葉っぱからきみへ

植物はみんな
住む場所も
見える風景も
聴こえる音も
選べないんだね

そこに咲いた
そこに実った
そこに生った
その場所が彼らには
すべてなんだよ

あゝ
そんな見なれた風景からも
やがてさよなら
しなきゃならない

ほら
その木の枝に残った
最後の一葉が
うれしそうに
きみの顔を見ているよ
もうすぐ見れなくなる
きみの顔をさ

もしかしたら
きみが泣いていた時
こっそりときみを
励ましてくれた
かも知れない
その一枚の葉っぱが

今最後のきみの顔を
あんなに
うれしそうに
まぶしそうに
見ているね

ほら
「さようなら、お元気で」って
きみへの別れの挨拶が
きみには
聴こえたかい?

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