(詩)夏の朝、虹を見た

もしもわたしが
生まれる国を選べたなら

わたしは
今も飢え渇き
戦場と化した国に生まれよう

いく日もいく日も
食べものを探し歩き
泥の河の水を飲み
戦車と爆撃の中を逃げ惑い

放射線に曝され
砲弾に撃たれ、地に倒れ

やがて
ぐるぐる巻きの包帯の中で
わたしがしずかに
目を閉じてゆく
その瞬間にも

けれど
わたしのとなりに
まだ息をして
もがく子どもが
横たわっていたら

わたしはそっと
つぶやこう
"Good luck"
ゆっくりとしずかに

そして
微笑みながら
去ってゆこう

生まれた国と人の幸福とが
そして何の因果関係も
ないことを証明しよう

もしもわたしが
また今度
再び生まれくることが
あったなら

やっぱりわたしは
同じ国を選ぼう


いずれにしても
わたしが生まれてくる場所は
この星の上しかないのだから
この星しか、ないのですから
ねえ……

夏の朝、虹を見た

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