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ホストマザーとして その4

ホストマザーとして仕事をするようになってから受けたのは、もちろんストレスだけではない。沢山の喜びもあった。周りの人たちからは折角生活が楽になってきたのに、わざわざ息子をもう一人増やして苦労している、と言われたりもしたが、政府の体制が全く異なる国から来た子供から教えてもらう世界は、文句なしに私にはエンターテイメントだ。
彼はお喋り好きで、ほっておけば2時間はしゃべり続ける。自分の国での学校教育や、異性の話、勉強や、親戚問題、健康上の問題から、将来の夢の話、今日学校であった嬉しかった事、嫌だった事などなど。その子の国、日本、NZと対比して話すのもとても面白い。


彼は一人っ子のせいか、周りに巻き込まれないで自分を貫ける強さがある。どんなに辛くても、留学を打ち切りにしようと思ったことはないと言う。僕は勉強しに来ているから、勉強できればいい。そう言い切る。末息子の学校では沢山の留学生を見かけるが、私はなんとなく出身地(国)によるカラーも感じている。彼の国の子達は目的意識が比較的しっかりあってぶれない。

そのぶれないところを使って、もっと前向きに生活力を付けられないものかとホストマザーは考えた。そうだ!

どんなロイヤーになりたいのかを聞いてみた。見た目も中身もスマートなロイヤー! そこで賢いホストマザーは更に聞いてみた。女の子にもモテモテなロイヤーだね! モテモテロイヤーになりたい!と即答する彼。更に聞いてみた。どんなロイヤーだったら格好良くて信頼されて女の子からもてるのか、そうなるには机の上だけでの勉強では足りない事に気が付く。そしてすかさず提案。私が手伝うから、学んで練習していきなさい。そしたら、既に勉強熱心で、ある程度カッコいい君は更に心身ともに磨きをかけてモテモテロイヤーになる!

感謝の言葉はないが、彼の目は輝いていた。そして更に交渉。後日家賃を少し値上げしてもらうことも了承を得た。

正直言って本当に面倒くさい。シングルマザーで息子が三人いる私は、もうこれ以上子育てをしたいとは思っていなかった。でも部屋は余っているし立地条件もいい。どうせご飯は自分達の分を作っているから一人増えてもそれほど変わらない。それで収入が入るのならありがたい。そんな風にお気楽に思っていた。その想像を崩しまくる毎日だけれども、子供が成長していく姿は私をこの上なく幸せな気持ちにさせてくれる。私も腹をくくった。あと半年、この子と一緒に成長していこう。

ホストマザーの私、頑張る!


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