能登のイカキングに学ぶ
能登のイカキングの記事を見つけました。
震災の直後は私も心配していて、海岸沿いにあったものだから当然、波にさらわれたり壊れたりしたものと覚悟をしておりましたが、なんと無傷だったのです。「大丈夫じゃなイカ」ってんで復興のシンボルに。素晴らしいことです。
交付金で巨大なイカのモニュメントを造るという話が出た時に、日本中から批判や嘲りが殺到していたように思います。そんなものを造って、無駄だろう、これだから田舎は…みたいな声が四方八方から浴びせられていました。
けど、私はこういうものこそ、今の時代に必要なんじゃないかと思ってたんですよね。だって、楽しいじゃないですか。デカいイカ。インパクトの塊。こんなにわかりやすいものは無いですよ。そして今の時代に公費でこれをやるには相当な勇気が必要だったと思います。
日本の景気が悪くなる前は、オモロいものやスゴものを作ろうというノリが列島を覆っていました。純金のカツオやら巨大観音やら盛りだくさん。Dr.スランプの舞台であるゲンゴロウ島を瀬戸内海に作ったりしましたよね。私、小さい頃に行きました。地方にパワーがあった証拠です。
平成に入って景気が悪くなると共に、オモロいものやスゴいものを作ろうという声はどんどん無くなっていきました。地方は寂れていき、「金の無駄だ」「無駄を省け」の空気が日本の常識になって久しいです。
でも、本当は、無駄こそが一番楽しい。
私の住んでる町には88年完成の黄金のタワーが建っています。以前は黄金のトイレもありました。いかにもバブリーで趣味が悪く思われるかもしれませんが、今でもタワーはずっと地域の象徴として親しまれています。
夜には光が灯って明日の天気を知らせてくれます。良いでしょ?結局、シンボルってものは、無いよりあった方が良いのです。そして「面白いものを作ろう」という心意気はいつの時代でも大切ではないでしょうか。
無駄や余剰が多い方が人生は豊かになると思います。私の好きなお芝居も、お笑いも、世の中に「どうしても必要なもの」ではないかもしれませんが、でも、あった方が絶対に良い。必要なものだけでは、息が詰まります。
震災に耐えたイカキングはこれからもずっと能登の象徴として人々に笑顔と希望を与えて続けてくれるでしょう。そして日本中がまた、無駄を楽しめるくらい豊かになってほしいと願っています。