(詩)風

風が吹いてくる
やわらかな光が
ぼくを包み

潮騒の音や
鳥のさえずり
木々のざわめき
子供たちの笑い声が
聴こえてくる

子供たちは
羽根をなくした天使のよう
いつも
泣きそうな顔をしている

だから涙は
子供たちに任せておけばいい

永遠について
ぼくたちは語ろう


風が吹いてくる
清らかな星の光が
ぼくを洗い清め
涙さえ洗い流す頃

ぼくは星たちが
どうしていつも
あんな風にずっと
微笑んでいられるのか
そのわけを理解する

涙はいつか
洗い流されるもの


都会の人波が見える
咲き誇る花たちの姿
昆虫たちの様子
山や河の奏でる調べ
繰り返す時の流れが見える

たそがれの海辺でいだきあう
恋人たちが見える
そして
泣き叫ぶ人たちが見える
今も争いあい
傷つけあう人々が見える

気付かなかった
みんな、ぼくの一部


風が吹いてくる
さっき砂浜で
ひとりの少女の
長く伸びた髪や
そのほほに落ちていた涙を
やさしくなでていた風が

今はぼくの手をとり
ぼくをやさしく迎え入れる

永遠について
ぼくたちは語ろう

きみにいっぱい
話したいことがあるんだ

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