白い設定を十二分に楽しんで欲しい!」という意味で言っているのだ!
「エントロピーが減少すると、そんな事も起こるのかもしれない!」と楽しんでほしい!



こういう時間を遡れる作品の醍醐味は、「実はあれがこうだったんだ!」が様々に描ける事だ。
本作で言えば、黒幕が実は自分(主人公)だったり、
相棒は未来に出会う「あの子」だったり。
その「あれはこうだったんだ!」をこれでもかと言わんばかりに展開に詰め込んで見せてくれる。
主人公と主人公が戦うシーンもその1つだ。
「この設定でやれる面白みは全部出し切ってやろう!」という、ノーラン監督の気概を感じる。
…てか、ストーリーに矛盾なくあれだけ「順行」と「逆行」の交わりを描けるなんて…天才だろ本当に…。素晴らしすぎる…。
アイデアの時点では出ても、ストーリーに合わせようと思うとめちゃくちゃ大変なはず。
それをやってくるのがクリストファー・ノーランなのだな…。
凄いわ。まじで。
…ていうか、自分が好きな映画ランクの上位を、ノーラン監督の作品が占拠し始めている…。
この監督の作品が好きなんだな…僕は。



■■■欠点があるとするなら■■■

最大の欠点としては、人物に感情移入出来ないまま物語の大半が進むので、「そういうもんだ」と思って見ないと、見るのが辛い人も居るだろう…という所。
「何を見せられてるんだろう?」って。
初見で設定を理解させるつもりが無いように、
人物の感情も理解させるつもりは無い作品だ。
「感情移入とか別にいいから、とにかく流れを見ておけよ」っていうような、そういうつくり。
2度、3度と見返すうちに、ようやく人物の感情を追えるようになるんじゃないかな。
こういう、序盤や中盤まで「感情移入出来ない」「目的もわかりにくい」作品って結構あるけど、本作は最後まで見れば「前半辛抱した甲斐があった!」と報いを与えてくれる作品だと思うよ!
それに僕個人としては、この作品は人物に感情移入させるより、「順行」と「逆行」の流れを完璧に描く事の方が大事な作品だと思うので、人間ドラマとしては確かに物足りないけど、それ以上にやってる事の凄さに興奮してしまうので、補って余りあると思う。
そこが所謂「挑戦的な作品の部分」でもあって。
普遍的なドラマを求める人には全く響かない作品であるかもしれない。




■■■総括■■■

本作はぜひ何度も見返してほしい。
きっと初見では気付くことのできなかった沢山の「仕込み」に気付くだろう。
あれも、これも、実は作中で提示されていて、結末を知っている者だけがそれに気付くことが出来る…そんな作品になっているはずだ。
…僕はまだ1度しか見てないけど。笑

正直、作品の3分の2くらいまで見た時点で、「この作品は見ている者に理解させる気が無いのかも…」と思い始めていたので、ちょっとダレながら見ていた時間帯もあった。
…けれど、最後の最後に、「やっぱり最初から見返そう!!!」と思える結末を、この作品は用意してくれている。

初見なので、正直全てを理解していないし、
分からないままの部分を「きっとノーラン監督だから矛盾なくまとめてるだろう」という補完のもと感想を綴っている。
しっかり何度も見直したら、意外と評価を下げるかもしれないし、
見れば見るほど評価を上げ直す作品かもしれない。
あまり僕には時間が無いので、何度も見返せないと思うけど…
でも、見るほど評価を上げる作品になってる気がするな…。笑


『TENET』は挑戦的な傑作だ。
考察が好きな人ほど見て欲しいと思う。
何度も見て、語り合う、そんな作品だ。
僕はこの作品が大好きである!!!

しかしまぁ、時間に干渉出来る系の作品は本当に面白いものが多いよねぇ!
バックトゥザフューチャーもそうだし、シュタインズゲートもそう。
時空を超えて繋がる人の想いって、感動するんだなやっぱり。
僕も描こうかな。笑

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