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ありがたい

 ぽつぽつと出勤しながらのお盆休みも後半戦。前半は今年の新婚夫婦と去年の新婚夫婦が入れかわりで帰省。タブレットに結婚式の写真を入れて、みんなでスライドショーを眺めた。その翌日に義姉の家族が大きなレンタカーで実家に帰省。甥の子供たちが会うたびに成長していく様が微笑ましい。次の日は妹の嫁ぎ先に新盆の挨拶。ちょっと前までは、こうした一連の行事を義務的に捉えて、つつがなくこなすことを考えていた。その間は休みではないとも。最近、ようやく少しずつだけれど、一つ一つのことを楽しめるようになってきた気がする。こういう営みが当たり前ではないことを、頭では分かっていたけれど、やっと心から実感できるようになってきたというか、何しろありがたいことだ。ありがたいとは有ることが難しいと書くのだからして。
 妹のところへは兄と日時を合わせて行った。今年はよくお葬式で兄に会う。帰省した孫が家の脇を流れる用水路に興味をもって眺めに行ってしまうので気が抜けないと話していた。その用水路は、実家の東側に自分たちが大きくなってから田んぼの区画整理で作られたものだけれど、それ以前から家の西側を流れる細い水路があった。昔はそこで野菜や釜を洗ったりしていて、時々は珍しい魚が迷い込んできたりもした。小さい頃、その流れを眺めていたら、兄か従弟にふざけて背中を押されて落ちた。すぐに助け出されたけれど、その瞬間に見たぶくぶくと気泡が立つ水中の光景を覚えている。考えてみると、今は子供たちが危ないことをしないようにずっと気にかけているけれど、自分たちの頃はいつも子供だけで過ごしていた。夕方の釣りは兄と一緒のことが多かったけれど、一人でもよく行った。途中の畦道には蛇がいたし(シマヘビで向こうが逃げたけど)、釣りをする土手は斜面で滑りやすかった。でも親に行くなとは言われなかったし、多分子供の遊びを気に掛ける余裕もなかったのだろう。今と昔とどちらがいいのか分からないけれど、ちょっとした違いで大変なことになる危険性もあったあまたの出来事をやり過ごして、今こうしていられることだけで充分奇跡的でありがたいことなんだろう。
 概ね予定も済んでようやく本でもと思っていたら、どうやら台風がくるらしい。そうは問屋が卸さないって感じ?Uターンへの影響が心配だけど、何とか本が読める程度で過ぎてほしい。去年が暑すぎて米が品薄とのニュースもあるけれど、田んぼの稲には既に緑の穂が出揃っている。こちらも台風の影響が懸念されるけれど、それを乗り越えてあとひと月もすれば稲刈りが始まって新米が届く季節。すべてはありがたい自然の営みだ。

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