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個人事業と会社法人の違い。選び方とは?

開業前に考えておきたい、ビジネスの“器”の話

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ビジネスを立ち上げる際、まずはどのような"器"で事業を行うのかを選ぶ必要があります。

一般的な事業の器が、「個人事業主」と「会社法人」。この記事では個人事業主と会社法人の違いを4つのポイントで比較し、どんな方にどちらの形態が合っているのかをオススメいたします。

1.設立コストの違い

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個人事業主と会社法人、それぞれを設立するためにどのようなコストが必要になるかを確認してみましょう。

個人事業主になるためには、納税地の所轄税務署に対し、以下の書類を提出する必要があります。

・開業届
※この他、必要に応じて青色申告承認申請書、給与支払事務所等の開設届出書等の書類提出を行う場合もございます。

上記の提出、手続きに関して費用の負担は不要です。

一方法人設立はどうでしょう? 株式会社を例に考えてみます。

・登記申請書
・登録免許税の収入印紙を貼付した台紙
・登記すべき事項を保存したCD-R
・定款
・取締役の就任承諾書
・払込証明書
・印鑑(改印)届出書

※この他、必要に応じて青色申告承認申請書、給与支払事務所等の開設届出書等の書類提出を行う場合もございます。

必要とされる書類・資料の違いは一目瞭然ですね。資料が多い分、手続きの手間は法人設立のほうが多いと言えるでしょう。

さらに、株式会社の場合は法人の登録免許税(15万円)、定款認証手数料(5万円)などの費用がかかります。

比較的設立費用が低い合同会社の場合でも、10万円ほどの費用が必要となります。

設立コストの観点では、手間・費用の上でも個人事業主のほうが有利だと言えます。

2.責任範囲の違い

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個人事業主と法人では、業務における責任の範囲も変化します。大きく分けて、個人事業主は無限責任会社法人(合同会社・株式会社)は有限責任です。※合名会社と合資会社は無限責任の法人形態です。

もしもビジネスが行き詰まり、1億円の借金を残してビジネスを畳む場合を考えてみましょう

個人事業主であれば、ビジネスを畳んだあとも、経営者個人が残った1億円の全額を払う責任を負います。これが無限責任です。

一方、会社法人の場合、会社がなくなれば、創業者や株主が出資した金額はなくなってしまいますが、残った借金1億円の返済義務は発生しません。出資額までしか責任を負う必要がないので、有限責任と呼ばれているわけです。

ただし、融資を受ける際に金融機関が経営者の個人保証を求めることがあります。その場合は経営者個人も債務に対して責任を持つことになりますので注意が必要です。

3.税金の違い

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個人事業主と会社法人では、支払うべき税金の種類が異なります。

個人事業主の主な税金

・所得税
・個人住民税
・個人事業税
・消費税

会社法人の主な税金

・法人税
・法人住民税
・法人事業税
・消費税

名称の違いだけでなく、税率のテーブルにも違いがあります。

個人事業主が支払う所得税率は、課税所得に応じて5%〜45%まで幅があります。

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所得税の速算表 国税庁HPより

一方の法人税率は、資本金や所得に応じて15%〜23%所得税に比べると範囲の幅が狭いのがわかります。

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普通法人の税率 国税庁HPより

つまり、課税所得が低いときは個人事業主のほうが税率が低く、課税所得が一定以上になれば法人のほうが税率が低く有利になるわけです。

4.社会的信用の違い

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他者との取引や銀行からの融資を考える時、重要になってくるのが信用です。

一般的には、会社法人のほうが社会的な信用は得られやすいとされています。会社を設立すると、登記情報などを公開する必要がありますので、情報の透明度という観点で、個人事業者よりも安心感を持ってもらえます。

とはいえ個人事業主でも銀行融資を受けることは可能ですし、あくまでも相対的な違いであるとご認識ください。

結局どっちがいいの? 計画や状況に応じて考えよう

個人事業主と会社法人にはそれぞれ違いがあり、一概にどちらがいいとは言い切れません。

まずは小さくスピーディーにビジネスを立ち上げたいのであれば、設立コストの低い個人事業主がよいでしょう。

もしも最初から大きな借金を行って事業をスタートさせるのなら法人設立を検討してもよいかもしれません。

たとえ個人事業主からスタートした場合でも、売り上げが伸びてきて税率が気になってきたら法人化を検討してもいいですし、新規取引先が「法人相手じゃないと取引できない」と言ってきた場合も同様です。

あなたが何を優先し、現在何が必要とされているのか、計画や状況を踏まえてご判断ください。

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