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極私的バリ島ブックマーク ー寺院&芸術編ー

2000年代初頭よりバリ島に通いはじめてから20年。
バリに行くという友人知人にオススメの場所や店をリストにしてメールで送りつけてはドン引きされていたテキスト。
加筆修正し続けて、気づけばかなり長大な一大叙事詩のよう。
バリへ旅する人に役立つよう、ここに公開してお焚き上げします。

今回はあまたある観光地の中で実際に行ってよかった寺院と美術館、バリ舞踊公演とバリ島では切っても切り離せない宗教と芸術を知ることができる場所をご紹介。
やや行きにくいところもあるけれど、日本語ができるガイド兼ドライバーを派遣してくれる日本人向け代理店もいくつかあるので、そこにガイドを依頼するのがおすすめ。
※2023年3月現在の情報です。

寺院

バリ島に無数にあるバリヒンドゥーの寺院。
まだ多くを見たとはとても言えないけれど、行くと心が洗われるような気持ちになれる寺院にいくつか出会うことができた。
寺院はバリの人たちが深く信仰するバリヒンドゥー教の神々が祀られる神聖な場所。必ずルールを守って見学しよう。
まず、寺院に行くときは必ずサロン(腰に巻く布)と帯を身につける。観光地化していることろは入り口で貸してくれるけど、持参するのが確実。宿のスタッフやガイドさんにお願いすれば貸してくれるはず。
また、寺院内で肌を露出するのはあまりよくないので、ノースリーブなどは一枚羽織るようにしよう。
生理中や出血をともなうケガをしているときは立ち入れない。
観光地化しているところは入場料があるけれど、特にない場合、境内に募金箱があるので、そこにお金を入れよう。寺院は基本村の人たちの相互扶助で維持しているので、ぜひ寄付をお願いします。

ティルタエンプル

中部タンパクシリンにある聖なる泉が湧く寺院。
寺院の奥にはこんこんと湧き出る美しい泉があり、その水が引かれた沐浴場がある。バリの暦の上で特別な日は多くのバリ人が沐浴とお祈りに訪れる。
美しい泉や沐浴場を眺めていると、バリヒンドゥーが「水の宗教」と言われるのがよくわかる。

2度ほど沐浴したことがあるけれど、どちらかというと滝行

パサールアグン

バリ島でいちばん標高が高い場所にある寺院。
バリヒンドゥー教の「天界」「地上界」「地下界」といった世界観が交わる聖地とされている。
ガイドブックにはほとんど載っていないので、観光客が訪れることはあまりない。お土産屋や物売り、ガイドもいないので落ち着いて見学ができる。
標高1500mの場所にあり、急な山道をぐるぐると車で上ってゆく。(車酔いに気をつけて!)この道中でだんだん植物の種類が変わってゆく様をみるのもおもしろい。
境内は雲に囲まれて、アグン山山頂が間近に見える様はまさに天空の寺院。
静謐な空気の中で眼下に広がるバリの風景と流れる雲を眺めていると時間を忘れてしまう。
数年前、アグン山の噴火で寺院全体に灰がかぶってしまったようだけど、今はアグン山トレッキングのスタートポイントとして復旧している模様。(事前に状況を確認しておこう。)
標高が高く肌寒いので羽織るものを持っていこう。

雲間からアグン山の山頂が間近に見える
雲に囲まれた境内

タナロット寺院

バリ島中部、クタやスミニャックの西側の海沿いにある、バリ島観光で1、2を争う超有名寺院。
海の中に浮かぶ巨岩の上にある寺院はほかではなかなか見られない。
干潮のときは岩のふもとまで行くこともできる。
サンセットスポットとしても有名で夕方に行くと、寺院の後ろに夕日が沈み、夕焼けをバックにした寺院のシルエットが美しい。
バリがインド洋という広大な海に浮かぶ小さな島であることを実感できるスケールの大きな場所。
ちなみに、サンセットケチャでも有名。(見たことはない)

干潮のときは寺院の間近まで行くことができる(寺院には入れない)
インド洋に浮かぶ船のような
寺院のシルエット

ランプヤン寺院

東部カラムガッサムの山の中に点在する8つの寺院のから成る複合寺院。
中でも有名なのはふもとにある寺院。
境内からアグン山がどどーんと見える風景は圧巻。
私が行ったのはけっこう前なので、静かな寺院という印象だったけど、近年はSNSで映えスポットとして有名になったらしく、かなり人が多いそう。
記事を書くに当たりあらためて調べたら、撮影待ちの整理券を渡されると知り戦慄!
なので、景観は超おすすめだけどなんだかなあと思ってしまったことを書き添えておきます…。

自撮りしてる場合じゃない!
圧巻の景色をただ眺めるべし。
彫刻が美しい階段


芸術

バリ島の中でもウブドは芸術の村として知られ、伝統的な絵画や彫刻などを展示する美術館や、実力のある舞踊団が多くある。
その中でも私が好きな場所を紹介。

アルマミュージアム ARMA (Agung Rai Museum of Art)

ウブド中心地の南、プンゴセカンにある美術館。
敷地が広く、コレクション数も多いので見応えがあり、1日いても飽きない。
古典絵画から西洋絵画の技法が取り入れられたバリルネサンス以降のさまざまなスタイルまで、バリ絵画の変遷を見ることができる。
中でも見どころは、バリ島芸術の父と言われるドイツ人画家ヴァルター・シュピースの絵画「チャロナラン」。
バリの美しい風景を多数描いてきたシュピースだけど、バリに残されているのはこの絵1枚だけ。

敷地内の庭も見どころのひとつ

Setia Darma House of Mask and Puppets

ウブドのはずれ、マスにある仮面と人形の博物館。
バリの芸能で使われる仮面や影絵人形などが一同に展示されている。
さらに、インドネシア各地の影絵人形や世界各地の仮面など、盛りだくさんの展示は圧巻。
入場は無料だけど、寄付箱があるはず。私設の博物館なのでぜひ寄付を!

様々な演目の影絵人形が展示されている
珍しいキリスト教モチーフの影絵人形
演目を見てみたい

ティルタサリ

ウブドではさまざまな場所で地元のガムラングループによる定期公演が行われているが、最初に見てほしいのがティルタ・サリ。
20世紀最大のバリ舞踊演出家、グデ・マンダラ氏が創設した歴史あるグループ。世界各地で公演した実績を持ち、実力のあるダンサーと演奏家が所属している。
特にすばらしいのがプリアタン・スタイルのレゴン・ラッサム(レゴン・クラトン)で、踊り手の繊細かつダイナミックな動きはバリ舞踊の神髄と言える。
公演は毎週金曜の夜にプリアタン村のバレルンステージで行われる。

歓迎の踊り、プスパ・メカール
レゴンラッサムのチョンドン(女官役)
動きが速いので顔と手だけぶれている

まとめ

この記事を書いてみて、あらためてバリヒンドゥー教という宗教が見事な芸術を生み出したんだと再確認できた気がする。
神々や祖先の霊に最良のものを捧げるための努力と鍛錬の結晶である芸術をバリ島では今も見ることができるのだ。
バリの寺院や芸術は大きな観光資源でもあるので、私たち旅行者は比較的気軽に見ることができる。けれど、寺院も芸術も本来はバリの人たちのものだと思う。
だから、その土地で暮らす人たちが心から大切にしている場所をおすそ分けしてもらっているという気持ちで、どうかマナーを守り、敬意を持って訪れてほしい。そうすることで、見えて来るものがたくさんあると思うから。

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