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『青野りえのオン・ザ・レディオ』第2回 「夏の終わりの風を感じて」

『青野りえのオン・ザ・レディオ』は、2023年8月〜スタートし、Spotifyの楽曲を並べて聴ける機能を利用して全9回お届けしたポッドキャスト音楽番組です。
残念ながらSpotifyの仕様変更により番組は一旦休止となったのですが、こちらで番組の文字起こしをブログの形で残しておこうと思います。
一年前の番組のため少し情報が古い部分もありますが、そのまま文字に起こします。メインのテーマは普遍的かと思われますので(私の好みがずっと変わらないこともあり)、どうぞゆるりとお楽しみください。(少しだけ加筆修正あり)

もともと、自分のラジオ番組をやりたい!という夢があり、練習のために始めた番組です。音楽番組のパーソナリティーをお探しの方、ラジオ局の皆様、お気に召しましたらどうぞよろしくお願いします。ご連絡お待ちしております。

〈2023年9月放送回〉※最新情報ではありません
こんにちは。青野りえです。
この番組では、シンガーの私が毎月のテーマに沿ってお気に入りの曲たちをご紹介しています。
9月もあっという間に過ぎて、もう今日が最終日ですね。
今月は青野りえ3rdアルバムの制作が佳境で、ずーっとそっちにかかりきりだったものですから、ぎりぎり今日の配信になりました。
本日の1曲目は、手前味噌ですけれども、今月9月5日に配信リリースとなりました、私、青野りえの新曲「TOKYO スクランブル」をお聴きいただきたいと思います。
The Bookmarcs 洞澤徹さんのサウンドプロデュースによる、直球のシティ・ポップなんじゃないかなと思います。作曲・編曲は洞澤徹さんで、作詞は青野が担当しています。
最初、この曲のデモを洞澤さんから頂いた時に、ああ、これは次のアルバムのリード曲になる!と確信しましたね。イントロのシンセのフレーズがすごくキャッチーで、私は最初から心を掴まれました。

ここ数年、盛り上がりを見せているシティポップについて考えてみた時に、
日本ではしばらく忘れられていたような'70〜'80年代の楽曲が、海外の人に発掘されて熱狂されている現象がすごく面白いなと思っていて、そしてふと、そんな海外の人達がシティ・ポップを聴きながら想像する東京ってどんなイメージなのかな、と思いまして。多分、それはどこか幻想のフィルターがかかっていて、実際に私が暮らしている東京とは少し違う街なのかもしれないな、と思ったんですよね。
その幻想の東京、表記はあえてローマ字でTOKYOにしてるんですけど、外側の世界からみたTOKYOをテーマに作品を作ってみようと思いました。
この曲の、サビの冒頭の「時を染めて」という歌詞があるんですけど、時間の「時を」のところが空耳で東京の「TOKIO」に聴こえるように、ダブルミーニングになるように作りました。
東京に思いを馳せる海外の人が思わず口ずさむような、東京のことを考える時にこの曲を思い出すような、そんな新しい東京のテーマソングになったら嬉しいです。

それではお聴きください。
青野りえ「TOKYO スクランブル」

お聴きいただいたのは、青野りえの配信ニューシングル「TOKYO スクランブル」でした。
Spotifyはじめ、Apple musucやAmazonなどで絶賛配信中ですので、ぜひお気に入りのプレイリストに入れてたくさん聴いていただけたら嬉しいです。

さて、ようやく気温も少し落ち着いてきて、暑い夏もそろそろ終わりが見えてきましたね。
今月の選曲のテーマは「夏の終わりの風を感じて」
夏の終わりに、夏が終わってしまう少し寂しい気持ちと、新しい季節の匂いを感じるこの季節に、私がお勧めしたい曲たちをご紹介したいと思います。

最初にお届けするのはアントニオ・カルロス・ジョビンの名曲「三月の水」です。

夏の終わりがテーマなのに3月?と思われた方もいらっしゃるかもしれませんが、ブラジルは日本と季節が逆なので、3月は日本の9月にあたります。
ブラジルの夏も暑そうですよね。暑い暑い夏が終わって、そしてブラジルでは2月にリオのカーニバルていう大きなお祭りもありますから、お祭りの後の寂しい感じもひとしおなんじゃないでしょうか。

3月の雨と訳されることの方が多いかもしれませんが、私はこの水、という方が好きですね。
水の方が、雨だけじゃなくて川とか、涙とか、コップの水かもしれないし、体の中を流れる水かもしれないし、聴く人によって色々な水を連想できて自由で良いなと思うんです。

それから歌詞も好きです。この曲の出だしのフレーズで

それは木の枝、それは石ころ、それは道の終わり
残された切り株、ちょっと独りぼっち

この、ちょっとひとりぼっち

という一節がすごく好きです。
é um pouco sozinho のところですね。

夏が終わってちょっとだけ寂しい気持ちを表す、素敵な言い回しだなと思って、じつは私も作詞をする際にこのフレーズ、拝借してます。
メロディに合わせて言い方は変えてはいるんですけど、「少しひとりきり」というフレーズ、私の曲で聴いたことありませんか?どの曲かわかったら教えてくださいね。

この曲は本当にたくさんの人にカヴァーされていて、Spotifyでも、「三月の水」だけを集めたプレイリストもあったりして、その中だけでも53曲ありましたね。たぶんもっとあるんだと思いますけど。改めて世界中で愛されている曲なんだなと感じました。

でも私はやっぱりこの、1974年のアルバム「エリス&トム」に入っている、ジョビンとエリス・レジーナのデュエットのヴァージョンが大好きです。エリス・レジーナの深みのあるあたたかい声が大好きで、私にとって世界で一番好きな女性シンガーかもしれないです。
それではお聴きください。
Antonio Carlos Jobim & Elis Regina「三月の水」

お聴きいただいたのは、Antonio Carlos Jobim & Elis Regina「三月の水」でした。

最後の方でエリスがくすくす笑ってるし、2人でおどけながら歌うところとか、楽しそうなレコーディングの様子が伝わってきますよね。
歌のレコーディングの時って、ちゃんと良いテイク出さなきゃ!とついつい力が入ってしまうものですが、私もこれくらいリラックスして録音できたらいいなと常々思います。。

それでは次の曲いきましょう。
次の曲は大貫妙子さんの「海と少年」です。1978年のアルバム「MIGNONNE」に収録されています。MIGNONNEはフランス語でかわいいっていう意味ですけれども、大貫妙子さんのアルバムタイトルはフランス語のものが多いですね。

夏が終わって、海辺で遊んだ仲間たちも散り散り街へ戻ってゆく
ひとり海辺の街に残る少年の、寂しさと夢見る気持ちが爽やかに、タイトでグルーヴィな楽曲に乗せて鮮やかに描かれていますよね。
私は大貫妙子さんが大好きなんですけど、大貫さんの曲のなかでも常にマイベスト10には必ず入っているくらい好きな曲です。

この曲に登場する少年と同じように、私も海辺の街で育ったので、この情景にすごく共感できます。
私は富山県の氷見市という小さな港町で生まれ育ったんですけど、子供の頃、毎年夏休みになると、東京の従兄弟たちが氷見に遊びに来てたんですよね。彼らは夏休みの1ヶ月ほど、割と長く氷見にいて夏の間ずっと一緒に遊んで過ごすんですけど、そんな夏も終わって、従兄弟たちが東京に戻る日は、いつも母と氷見駅まで見送りにいきました。電車が動き出して、氷見駅のホームの端っこの草むらのところまで走っていって、手を振って見えなくなるまで見送ったのを思い出します。

皆さんも夏の思い出と一緒にお聴きください。
大貫妙子「海と少年」

お聴きいただいたのは、大貫妙子で「海と少年」でした。

作詞・作曲は大貫妙子さんで、編曲は坂本龍一さん、ベースが細野晴臣さん、ドラムが高橋幸宏さんというYMOのお三方も揃ってる、夢のチームですね。もしもタイムスリップできたら、このレコーディングをこっそり見てたいです。夢です。

では、余韻に浸りながら、次の曲いきましょう。
次にお届けするのはAlzoです。
こちらは1972年のソロ1thアルバムAlzoに収録されています。
Alzoはね、バランスが絶妙なんですよね。
カントリーっぽいとこもあるけど、いなたくなくて、程よく洗練されていてソフトロック的なところもあったり、AORやソウルっぽさもあって、静かななかに情熱もあって、さじ加減が超私好みです。じつはグルーヴィだったりもします。そしてとにかくAlzoの声が良いですね。涼しげで少し憂いを帯びた歌声と美しいメロディが、夏の終わりにぴったりじゃないでしょうか。
Alzoを聴き始めたら、もうほんとに夏は終わりという感じがしますね。

それでは夏の終わりの叙情的な風をたっぷり感じてください。
Alzo「Don't Ask Me Why」

お聴きいただいたのは、Alzoで「Don't Ask Me Why」でした。


〈近況コーナー〉※最新情報ではありません
さて、私の近況はといいますと、青野りえ3rdアルバムの制作がいよいよクライマックスでございます。
The Bookmarcs 洞澤徹さんプロデュースのニューアルバム、タイトルは『TOKYO magic』2023年11月15日にリリースが決定しています。
今日1曲目にご紹介した「TOKYO スクランブル」も収録されます。
音のほうはもうマスタリングも終わって完成していまして、洞澤さんはもうお疲れ様でしたなんですけど、現在は私、CDジャケットを作っています。もうこれが終われば本当に全ての制作は完了なので、あともう一踏ん張り、というところですね。
実は私、20代の頃はグラフィック・デザイナーとして仕事をしていた経歴もありまして、これまでの自分のリリース作品のジャケットは全て自分でデザインしています。
音だけじゃなくて、デザインにもこだわって作品を作っていますので、完成した際にはぜひ、CDをお手にとっていただけたら嬉しいです。


さて、今回のテーマ「夏の終わりの風を感じて」いかがでしたか?
エックス、フェイスブック、インスタグラムなど、SNSでも情報発信していますので、ご感想・リクエストもお気軽にお寄せください。

それでは最後にこちらの曲を聴いてお別れしたいと思います。
ブラジリアン・フュージョンとかブラジリアン・クロスオーバーの最高峰と言われるAzymuthです。
この曲は私青野りえのセカンドアルバム『Rain or Shine』の制作の時に、「Blue Moon River」のリファレンス曲として、プロデューサーの関さんが教えてくださった曲です。『Rain or Shine』の制作は2021年の夏から年末にかけて行われたんですけれども、ちょうどこの曲をよく聴いていたのが9月くらいで、少し涼しさを感じるようになった早朝の空気となんてぴったり合う曲なんだろうと感動したのを覚えています。
Spotifyではヴァージョンがいくつか聴けますけど、今日は少しアコースティックなアレンジで始まるほうをご紹介しますね。
タイトルもポルトガル語になってますね。
Azymuth「Vôo Sobre O Horizonte」

それでは最後までお聴きいただきありがとうございました。
お相手は青野りえでした。じゃまたね。

『青野りえのオン・ザ・レディオ』第2回(2023.9.30.)
プレイリスト
テーマ「夏の終わりの風を感じて」
1 TOKYO スクランブル / 青野りえ
2 三月の水 / Antonio Carlos Jobim & Elis Regina
3 海と少年 / 大貫妙子
4 Don't Ask Me Why / Alzo
5 Vôo Sobre O Horizonte / Azymuth

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