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ホストマザーとして その1

私は以前学校で子供たちのランチやスナックを作って販売する仕事をしていたので、それなりに多くの子供たちを見てきたつもりだ。その中には色々な国からやってきた留学生もいる。そして、今年はついに自分がホストマザーとして留学生のお世話を家ですることにした。

日本にいた時のホストファミリーのイメージは、ホストでファミリーなのだから(笑)、留学生を家族の一員として向かい入れ、彼らの母親になった気持ちで彼らをお世話する。そんな感じだった。でも、こちらでは留学生が山ほどいるので(現在はコロナの影響で新しい留学生は一切入ってきていません)、ホストをしている人は珍しくはない。そして、常に5人6人と世話をして、それで生計を立てている人もいる。

我が家は母子家庭で、子供三人のうち上二人の息子は既に家を出て独立していて、家にいるのは私と高校三年生の末息子だけ。性格の似ている二人、度々煮詰まってしまい冷戦状態が続くこともあった。一緒に居られるこの限られた時間を、もっと良いものに変えることはできないものかと考えた末思いついたのが、ホストファミリーになることだった。学校に近い場所にある我が家は、以前から何人かの留学生に面倒を見てくれないかと聞かれることがあったので、留学生を見つけることは簡単だった。

学校にその旨を伝え、担当の先生との面談、家への訪問、無犯罪証明書などを提示して手続きは終わる。立地条件も良く、広さにもゆとりがあるので留学生は大変喜んでくれていた。彼は末息子のクラスメイトで15歳になる少し前からNZにいる。年に2回は両親のもとに帰省していたようだったが、今回はコロナの影響で帰国するとNZに戻ってこられなくなるので、初めて長期ホリデー中(夏休み)をNZですごした。

彼はNZが大嫌いだ。良い思いをしたことがないという。彼からこれまでの生活を聞けば聞くほど気の毒になり、彼がNZを大嫌いなのもよく理解できた。まだ14歳の英語が全くできない子供に、そんな態度をよくとれたものだ、家族の一員として招くのが当たり前ではないか!と怒りが込みあがってきた。
私は彼に行った。「ここを自分の家だと思って暮らしていいのよ。でも、家族の一員として迎え入れるから、家族の一員としての責任もあるの。決められた掃除分担などをこなしてもらわないといけないけれど、それでも構わないのならいらっしゃいな」
彼は大喜びだった。私も息子も喜んだ。以前からここは彼のシェルターにもなっていたので、彼のことはある程度分かっているつもりだった。

がしかし、最初に行った私のこの一言が、後で私を苦しめることになるとはその時は全く想像もできなかった。
もちろん、良いこと楽しいこともある。彼から沢山の学びを得られている。でも、毎日のように、このまま続けるかどうかを迷う瞬間がある。

続きはまた明日。

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