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「ミラベルと魔法だらけの家」の音楽を、字幕版で聞いてみな。飛ぶぞ。

あの無駄なシーンがひとつもない傑作映画「ズートピア」の監督と、聴いていると涙が出てくる名曲をもつミュージカル映画「モアナと伝説の海」の音楽を担当したスタッフ陣によって制作された、知られざる神映画「ミラベルと魔法だらけの家」について語る。

今回はまだ観ていない人向けに、ネタバレに配慮した「楽曲に関する内容」にとどめたので、安心して読んでほしい。

初っ端から自分語りになるが、私はズートピアもモアナも大好きだ。
ズートピアは公開当時、吹き替え・字幕・IMAX・4DXをそれぞれ見に行き、毎回「完璧だ……」と震えていたし、pixivの二次創作も見尽くして新たな供給を待ち続けていた。
モアナはディズニープラスを契約しているネイルサロンで何度も見せてもらっていて「こいつ何回見るねん」と思われているだろうし、モアナが覚醒するミュージックである「I Am Moana」を無限リピートさせながら断捨離をしたら40リットルのゴミ袋が2つ分になるほど捗った。おばあちゃんのおかげでやる気が満ち溢れてくる。

そんなモアナの初日3日の興行収入は約7億円で、累計だと51.6億円に登った。ディズニーアニメーションだと通常30億は超えるらしく、中でもモアナはメガヒットの部類だ。
さらにズートピアは最終興行収入76億円で、文句なしの超人気作品。
主役バディであるニックとジュディはディズニーランドのショーやパレードにも登場するし、ディズニー好きにとっては馴染みが深い作品だろう。

さあ。そんなスーパーな実績を持つ製作陣が送り出すミラベル。
その最終興行収入はなんと……7億円!
えっ。モアナの初日3日間と同じ……だと……。

シュガー・ラッシュ:オンラインなどでプリンセスとして登場し、現在はそこそこの認知を得ているモアナではあるけど、日本の公開初日3日間で観た人となると少ないよね……。劇場公開している間に、そのくらいの人しか観なかったと考えるとなかなかシビアな結果だ。

でも私も人のことは言えない。公開から2年近く経って「そういえば観てなかったな」と思い出し、先日Amazonでレンタルをしたわけで。
だって全然話題になってないし、そんなによくなかったんだろうな〜と思うのも仕方ない。よね?

でも。

私はミラベルを「最高のミュージカル」として絶賛したい。
その理由の多くは「とにかく曲がすんごい好き」というところにある。

実際、興行収入が奮わなかった作品にもかかわらず、YoutubeのDisney公式のレコードチャンネルでは本作の挿入歌「We Don't Talk About Bruno(秘密のブルーノ)」が、9ヶ月前投稿でアナ雪2よりも再生されている。
とにかくめちゃめちゃスルメソングなのよ。

再生数順に並べたもの。モアナ強い。

「いやいや、Let It Goが入ってないじゃん」と思われた方も多いと思うので補足すると、確かに当該チャンネルでの「Let It Go」は2.6億回再生に留まっていて、大ヒットの実態に即していない。
実際、ディズニーの各国公式チャンネルの再生数を合計すると「Let It Go」は50億回くらい再生されてるようだ。レベルが違う……。

と思ったら、「We Don't Talk About Bruno(秘密のブルーノ)」はアメリカのシングルチャート「The Hot 100」で、2021年1月に第4位にランクインしており、2014年4月に同チャートで5位にランクインした「Let It Go」を超えていた。やっぱすげぇよブルーノ!

しかも、「Let It Go」以外の楽曲は横断検索しても4.6億再生の「Into the Unknown」が首位。楽曲としてのミラベル(とモアナ制作陣)の強さがお分かりいただけるのではないだろうか。

続く挿入歌である「Surface Pressure(増してくプレッシャー)」も、現在2.6億再生。これはアナ雪の「Do You Want to Build a Snowman?(雪だるま作ろう)」と同じ再生回数だ。普通にすごない?

メロディーラインはもちろん、映像もダイナミックかつカラフルで楽しいし、なんといっても歌詞がノれる! 
これはぜひ字幕版で楽しんでいただきたいのだけど、ミラベルの楽曲はどれも、とにかく韻の踏み方が気持ちいいのよ。

「Surface Pressure(増してくプレッシャー)」では冒頭から早速、churches(チャーチス)、surface(サーフェス)、circus(サーカス)、cerberus(サーバース)と畳み掛けてくれる。
歌のうまさや演技力でいうと吹き替え版のゆめっちさんVer.も捨てがたいのだけど、このリズムの心地よさは吹き替え版では味わえない魅力だ。

でも私が今最も聴いている楽曲は上記の2つではない。
別の挿入歌である「What Else Can I Do?(本当の私)」と「All of You(奇跡はここに)」、そして「The Family Madrigal(ふしぎなマドリガル家)」だ。最も、って言ってるのに全然1つに絞れてない。

中でも「All of You(奇跡はここに)」は映画全体を通してのアンサーソングともいえる集大成の曲で、これまで登場してきた挿入歌が再び使用されるリプライズが見どころ。
さらにはなんと、散々引き合いに出させてもらった「Let It Go」のイントロも使われている!
複数の曲が完全にひとつになるカタルシスは感動の一言。どこにどの曲が使われているか注意しながら聴いてみるのも楽しいはずだ。

メイン曲と言われている「Waiting on a Miracle(奇跡を夢見て)」も、ラストの盛り上がりで流れるこだわりのスペイン語楽曲「Dos Oruguitas(2匹のオルギータス)」も当然のように良曲。ぜひ実際に映画を観て、お気に入りの1曲を見つけてほしい。


2022/11/23追記
「歌以外の魅力」についても語りました


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