[創作]グータンヌーボ的な三者怪談

登場人物

オイワサン
クチサケオンナ
ロクロックビ

司会:
グータンヌーボ的な会合より、日本を代表する、例(霊)のお三方にお集まり頂きました。

オイワサン『初めまして。腫れていない方の目をレーシックで回復したオイワです。宜しくお願いします』

クチサケオンナ『人の悪口は口が裂けても言いません。クチサケオンナと申します』

ロクロックビ『こんにちは。こんなに首が長いのに最近、会社をクビになりました。ロクロックビと言います』

司会:
では、最近あったこんなことトークをお願いします。

ロクロックビ『私、冒頭で言ってしまいました。すみません』

クチサケオンナ『会社をクビに。それは、お辛いわね』

オイワサン『お仕事中、首はどうされていたんですか?』

ロクロックビ『畳んでました』

クチサケオンナ『まぁ、工夫なさって、いたのに』

ロクロックビ『えぇ、皆の邪魔にならないようにしてたんですが。ある日、新入社員の歓迎会がありまして、遠くにあったビール瓶を取ろうと手を伸ばした際に首も一緒に伸びてしまいまして』

オイワサン『なんてこと!』

ロクロックビ『入社して5年。会社にも首が長いことを伝えてなかったものですから、皆ビックリして。首も畳まず慌てて外に飛び出したら、通行人の方に動画を撮られTik Tokに勝手にアップされまして。そして、バズっちゃいました』

クチサケオンナ『ん?結果オーライって話かしら?』

ロクロックビ『いえ、そうではないのですが、、、私ばかり話していますね。クチサケオンナさんは最近いかがですか?』

クチサケオンナ『そうですね。最近マスク生活じゃないですか。ですから、一年中マスクしてても、あまり不思議に思われないというか』

オイワサン『たしかに。私も腫れた目に眼帯してても社会に溶け込みますもん。コスプレイヤーみたいって言われて』

クチサケオンナ『ですよね。だから、あまり驚かれないというか。夜中に背後から近づいて、後ろを振り向かれても、"あっ"ていう軽いリアクションで。私が距離感バグっている人くらいの認識で終わってしまうんですよね』

ロクロックビ『それは、お気の毒』

クチサケオンナ『この間、いい距離感で背後についた際、男性だったんですけど。相手が振り向き"何かご用ですか?"と尋ねられた時があって』

オイワサン『チャンス到来ですね』

クチサケオンナ『そう。"私のことキレイ?"って言ったのですが』

ロクロックビ『よっ!待ってました』

クチサケオンナ『そしたら、"はぁ?"って』

オイワサン『うん?どうしました』

クチサケオンナ『イヤホンをしていて聞こえなかったみたいで。"はぁ?"って』

ロクロックビ『文明の利器に阻まれましたか!』

クチサケオンナ『そう。でも、もう引き下がれなくて"これでも~?"ってマスクを外したのですが。そしたら、、、』

オイワサン『そしたら?』

クチサケオンナ『そしたら、その男性。"こういうご時世なんでマスク外さないでもらいます?あと、口紅。唇からはみ出てますよ"って』

ロクロックビ『ご時世にも阻まれましたか!』

クチサケオンナ『そう。口紅、はみ出てますって。口が避けてるんですけどね。そもそも、私のこと知らないみたいで』

オイワサン『分かります。もう、私たちのこと知らない年代に突入しているんですよね。私も驚かせようと思ったら"いい眼科紹介しましょうか?"って言われたことあります。それで、片目だけレーシックしたんですけど』

ロクロックビ『私も分かります。驚かせようと思ったのに、バズらせてっていうのが結構ありまして。私たちのことを知らない、忘れられたって言うことが、今、一番怖いことですね』

オイワサン『確かに、それが恐怖ですね』

クチサケオンナ『確かに。時代の流れを感じますね』

司会:
昔、"怖い"で一世風靡したお三方のお話、深かったですね。来週は、フランケンシュタイン他、、、字面似てますけど、お笑いの方ではないですよ。また来週~。

(おわり)

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