(詩)土曜日の雨、きみのこと
急に降り出した土曜日の雨
夏の前の
乾いた午後の街を濡らして
傘を持たない人々が
雨と鬼ごっこ
商店街の屋根にかくれんぼ
野良猫たちも雨宿り
そんな土曜日の
雨のにおいが懐かしくて
急にきみのこと
思い出した
土砂降りの雨に濡れながら
思い出したから
帰りたくなった
土曜日の雨の街を
駆け出して
帰りたかった
土曜日の雨に打たれながら
けれどもう帰れない
あの日の
きみの涙と頬笑み
あの日のきみの肩のにおい
もう帰れない
土曜日の雨に
いくらこの肩を濡らしても
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