「考えさせられる」って感想が苦手

「考えさせられる作品だ」とか、「ハッとさせられた」みたいな感想が、昔からどうも苦手だ。

感想を書くんだったら、もっとお前なりの言葉を使ってくれ。俺はあなたがその作品にどう思ったのかが知りたくて感想を読んだんだ。「考えさせられる」なんて、そんな言葉でごまかさないでくれ。そう思ってしまう。

翻って、じゃあお前はどんな感想文を書けるんだ?って言われたら、私は感想を書くのが苦手です、と答えるしかない。一時はソーシャルゲームの考察まがいなことをしていたが、それも誰かがツイートしていた内容を組み合わせただけの、キメラでしかなかった。他人の二番煎じな考察で賢くなったようなフリをするなんて恥ずかしい、って思うようになってから、考察ツイートはしなくなった。その人なりの、作品の考察や批評を書ける方がうらやましい。

「好き」とか「嫌い」とか、簡単に口に出すことができない。本当に好きなら、その作品に関するものは全て知ろうという勢いを持っていなければ駄目だと思ってしまうし、「嫌い」を表明するんだったら、なぜ嫌いかを解体せずにはいられない。そう掘り下げない作品らは、「どちらかというと好き」「無関心」にカテゴライズする。多くの人にとって「好き」「嫌い」の表明はもっとカジュアルものなんだろうけど、私にはできない。

とはいえ、作品を見た時に感じた感情を解体するのは疲れる。よほど心が動かない限り「すごい」とか「良かった」とか「エグい」とか、無難な言葉でラベリングする。それって自分が嫌悪する「考えさせられる」って感想と同じなんだよなあ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?