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(詩)雪の日のカルーセル

(一)
とまったカルーセル
もう動かない
カルーセル

きみを乗せた
カルーセル
ぼくの心の中でだけ
回り続ける
きみを乗せたまま

雨の日も
風の日も
雪の日も
晴れた日も

きみを乗せた
カルーセルは
止まっている

ただしずかに
止まっている
自分が
カルーセルだった
ことも忘れて

止まって
いてくれる

もう
笑いあうことのない
ぼくたちのために

カルーセルが
止まっている

とまったカルーセル
もう動かない
カルーセル

きみを乗せた
カルーセル
ぼくの心の中でだけ
回り続けたあと

いつか
雪の日に
消えてゆく
そっとしずかに
消えたことさえ
わからないように
消えてゆく

(二)
カルーセルが
回っている
誰もいない
カルーセル

乗る人のいない
カルーセルの木馬が
何度も何度も
目の前を駆け抜ける

ぼくの心の中で
ぼくの
夜のしずけさの中で

誰もいない
カルーセルが
回っている

きみを思い出すため
きみの笑い顔
思い出すために

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