不器用な愛

不器用な白木葉子と
不器用な矢吹丈の恋

『あなたを愛しているのよ』
不器用な白木葉子は
ぎりぎり最後の場面でやっと
矢吹に愛を告白した

矢吹はそれに応えたか?
『あんたに貰って欲しいんだよ』
矢吹も最後の最後に
葉子に愛を返した

見た目は血だらけのぼろぼろの
グローブだったかも知れないけれど
葉子にとって、これ以上ない
愛のプレゼントとして

不器用なふたりの愛は
それら一瞬の中で燃え上がり
そして完全に、燃え尽きた

だから
愛とは誰かを愛すること
愛することが愛そのもの
愛は捧げること
愛は無償の慈悲
無償の喜びとかなしみ

だから
この世の愛に
報われなかった愛など
ひとつもないのです

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