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上方落語台本大賞発表落語会


こちらは2019年12月16日~22日の繁昌亭昼席の出演者表です。12月20日、私はこの日初めて繁昌亭を訪れ、生の寄席というものを体験しました。

落語の面白さというものに出会ったばかりですし、恥ずかしながら、出演者の方々も全て知らずに行きました。この時、トリを務めておられたのが笑福亭福笑さん。ネタは『葬儀屋さん』でした。

こんなに面白い人がいたのか!という衝撃を受けましたね。なんという爆笑の渦。なんというエネルギー。すごい人がいるもんだと。

そしてその二年半後、
まさかその福笑さんが、
自分の書いた台本を演じてくださる
なんて、
そんなこと信じられますか?



2022年6月20日、狐につままれたような、狸に化かされたような、とんびから油揚げを貰ったような…もう本当に信じられないような気持ちで行ってきました第5回岩井コスモ証券PRESENTS上方落語台本大賞発表落語会(三十一文字)へ!

梅雨時にも関わらずこの日は雨も降らず気持ちの良い天気。大阪天満宮にお参りして、お上りさん丸出しで御朱印をいただき、18時の開場を待ちます。

時刻は午前10時。早いっちゅうねん着くのが。いや、そわそわするのは仕方ないんです。なにしろ今回の受賞者、すごい面々です。複数回の入選がある常連の作家さんお二方、アマチュア落語の日本一経験者、現役の人気漫才師!

ただの四国のおっさんがなぜかその中に入ったんですよ。緊張するに決まってるじゃないですか。気合い入れて試験会場に早く着きすぎてむしろ一人で不安になる受験生みたいなもんです。

待つこと7時間。繁昌亭は大入り満員。コロナ禍ですし、最近では珍しいことだそうです。メンバーが豪華ですし、その皆さんが誰もまだ見たことも聴いたこともない新しい落語をネタおろしするという期待感。すごいものでした。そこに、自分が作者としていられる幸せを噛み締めずにいられません。

トップバッターはなんと桂文枝師匠。台本大賞の選考委員長がいきなり登場の超豪華番組。いよいよ始まりました。けれども、ここで今、私が受賞作五本の内容を詳しくレビューするのは…残念ですが、止めておきます。

やはり、新しい落語は、先入観なく聴いてほしいもの。いつかどこかの寄席で巡り会えるその日まで、まっさらでいてほしい…。そういう気持ちを優先したいと思います。思います、が!それじゃここ読んでくださってる方々もつまらないでしょうから、あえて、「二文字」で、私の各作品への感想を記したいと思います。「漢字二文字」で!

『さぷりめんと』 「愛情」

『俺の肝臓』 「斬新」

『先駆け一代記』「疾走」

『お節介泥棒』「貫禄」

『追い込まれたエース』「見事」


自分の作も含めて、これが私の一番短い感想です。どの作品も面白かったです。だって、私の作だって、福笑師匠だもの!そりゃあ、笑いました!他の人が書いた台本を覚えて、自分なりにアレンジして、初めてネタおろしする。名だたる師匠方でも本当に大変だったと思います。

言葉では言い尽くせないほど感動しました。

と同時に…ある感情が芽生えたことも記しておきます。私の台本、ある程度予想していたこととはいえ、ずいぶんと変わっていました。正直、びっくりするくらいに。これはですね、台本的に弱い部分を、福笑さんが補い、そして膨らませてくださったのです。

寄席でウケるとはどういうことかを知り尽くした師匠方が、しっかりと通用する台本に仕上げてくれた…ありがたいことです。つまり、私は思いました。受賞したから、評価されたから、それで終わりではないのだと。

もっともっと面白い台本を書かねばならない。

嬉しかった楽しかったというだけではいけない、これからも書き続けるならば。そういう現実をしっかり胸に刻んでおきたいと思います。

ま、それはそれとして。

昔からの夢だった、「自分の書いたものが演じられる」ということ。これが叶ったことは、この上ない幸せの瞬間でした。落語に出会えて良かった、落語台本を志して本当に良かったと、心の底から思いました。

至らない部分の多い私の台本を魅力的に演じてくださった笑福亭福笑師匠、佳作に選んで下った桂文枝師匠と審査員の皆様、お話してくださった他の受賞者の方々、特に隣の席でたくさん語り合っていただいたおせつときょうたさん、繁昌亭に来て下ったお客様、世話していただいたスタッフの方々、本当にありがとうございました。

一生忘れられない夜になりました。
是非、また、皆様にお会いしたいです。
頑張ります。