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拝啓 

太宰治様、そして小さい弟さんへ

勝手ながら手紙を書かせていただきます。
今書かないと一生後悔してしまうことになると思ったからです。今、自分にできることが、ここで記事を書くことくらいしかできないのが辛いです。

私は、6月19日を'家族の日'としています。それは、私の中でのみ存在する記念日です。世間によって定められた記念日を祝うことも素晴らしいことですが、自分自身で決めた慣習を自分が好きなように過ごすことには特別感があります。

6月19日。一般的には太宰治の遺体が発見された日として「桜桃忌」と呼ばれています。1週間前の今日、私はさくらんぼを食べながら、桜桃を読み返し、AndymoriのPeaceを聞いて過ごしました。



太宰治の桜桃という小説が好きです。

子供より親が大事、と思いたい。

桜桃 太宰治

の一文で始まるこの短編小説は、父親の目線で物語が展開されていきます。

この父親から放たれた「子供より親が大事」というフレーズには、とても考えさせられます。

’子供よりも親が大事である’と言い切るのではなく、句読点を打ちます。その後の’思いたい’、に強い感情を感じさせます。

この句読点が、父親の深い孤独感や家族とのギクシャクした様子を表しています。実際、この小説では歪んだ家族像が描かれるのですが、父親の悩みも母親の悩みも克明に描かれます。家族のために懸命に働く父親。その後出てくる母親の悩み。

人生、生きていれば色々なことがありますが、家族の歪な関係をうまく表現しているこの小説にはものすごく助けられてきました。

AndymoriのPeaceという曲が好きです。

母さん あなたの輝きを僕は忘れないよ
父さん あなたの悲しみを僕は知りたいのです

Peace Andymori

この儚い世界の中で、信じたい人達がいます。

ごめんなさい。
今度、しっかり太宰さんにお手紙書きます。

6月26日
沙羅


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