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いいキャリアをつくる「加減乗除」と「5つの資」


HRアドベントカレンダー2020の企画で楽天の仲山さん「お互いの図解について話そう」ということになりました。仲山さんは僕の図解から、僕は仲山さんの図解からお気に入りを選んで記事にしましょう!という企画です。(仲山さんに書いていただいた記事は↓こちら↓。すごいのでとりあえず読んでください)


仲山さんは楽天大学の学長やら執筆業やら、いくつもの顔をお持ちですが、そのうちの一つとして「きょうの考材」というのをライフワークとして作ってるので、その中から選んでみました。


仲山さんのターン 
"キャリアの加減乗除"


僕が選んだのがこちらです、じゃん。キャリアの加減乗除はじめて見た時「何これ、確かにそうだし分かりやすい」って思いました。出典はこちらの本。ポチっとな。

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20代は「加」ステージ。どういうことにピンとくるか、何が自分の強みを発揮できるか分からない20代のうちは、とにかくやること増やして、できることを増やす。やりたいことが分からない時には、まさにこれ。ちきりんさんの「キャリアのVSOP」で言うところの「バイタリティ」「バラエティ」。

30代は「減」ステージ。自分の得意の芽が見えてきたら、得意でないことを減らして得意を磨きにいく時期。分かる。僕もそうでした。キャリアのハーフタイム(40代前半)までに後半戦を戦うための強みを、前半戦終了までに身につけられるかどうかは大きいですね。

40代は「乗」ステージ。強みを掛け合わせる。僕の場合は「採用」✕「構造化」✕「コンテンツ化」みたいな感じかな。それぞれにおいては何枚も上手の人たちはいるけど、掛け合わせていくとレア人材になるというやつ。藤原和博さんの言う「100人の中で1番のものが3つあったら100万人に1人の人材になれる」というのもこれ。

50代は「除」ステージ。44歳の僕にはまだ未知の領域ですが、なんだか分かる気がします。分業しながら転用していく感じ。レバレッジが効いて生産性が高まる状態。↓以下のような状態↓は、僕も目指すところです。

増えすぎるプロジェクトを抱える中、割り算のイメージで仕事を因数分解して、「自分が強みとする作業を一つやっていると、自分の関わるすべてのプロジェクトを同時進行させられている状態」をつくれるのが 「除」のステージ。「除」ステージでの仕事の報酬は、「自由」。どこで何をしていても、全体として仕事をうまく進めることができるようになるという意味で、自由度の高い働き方ができるようになる。

https://next.rikunabi.com/journal/20180515_d11/


キャリアについては僕も以前、以下のようなエントリを書いたことがありましたが、仲山さんの図解は僕の図解にはなかった「年齢ステージ」の概念があり、とても興味深く拝見しました。僕にとっての図解オブ・ザ・イヤー。パチパチパチ!


僕のターン 
"「いいキャリア」とは"


そして今回、仲山さんの図解を見ているうちに、アンサーソング的に返してみたくなりました。以前の僕の図解「いいキャリア」とはをアップデートしてみたいなと。

ちなみに、アップデート前のものはこちら。シンプルですね。

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要約すると

■キャリアのスタート時点では、多くの人は上段の「資源(自由な時間/体力/新鮮な脳みそ/新鮮な気持ち)」しか持ちえない。

■しかし、これらの資源は加齢とともに衰えゆく時限的なリソースなので、これらが枯渇する前に仕事などを通じて、下段の「資産(専門性・技術/実績/信頼・評価/人脈/お金/いい思い出)」に変えていく必要がある。

■この資源から資産への変換がうまくいくのが「いいキャリア」なのではないでしょうか。

という内容です。


ただし作成してから3年以上経った今にして思うと、↓このような↓疑問が出てきました。

①ここでいう「資産」は、本当は資産ではなく、資産を生みだすための「資本」なのではないか?(例:専門性はそれ自体が資産ではなくて、それを資本として資産を生みだすもの)
→「資本」と「資産」を分けて再整理してみようかな。
②最終的な「資産」とは何か?
→「資産」というものについて、自分なりに考えてみようかな。
ここまで「資」で揃えたからには、ほかにも「資」で表せるものはないか?
→「資源」「資本」「資産」に、新たに「資格」と「資質」を加えて整理できそうだぞ。


ということで・・・


まだまだ僕のターン 
"キャリアにおける5つの資"


↓このように↓アップデートしてみました。文字が読みづらかったら拡大してください。いかがでしょうか ※個人差あり。異論は認めます。


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1つずつ説明していきますね。


1つ目の資 
「資格」



ここでいう「資格」とは、挑戦する資格のことです。やってみたいことがあるとして、就職活動や転職によって、もしくはズバリ国家資格の取得などによって挑戦権を得ること。キャリアのスタート地点ですね。(やりたいことが明確にあるわけでなくても、職に就く必要はあるので、その権利)

構成要素としては、「挑戦の姿勢」✕「努力の質」✕「努力の量」✕「環境要因」。

[ 挑戦の姿勢 ]
やったるでという気持ち(まんま)。まずは掲げる目標みたいなもの。

[ 努力の質 ]
いわゆる「有効努力」。単に一生懸命やるだけじゃなくて、成果が出やすい努力の仕方。

[ 努力の量 ]
いわゆる「量稽古」や活動量。

[ 環境要因 ]
自分の努力を助けたり邪魔したりするアンコントローラブルなもの。
ポジ的:親の後押し、心強い仲間たちなど。
ネガ的:大学なんて行かなくていいよ的な周囲の声など。

この機会を得るステージというのは、ほとんどの場合は10〜20代に集中している気がします(もちろん30歳を過ぎても挑戦は可能ですが、機会自体は少なくなったりします。自ら作らない限り)。



2つ目の資 「資源」 
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3つ目の資 「資質」


仕事の機会を得たとしても、最初から実務で通用する実力を持っていることは少ないのですよね。多くの人は「資源」から始まります。経験はないけど、やる気や体力ならある!という状態です。 ※個人差あります。

[ 仕事に使える時間 ]
家族ができたりすると、仕事にフルコミットというわけにはいかないので、多くの人にとっては若いうち限定のリソース。

[ 体力 ]
これが一番わかりやすい時限的リソース。35歳とか超えると徹夜とかできなくなりますからね(徹夜前提で考えるのがおかしいけど)。

[ 新鮮な脳みそ ]
脳のはたらきも次第に衰えてきます。the老化。認めたくはないけど、無念です。

[ 新鮮な気持ち ]
歳を重ねても新鮮な気持ちを持ち続けることは可能です。ただし、今まで経験してきた世界が広がると、若い頃ほど体験の新鮮味は薄れます。(そうならないように「新しい世界の自己開拓力」は必要ですが、それはまたどこか別の記事にて)


僕らは老います。これら資源は加齢とともに失われてゆきます。そのため、いつまでも資源に頼った働き方はできません。仕事などを通じて、限られたこれらの資源を新たな強み(富を生むための資本)に変えていく必要があります。この変換がうまくいくのが「いいキャリア」だと思います。ドラクエの錬金釜みたいに、素材を元に武器を錬成していくイメージです。


そして、その変換にレバレッジを効かせる(成長に拍車をかける)のが資質です。資質には上述の「自由な時間」以外の「体力・新鮮な脳みそ・新鮮な気持ち」も含まれますが、これらに「成長力」を加えたものが資質です。

[ 成長力 ]
経験からの吸収力、試行錯誤の質と量、要領を掴む力

20代〜30代は、資源を資質によって活かし、資本を得るステージなのではないでしょうか。


4つ目の資
「資本」


少し長くなってきたので、先ほどの図を再掲します。ここまでは、1.資格、2.資源、3.資質について解説しました。挑戦権や働く機会を得て、仕事を通じて若いうち特有の資源を元にして、新たな強み「資本」を得る。

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それでは「資本」には、どのようなものがあるでしょうか。ここでは分かりやすいものを6つ挙げてみました。

[ マインドセット ]
若いうちから既にできあがっている人もいますが、多くの場合は仕事を通じて鍛えられます。働いて成果を出す上での基本姿勢。鍛え上げられたマインドセットは立派な強みです。

[ 思考力・判断力 ]
成功や失敗を繰り返し、良質な振り返りができれば、思考力や判断力は深まっていきます。戦う上で武器は大事ですが「どこで戦うか(戦わないか)」「どの武器を使うか」を適切に判断できることはもっと重要です。

[ 専門性・技術 ]
専門性は陳腐化するとは言いますが、継続的にアップデートしていければOK。

[ 実績・評判・信頼 ]
実績が評判を生み、信頼が積み重なっていく。新しいことをする時には、これらの実績や評判や信頼があなたを助けてくれることもあるでしょう。

[ 人脈 ]
(良質な人脈であれば)人は助けてくれたり、新しい場所へ連れて行ってくれたりします。

[ 資金 ]
いわずもがなのお金。もし人生で新しい挑戦をしたくなった時には資金が必要(信用が十分にあれば資金調達は可能かもしれないけど、すでに資金があるに越したことはない)。

なお、失われゆく資源に対して、資本は蓄積が可能です(お金は使えばなくなるし、ボケたらいろいろ失われるけど)。



5つ目の資「資産」


さいごに資産。資産というとお金のようなイメージがありますが、ここでは「キャリアの目的になりうるもの」として定義してみました。僕らは何のために働くのか?何のために資格を得て、資源を費やし、資本を得るのか。

(まるで、人生の真理のようなものを、人生の縮図のようなルノアール池袋北口駅前店で一生懸命考えましたが、至ってふつうのこたえになりました。でもこれでいいんだと思います)

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あれこれ考えてみましたが、↓このように↓精査・整理できるんじゃないかと思いました。改めて図示します。図中では40〜50代と書きましたが、早い人は30代くらいからすでに資産をゲットしていけるのかもですね。

[ 相互信頼とつながり ]
資本にある「人脈」は活用前提のものでしたが、ここでは活用を前提としない、ただそこにあるだけで価値を感じられるつながりです。これならキャリアの目的になってもいいんじゃないかなと。人生の時間を投資する価値のあるものなんじゃないかなと。

[ 先の人生への希望と安心感 ]
残りの人生に対してポジティブになれるかどうかですね。たとえば、勤め人としてのキャリアが終わったとしても目的を見失わず、明日からも生きていくことが楽しいと思えるかどうか。

[ 人や社会への貢献実感 ]
これがないと虚しいんじゃないかな。誰かを利用して搾取して、世間に顔向けできないことして生きていくのは、さすがに「いいキャリア」じゃないよなと。自分は人や社会の役に立っている(立った)という自己認知は立派な資産です。

[ 自分なりに感じる価値 ]
あとは自分の物差しで価値があると思えるようなもの。他の人と違っていいから、自分なりのこだわりが満たされている状態。

[ 時間的・金銭的な余裕 ]
ヒマということではなく、自分の時間を自分の意思で自律的に使えるということ。いわゆる自由といいます。

[ いい思い出 ]
これだけは「資本」がなくても得られるかも知れませんね。キャリアを通じて、特にすごいことは成し遂げられなかったとしても、それでも自分はあの人たちと働けてよかった、うまくいかなかったけど価値のある経験ができた、あの時は楽しく働けたという、いい思い出。自己満足と言ってしまえばそれまでですが、自己を満足させられるって、すごいことだと思います。


ということで長くなりましたが、僕から仲山さんへのアンサーソング「キャリアにおける5つの資」でした。

いろいろあった2020年。孤独もつながりも感じ、多くのことに敏感で、いろいろ考えた1年でしたね。年末年始、今年や未来の自分に思いを馳せることもあるかと思いますが、この記事があなたの思考の整理に役立てば幸いです。


さいごに、#HRアドベントカレンダー2020 執筆者の皆さん、おつかれさまでした。読んでいただいた皆さん、ありがとうございました。メリークリスマス!よいお年を!いいキャリアを!



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