見出し画像

いつも歩く道を反対から歩いたら曲がり角が分からなくなった

多分此処だろうと、左に曲がると、見慣れない民家の木塀がある。方向は合っているのだからと坂をのぼっていく。坂は左に傾きながら、着実に頂上へ運んでくれる。此処が一番上だと思い、強く足を踏み着地する。息を吐き出す。
左向こうに新緑が広がっている。あちら側から来たときは無かったのに。いつも選んで眺めているのだ。
鶯が鳴いている。あの鶯が昨日から上手く鳴くことができるようになったのを知っている。今日は明け方からずっと得意そうに鳴いていた。あんなに小さな身体でよくこんなに大きい声がでるものだと思う。
頂上の先は下るだけだ。
いつも上る坂道を、初めて歩くように下っていき、自分の家に帰っていく。

文章を書くことに役立てます。