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アルムナイ・ネットワークが成立する5つの条件+1


一度退職した社員が戻ってきて再入社する、いわゆる「出戻り」。ここ数年の採用難もあり、一部の業種のみならず関心を持つ企業は増えてきているのではないでしょうか。


出戻りのメリットは一般的に・・・

■ 自社のことを知っているのでカルチャーギャップがない(カルチャーギャップがあって退職した社員はそもそも戻ってこない)

■ 在籍していた期間の働きぶりや評価が分かっているので、受け入れる側も安心

■ 自社の勝手が分かっていて社内人脈もあるので即戦力性が高い

■ 自社でも活かせるような他社の知見を身につけて帰ってくる(ことがある)

・・・とされていますが、卒業生たちに個別に声をかけ続けて戻ってきてもらうのは、マンパワー的にもなかなか骨が折れることでもあります。

そのため、出戻りが多い業種や企業はアルムナイ(卒業生)・ネットワークを整備して、卒業生との接点を保ち、ゆるくつながり続ける工夫をしています。

これは単に卒業生たちが有志で自主的に設立するものとは異なり、自社にとって彼らとのネットワークが有益なものであるという考えに基づき、企業としてサポート・関与している点が特徴的です。


ところが、アルムナイ・ネットワークは作りさえすれば上手くいくというわけではありません。アルムナイ・ネットワークが成立し、機能していくためにはいくつかの条件があります。ここでは5つほど挙げてみたいと思います。

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第1の条件は、「一定量のOB/OGたちがいる」ということです。大企業であっても終身雇用が当たり前で(定年退職以外の)OB/OGたちが少ない企業だと、アルムナイ・ネットワークとして運用する必要がありませんので、まずはOB/OG=卒業生たちの人数が多いことが前提となります。

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第2の条件は、彼らが「気持ちよく退職している」ということです。前向きな気持ちで巣立ち、気持ちよく送り出す関係で一旦終えられたかどうかは、今後も自社が求心力を持ち続けられるかどうかを分ける大きなポイントとなります。うんざりする気持ちで別れた会社には、今後も近づきたくはないでしょう。

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第3の条件は、「つながり続ける価値がある」と本人たちが思えていることです。「優秀な人同士、尊敬し会える仲間同士として、今後も関係を保ちたい」という企業や、コンサルティングファームなどでありますが今後も頼れる業務パートナーとして仕事を依頼したい(独立した元同僚にコンサルティング業務を一部業務委託したい)というようなパターンです。

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第4の条件は、そのアルムナイ・ネットワークに「新参者たちの受け容れ姿勢があるかどうか」です。新参者に対してウェルカムでなく、特定の世代ばかりが盛り上がり、いわゆる老人会のようになっているアルムナイ・ネットワークも存在します(もはや訃報しか流れなくなっているようなメーリングリストもあります)ので、アルムナイの継続的発展のためにはオープンな受け入れ姿勢は欠かせません。

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第5の条件は、「古巣企業のサポートがあること」です。卒業生たちが集まりたい時にオフィスのスペースを提供したり、卒業生に向けてホームカミングデーを開催するなど、アルムナイ・ネットワークをうまく機能させられている企業は、意図的・戦略的に支援をしています。

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さいごに、上記の5つの条件に加え、アルムナイ・ネットワークが機能するためには大切なことがもうひとつあると私は思います。

それは、「そこに青春があった」ということです。

心血を注いだ仕事、仲間との協業、思わず泣いてしまうような成功と失敗などがあったかどうか。アルムナイ・ネットワークが機能するためには、卒業生と自社が良好な関係を長期的に築いていくためには、これがすべてのベースにあるように思えてなりません。



#日経COMEMO #出戻り社員に期待すること


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