あおりんごの呪詛

アイドルとブルーハーツと夏目漱石が好き。YMS(≒ワーキングホリデー)でイギリスにいた…

あおりんごの呪詛

アイドルとブルーハーツと夏目漱石が好き。YMS(≒ワーキングホリデー)でイギリスにいた(2021.6~2023.5)。

最近の記事

図書館の話(独学者のたわごと)

初めて手に入れた自由は図書館だったかもしれない。 小学生の頃、市立図書館の予約制度を覚えた私は、猛烈に本を借りた。館内の端末で蔵書を検索し、予約。用意ができたと電話が来るなり、自転車を飛ばして借りに行く。このやり方でズッコケ三人組全50巻を読破した。 総合の授業で地域の人に取材しなければいけなかった時には、図書館職員に話を聞いた。「うちは小さな館だから、利用者のための閲覧席を増やせないのが課題」と言っていたことを覚えている。 中高生の間は、自習室として図書館を利用していた

    • あんなに怯えてたあの日の事を忘れてしまうの?

      国に帰ってきた。視界の隅まで、何が起きているのか分かった気になれる土地で、学生のころ着ていた服をちょっと地味に着こなして、私の知ってる言葉で私を褒めてくれる人たちに囲まれて。文脈0の土地で向き合った醜い感情は、縫合され癒えていく過去と現在の下で、冷えて固まりつつある。 就活をしたり、アルバイトをしたり、勉強をしたりした。金を稼ぐこと、学びたいことを学ぶことに何の疑いもなかったから、シフトとレポート締め切りとで飛ぶように過ぎていく時間を、いつもみたいに恐れることはなかった。

      • ふらふら

        永久機関のような町、家、建物が好きだ。 中学生の時に移り住んだ町が、私は大嫌いだった。人が住むには不自然すぎる北向き斜面。そこに何百もの家が蔓延っている。本屋が消えスーパーが消え、マンションとバイク屋と美容院だけが増えた。「川沿いは昔田んぼだったから、あそこの建売住宅はいつか大雨で全部沈むのよ。」その町に高校生の時に移り住んだ、私の母はそう言っていた。 成人し、小学生まで住んでいた町を訪れた時、その変化の無さにゾッとした。駅前の意味不明オブジェも、通学路のピアノ教室の看板

        • 不器用さを自覚すると沁みる人

          「なんとなく」が苦手な者なりの、ストレスのない暮らし方。 それは「全て決めてしまう」ことだ。 歯ブラシを変える頻度とか、衣替えの日付とか。「なんとなく汚れてきたから」「なんとなく寒くなってきたから」は苦手だ。そんなの気のせいな気がするし、そんな気まぐれで期間が長くなったり短くなったりするのが気持ち悪い。 この習慣は、いかにも「頭の固い人」という感じがするので、あまり人には言いたくない。なんなら少し前まで、自分の頭の固さを認めたくなくて、決めることを避けていた節もある。し

        図書館の話(独学者のたわごと)

          きれいごとのベクトル

          今度こそ自分に打ち克って、痩せてやりたいと思う。 痩せなくたって、華やかな色を好きに着こなしている人たちがいるじゃないか、と思う。 もっと勉強せねば、と思う。 書を捨てて、この地でしか見られないものを見に行けよ、と思う。 どこかで見聞きした悪気のないきれいごとたちが、頭の中で四方八方に響き渡っている。 その真ん中で、私の本質は、途方に暮れて無力にへたり込んでいる。 ロンドンで出会った人に、「芯のある人だ」と言われた。私はまだそんな風に人をごまかせているのか、と思っ

          きれいごとのベクトル

          映画コース終わりました

          6週間のドキュメンタリー制作コースが終わった。 何にも楽しいと思えなくて、ほかに見つめるものがないから仕方なく自分を見つめていたそれまでの生活から、打って変わってのカラフルな嵐のような時間だった。 あまりにも大切だったその時間を、少し丁寧に振り返ってみる。ひよっこにはけもの道に見えるありふれた旅路に、しばしお付き合いください。 最初の壁はテーマ決めだった。 最初の2週間で、受講者は個人でテーマを定め、プレゼンをする必要があった。そのプレゼンを見て実際に撮影するテーマを

          映画コース終わりました

          認めてあげなくちゃ

          将来不安だなーとか、幸せになりたいなーとか。全人類を絡めとる欲求に、私ももれなく足元をすくわれている。 不安に目がくらんで、お金欲しいな!とか、結婚しといたほうがよさそうだな!とか、普通に思ってしまう。あられもないけど、思ってしまうんだから仕方ない。 でも分かっている。年収や世帯は本質じゃない。この不安の本質は、「この先にいる私は笑えているのか?」である。 笑えているなら、形式は何でもいい。貧乏でも、一人でも。自分で自分の人生を認められるなら。 そんなこと、私が言うま

          認めてあげなくちゃ

          (一旦)決め(てみ)た

          「仕事以外に何か私を説明するものを持たなきゃ、消えてしまいそうだ」 「時間を忘れるくらい好きなものなんて何もない。そんな私でも、図々しく何かを選ばなきゃ」 「いつまでたっても英語が話せない。人と話さざるを得ない環境に身をおかねば」 そんな風に考えた私は、ひとまずの身の拠り所として、「映画」を選ぶことにした。6週間のドキュメンタリー映画制作コース。覚悟も金も話せる言葉もない人間の、小さな小さな挑戦である。 高校・大学と、映画研究部に所属していた。そう言うと決まって返され

          (一旦)決め(てみ)た

          私の平和主義

          高校生の頃、後輩が、「こうしたら学校がよくなると思う」と言った。その案は私の経験上の何かに引っかかったので、私は「うまくいかないと思う」と言った。すると、横にいた先輩が、「やってみればいいんじゃない?」と言った。 具体的なことは何一つ覚えていないので、おとぎ話みたいな語り口になってしまった。この時のことについて他に覚えていることと言えば、私は自分をものすごく恥ずかしく感じたのと、先輩がものすごくかっこよく見えたことだ。 この類の恥ずかしい思いは、高校時代を中心にたくさんし

          自分決め

          前職を辞めた理由、まあいろいろあるのだけど、「いなくなってしまった自分に耐えられなくなった」というのも大きな1つだ。 労働が生活の大半を占めるけど、それが自分の本分と思えない。 お金はたまるけど、それを費やす使命も趣味もない。 「休みの日何してるの?」に答えられない。 「言葉のできない外国人」以上に自分を説明するものがない。 当たり前の社会に適合できていない自分を、目的もなく国を渡り自業自得にあえいでいる自分を、笑ってもらって構わない。 とにかく、立ち止まらせてく

          Hello again, world

          渡英してから、いやもっと、人生で一番暇であろう無職期間にもかかわらず、前回の投稿からずいぶん期間があいてしまった。 生活の登場人物は自分一人だけ、みたいな生活の中、自分と正面から向き合ったら取り返しがつかないくらい精神のバランスを崩してしまいそうで、文章を書くことから逃げていた。 毎日、やじろべえみたいなメンタルを、なだめすかして生きている。調子のいいときは何かから目を背けているときで、払うべき気を払えばどこまでも落ちていける。 現実ってきっと、まともに目を向ければ辛く

          書いた

          無職の間に、やらなきゃいけない気がしていたこと。 小説を書いた。 文章が好きだな、と気づいてから、いつか手を出さないとなあ、と思っていた。 いやもっと前から、小学生のころから、書きたいと思っていた。なんなら書いてた。 そのときは自分の能力を見誤り、想像力だけが先走り、完成させられたことは一度もないけど。 次の日常が始まる前に、1回向き合わないとな、ということで、書いてみた。 辛かった。 今はもう自分の無能さを知っているので、こじんまりとした短い話を書こうと思った

          ひとりひとり

          仕事を辞めた。もう1週間ほど経つ。 ラストスパートでもりもり働き、辞めたらしばらく腑抜けみたいな生活をするつもりだったが、退職の半月ほど前にコロナに感染して自宅隔離をしたので、少々予定が狂った。 幸い症状は軽かったので、10日間の隔離は療養というより、寝正月という感じだった(ちょうど年越しと隔離が被った)。 この「プレ無職」期間で、私はある程度腑抜け生活に満足し、本格的な無職生活をどのように過ごそうか、考えることができた。 「今日まとまらなくても、明日また考える時間が

          Feel Special

          しんどくなると、人に話を聞いてほしくなる。 何人か、信頼できる人の顔が浮かぶ。 だけど大体、連絡をせずに終わる。 まずなんて言って話を始めればいいのかわからない。「今度ちょっと時間ある?」なんかで始めようとすると、弱った自分との対峙なんかにこの人の時間をいただこうとしているという事を思い出して、申し訳なさにすべての手が引っ込む。 運よく誰かが私と話をする時間を作ってくれたとしても、その人にとって何の価値もない私のヤミヤミ話に場のすべてを費やすわけにはいかない。世間話か

          耐えかねてきしんでる

          自分のいる環境についてなるべく多くを知っていたくて、噂話にも耳を傾けてしまう。 何も知らない新人としてなめられるのが嫌なんだろうか。負の側面も共有できる仲間として認めてほしいんだろうか。とにかく、知った上でどう反応するかは自分次第だし、知らない振りだってできるしと、いろんな情報を得ようとしてしまう。 だれがいつここに来たとか。だれとだれの間にこんなことがあったとか。 一通り話を聞けば、なんだか充実した気がしてしまう。満足感を感じてしまう。 だけど同時に、どわーっと疲れ

          耐えかねてきしんでる

          いんとん

          「これが終わったら、あれしよう」と思ってることには、大抵ほどなくして手を出してしまうのも、大嫌いな自分の特徴。意志が弱い。 「10000ポンド貯めたら」とか、「もっと英語上達したら」とか「こっち来て1年経ったら」とかいろいろ思ってたけど、白目剝いてその時を待つなんてできないや。 隠遁しようと思う。仕事辞めちゃおうと思う。 私に何かを期待してる人なんていない状況のはずなのに、なんだか毎日、「やりたいこと」に手を出せない。 本が読みたいnote書きたいさっさと転職活動した