練習スペース008 IAIGIRI

IAIGIRI「じゃんけん」

出場コメント
【頑張って作りました。】

B:あのー……、いきなりで悪いんだけど、僕物凄くジャンケン弱いんですよね。
  生まれて来てから、今まで勝った事、いやあいこになった事さえも無いぐらい。

A:いやいや、ジャンケンって運に支配されるようなゲームでしょ?
  そんな負けるものかね?盛り過ぎじゃないの?

B:それはまあ、疑うのもわかるけど、本当にそのぐらい負けてるんですよ。
  最近も勝った覚えが全然無いぐらい負けてるなあ。

A:こっちも、最近ジャンケンをした覚えが全然無いぐらいやってないなあ。
  というか、ジャンケンするタイミングそんなにある?

B:たくさんあるよ!それは貴方が印象に残ってないだけ。
  てか、貴方のジャンケンしたことあるかの有無はどうでもいいんですよ。こっちはそろそろ勝ちたいんですよ。

A:ああ、そうですか。なんでそんなに張り切ってるのかわからないですけど。
  そうですね、ジャンケンで負ける理由の一つに、いつも同じ手を出してるというのがあるんだけど……。それは、どうなんです?

B:それは無いなぁ。だって、最近知り合いの東という奴に「暇だからジャンケンしよー」と言って、13連敗してますもん僕。
  13回も同じ手を出す訳無いし、この理論には全く当てはまって無いね。

A:よく東って言う人、13回も付き合ってくれたな。……もしかして、回数盛ってる?

B:盛ってない!盛ってない!東もあまりにも俺が勝たないから、6~7回目の時点でちょっとドン引きし始めてきたんだから。
  僕その時のあの目忘れられない。

A:あーそうなんだ。ところでいきなりだけど、ジャンケンしてくれない?
  私に負け続けて、ジャンケン弱いってところをしっかり証明してみせてよ。

B:本当にいきなりだね。まあ、実際にやってそれで信じてくれるなら別に構わないよ。

二人:最初はグー、ジャンケン……ホイ!ホイ!ホイ!ホイ!

A:……本当だ。取り合えず4連続してみたけど、コイツ全部ストレート負けしてるわ。

B:なんか呼び方から察するに、僕の地位下がってない?

A:ごめん、つい素が出ちゃった。

B:全くもう。ところでなんだけど、なんでそんなにジャンケンに勝てるの?

A:じゃ逆に聞くけど、なんでそんなにジャンケンに負けるの?

B:うっ……。しょうがないじゃん!ただの運ゲーなのに、何故か負けるんだから!

A:三分の一はお天道様に「勝ち」への道に導かれて、その残りの三分の一はお天道様に「あいこ」への道に導かれてもう一度チャンスを与えられるのに、
どうして貴方は残りの「負け」の三分の一を毎回選ぶ?やればやるほど負け続ける確率は段々減るのに、どうして貴方は連続で負ける確率の桁数を増やすの?

B:……狙ってやってないんで、わからないですね。そもそもジャンケンって運じゃん……。

A:まあ、私も勢いで言い過ぎちゃったけど、ジャンケンで負け続けるぐらいで人生そんなに損しないって。

B:いや損した事はあるねー……。一番損した時は、あれは、僕が小学の高学年だった頃の話なんだけど……。

A:随分話を過去に戻すね。

B:運動会でやる係を決める際に、点数とかを記録する「記録係」をやりたかったんですよね。
  で、その係の定員が32名で、やりたいと列に集まってきた人は僕含めて33人だったんですよ。

A:もうこの時点でオチがわかる気がする。

B:ジャンケンで勝った人から抜けていって、負けた人同士でジャンケンをし、
それを何度か繰り返して、最後の負け残った一人を他の係にしようという提案を先生がしたんですよね。

A:で、最終的に貴方が残ったんでしょ?

B:最初の何人かで分かれてやったジャンケンで負けて、その負けた人同士で集まり、さらにそこでもジャンケンに負け続け……

A:で、最終的に貴方が残ったんでしょ?

B:そしてついに残りの二人になったんですよ。これで負けたら、「荷物係」になるんですよね。

A:ぐだぐだ言ってるけど、最終的に貴方が残ったんでしょ?

B:……はい。今までジャンケンに負け続けてきた中で、これが一番ダメージを受けましたね。だって33人中のビリですよ!?
  この件で、僕がジャンケンに勝った事の無い真実味が、ちょっとは増してきたと思うんだけど。

A:まあ、さっきよりかは。
  てかそれはそれでそう考えると、その悔しさをバネにせず進歩もせずに、未だにジャンケンで負け続けているんですか?

B:うっ……。しょうがないじゃん!ただの運ゲーなのに、何故か負けるんだから!

A:はいはい、ごめんなさいね。

B:後、その出来事の他にも、友達と「鬼ごっこ」や「かくれんぼ」とかして遊ぶ事があったんですけど、毎回ジャンケンで鬼を決めるんですよね。
  それも毎回僕が負けて鬼になるので、友達からは「遊びの鬼」とよく言われてましたね。

A:「○○の鬼」って表現確かにあるよ。けどさ、言葉の使い方が違う!
  ……でもまあ、複数人ならさすがにストレート負けは無かったでしょ?

B:………………。

A:うっそ、マジかよ。信じられねえ。

B:……あっ、そうだ。ズルいけど、いい方法考えた。ちょっとジャンケンやってもらってもいい?

A:いいけど、どうせ何も対策してないんだから負けるでしょ。

二人:最初はグー、じゃんけんぽい!

A:貴方パーで、私チョキか。やっぱり私の勝ちだな。

B:ちょっと待って。

A:何さ?

B:あのさ極論になるかもしれないんだけど、パーで人を殴るとビンタになり相手は凄く痛がるけどさ、チョキで叩くと自分の指が折れて痛いだけだよ?
  だから僕の勝ちでいい?

A:じゃんけんに物理を出してくるとは凄い大胆だな。でも、そこまで言われるとなんとなく負けた気がする……。

B:でしょ?この調子でもう一回しよう。

二人:最初はグー、じゃんけんぽい!

A:貴方チョキで、私グーか。やっぱり私の勝ちだな。

B:ちょっと待って。

A:何さ?

B:あのさまた極論になるかもしれないんだけど、チョキで写真に映るとピースになって楽しさが伝わるけどさ、グーで写真に映る人なんか見たことないよ?
だから僕の勝ちでいい?

A:じゃんけんに写真映えを出してくるとは凄い大胆だな。でも、なんかそう言われてもなんとなく負けた気がおきないな~。

B:どうしてさ?

A:貴方のやってる事、単なる負け犬の遠吠えじゃん。それで勝った事にしておいて嬉しいの?

B:……いえ、全然。

A:そうだよね。やっぱり実力で勝てた方が絶対にいいよね。理論で揚げ足取っても虚しいだけだよ?
  ああ、そうだ。いい事思いついたんだけど、そんなに負けるんなら心理戦とかどうよ?「私はチョキを出します。」とか言って相手を動揺させるの。

B:例えば、さっき貴方が言ったように「チョキを出す」と僕が相手に対して宣言したら、相手はそれを信じてグーを出す。
  それで僕がその裏をかいて、パーを出せば僕が勝てるって事でしょ?

A:そうそう。相手を揺さぶって動揺させるんだよ。

B:でも、もし相手に「チョキ出すと言っておいてそのまま素直にグーを出したら、アイツに裏をかかれてパーを出してくるかもしれない。」と思われて、
  相手がチョキを出したら僕負けるかもしれないよ?

A:ごめん、そこまでは責任取れないわ。

B:さらに、もし相手に「チョキ出すと言っておいてそのまま素直にグーを出したら、裏をかかれてパーを出すかもしれない。
  だからチョキを出したら勝てると思いきや、アイツはここまで自分の心理を予測してグーを出してくるかもしれない。」と思われて、
  相手がパーを出して来たら……

A:ごめん、もう面倒くさいわ。無限回廊妄想はやめてくれないか?
  ここまで被害妄想で追い詰められるなら、心理戦も向いてないわ。

B:じゃ、どうすればジャンケン勝てるんでしょう?

A:じゃ、もう人間相手は無理として、機械なら貴方でも勝てるんじゃないの?
  たまにゲームでジャンケンができるものとかあるじゃん。それで目押しすれば、貴方でも勝てると思うよ。正攻法じゃないけどね。

B:いや、それも無理だったんですよね。ゲームセンターにジャンケンができる機械が置かれてあったんですけど、
  一向に女の子の服を脱がせられないんですよね……。

A:じゃんけん全然勝てないのに、野球拳やるのかよ。

B:あっ、そうだ!機械に心理戦を仕掛けたら、こんな僕でも服を脱がせられるかもしれない。

A:機械に感情なんてあると思います?もう貴方が服を脱げばいい話じゃない?
何だろう、こんなにもジャンケンが弱いと思って無くて、もはや何の取柄もないんじゃないかと思い始めてきたよ。

B:あっ、そうそう。ゲームで思い出したんですけど、
  双六をテーマにしたゲームって色々あるじゃないですか。僕サイコロを思いの通りに止める事ができて、スムーズに勝負を進める事ができるんですよ。もはや圧勝。

A:なんで目押しでも、3分の1のジャンケンは駄目なのに、6分の1のサイコロだと上手い事いくのかわからない。

B:特に、チンチロリンでピンゾロが決まって、ストレートで女の子の服を脱がせたのは最高だった!

A:なんだよ!18分の1かよ!なんでアンバランスな実力を持ち合わせてるんだ!後で、そのゲーム教えろよ!
  ……とまあ、お前はゲームの双六では誰にも負けない程の強さを出せるが、ジャンケンではRPGのスライム以下の弱さだって事が、よくわかった。
  もう諦めて、サイコロと共に生きてくれ。

B:……うーん。もうジャンケンが勝てない事について語りつくしたけど、このまま負けっぱなしで漫才終わるのは心残りだな。

A:……よし分かった。最後に貴方が勝って漫才を終わらせよう、ジャンケンでな。ちなみに私は、「チョキ」を出す。これは必ずだ。

B:へえ!僕に有終の美を飾らせてくれる訳か!よし、わかった!行こう!

二人:最初はグー、ジャンケン……

A:(チョキ)

B:(パー)

A:…………。コイツが私の事をどう思ってるか、心の底からよく分かったよ。あんまり信頼してないと……。

B:…………。あ、ありがとうございましたー。

A:あっ!勝手に終わるな!いい加減にしろ!


・【点数と感想】

11点

一番面白い【グーで写真に映る人なんか見たことないよ?】

読みやすく、分かりやすいです。
オチがめちゃくちゃ好きです。
オチはこれ以上無いオチだと思います。

普通の会話過ぎかなと思いました。
もうちょっと漫才らしくボケ・ツッコミしてほしかったです。
自然な雑談のような漫才師もいますが、
それを台本で見せても難しいと思います。
シンプルな台本ほど、
演者の表現力に掛かってくると思うので。

『18分の1かよ!』とありますが、6×6×6だったような気がします。
このあたりは自信が無いので、あんまり強く言えませんが、多分、です。


・【お便りのコーナー】

投稿有難うございます。

IAIGIRIさんは日常の延長線上というネタよりも、
発想を飛ばしたネタのほうが、
面白い傾向が(今のところは)あると思います。
無いモノを作ることが巧いというか。

勿論、作りたいネタがたくさんある場合は、
いろんなジャンルを書いたほうが絶対良いですが、
もしネタ作りに詰まった時は、
自分にまず無茶振りをして、そこから
それを成立させるために作ってみる、
という形で作ってみても楽しいかもしれません。
それで上手くいくかどうかは一切責任持てないですけども。

無責任に青西瓜が喋るだけの
練習スペースをまたよろしくお願いします。