(詩)カラスと雨宿り

夏の夕立ち
逃げ込んだ木陰にカラス

目と目が合って驚き合って
こりゃ失礼しました
気をきかせたいのは
山々なれど
向こうは生憎の雨

ここはひとつ
ご辛抱、願います
シトシトどころか
ザーザー土砂降り

そんな端っこいないで
濡れますよ

いいんだ、俺にゃ
山に可愛
七つの子があるからよ
こんな雨なぞひとっ飛び
髪は烏の濡れ羽色、なんて
申すだろ

いえいえ
もう少しで上がりますよ
夕立ちですから
もう少し
お互い辛抱しましょう

夕立ちだから
夏の夕立ちですから
夏の夕立ちなら

夕立ちの後
少しさみしい日暮れ時
物悲しき夕暮れ時だから
一緒に虹でも見ませんか

それから虹を土産に
それぞれの場へそそくさと
帰りましょうや、ねえあなた
袖振り合うも多生の縁


夏の夕立ち
逃げ込んだ木陰にカラス

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