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(詩)係船柱

名前はあんまり知られてないけど
いかしてる
ああ、あれかって誰もが思い出す
いつも港の先っぽで
丸く尖がってるあいつ

海のしょっぱさ知っている
潮風の薄寒さ
ウミネコの鳴き声
遠ざかる船の汽笛
港の寂しさ一番知っている
出会いと別れを知っている
幾つもの泣き笑いを見てきたから

いつも他人を見送ってばかりで
自分はいつまでたっても
港の先っぽで佇んでいる

ひとりぼっちなら
つい腰を下ろし
いつまでも黙って
海を見ていたくなる

そんなあいつの名前は
寂しがりやの係船柱

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