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内省よりも軽やかに_博論日記(2023/05/28)

2024年2月1日予定の口頭試問まで、あと248日。

お天気はくもり。10時47分。日曜の午前中、研究室には誰もいない。壁際に並ぶ魚水槽の水を循環させるジーンというモーターの音と、コポコポいう水音が耳に心地よい。

6時半から9時までスーパーで品出しをして、ドラッグストアで500mlペットボトルのカフェオレとカロリーメイトを買い、Twitterをぼんやり眺めながら大学にやってきた。あまり頭はクリアな状態ではないけれど、なんとか浪費・過食コースは免れたように思う。バイト前にホイップコロネを買って食べたのは余計だったが、その程度ですんでよかったと考えよう。

新学期がスタートしてから、学振PDの申請書を提出し、所属研究室のゼミ発表と社会学ゼミでの発表を終え、参加している書籍プロジェクトの原稿を脱稿した。ひとつひとつ仕事が手を離れ、いよいよ博論に集中する時がきた。今までは他の仕事と並行して進めていたので、博論の進捗が芳しくないことに言い訳ができたが、もうできない。言い訳をしている場合ではない。そう考えると、途端に息がしにくくなってきたので、余白を確保するためにnoteに日記を書いてみることにした。

といっても、すでに紙媒体の日記を書く習慣はあるので、特に目新しさはない。ただ、紙媒体の日記では内省的な言葉ばかり並べてしまうので、読み手のいるnoteに書くことでもう少し内容を軽やかにしたいと思う。毎日続けなければならないと考えると苦しくなるので、書きたい時に書くという位置付けにする。

昨日は書籍プロジェクトでお世話になった占い師さんに、挨拶がてら仕事運を占ってもらった。印象に残ったのは、最後に私が引いた"Positive Expectations"というタロットカードで、それを見た占い師さんは「最後の最後まで、諦めたらダメよ」と言った。まだ自分が博論を提出している姿はもやがかっていて見えないけれど、諦めないでやってみようと思った。勉強不足からくる浅はかさに対する恥の意識、才能のなさへの悲しみ、時間をうまく使ってこれなかったことへの悔恨、結局は我が身かわいさの小さき器量への失望など、心を暗くする感情にいつも振り回されているが、それらに心を明け渡してしまわぬよう、ままならないなりに感情の舵取りをしてゴールにたどり着きたい。

"Positive Expectations"

昨日のハイライトはもうひとつある。昨年11月から始まった書籍プロジェクトの原稿を脱稿したことを祝し、「漁師酒場あらき」で一人呑みしたことだ。梅田には一杯飲む場所は数え切れないほどあるが、「入りたい!」と強く思える店がなかなか見つからず、ホワイティうめだから大阪駅前第四ビルのあたりを1時間半ほどうろうろしてしまった。

「漁師酒場あらき」の決め手は、高知県の宿毛の漁師さん関係の店だったからということだ。宿毛には10年以上前、インタビュー調査に訪れたことがあり、漁協の方々に大変お世話になった。長らく連絡を取っていないし、もう先方も私のことを覚えてはいらっしゃらないだろうが、「宿毛」という言葉に当時の記憶が蘇り、懐かしくなって入店した。みなさん、お元気にしていらっしゃるだろうか。

カウンターに通されホワイトボードのメニューのラインナップを見た瞬間、間違いなく新鮮な魚介を出すお店であることを確信した。亀の手まである。桜エビと迷ったが、本マグロのハツ、マイワシの刺身を生ビールとともに注文した。ごま油と塩でいただくハツは、新鮮で臭みもまったくなく、レバー好きにはたまらなかった。マイワシも脂がのっていておいしかった。ふと、アラ汁200円と書いた紙が貼ってあるのに気づき「こんなにお魚のおいしいお店のアラ汁に間違いはない!」と勇んで注文した。すると、どでかい海鮮丼用かと思われる器にたっぷり魚のアラが入ったものが運ばれてきた。これで200円はお得すぎる。大感激だった。

漁師酒場あらきのアラ汁

かつては、研究で高知県の漁村に約3ヶ月暮らし、その後約6年間にわたってその村の漁業関係者とお付き合いしていたため、新鮮な魚介類は長らくとても身近なものだった。亀の手なんて磯に行けば取り放題だった。しかし、その方とお別れし、その漁村との繋がりが切れて以来、新鮮な魚介類は私にとってかなり遠い存在になってしまった。内陸の盆地に暮らしていると、新鮮な魚介類は手に入らないわけではないが、学生には値の張る贅沢品である。久しぶりに高知の魚介を堪能して、とても味わい深かった。

今ここにいる私は、根本的にしょうもないけれど、それなりにいろんな場所に行き、いろんな人と関わってきた。方向性を間違えていることもあったけど、多大なエネルギーを使って心を震わせてきたことは事実だろう。最後まで考え抜こう。拙くても、来し方を無にしない論文にしよう。

<To Do>
・システマティック・レビュー:二次チェック作業
・投稿論文:英語チェック
・博論本文:執筆(現状:21,079字)

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