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京都暮らしと庭いじり〜明恵上人に導かれて〜

去年の晩夏、友人の誘いで、京都に住むことになった。
生まれて半世紀。30余年暮らした東京から、逗子に引越そうと契約書のやりとりをしていた時に、お誘いがあったのだ。
海の近くに住みたかったのだけれど、京都に暮らせるチャンスはそうそうない。

20代の時、50歳になったら明恵上人の台本を書こうと決めていた。
ってことは、京都に住めば、明恵上人のお寺・高山寺にもスイスイ通えるではないか。
これは京都に呼ばれたのだ!とありがたく留学させてもらうことにした。
(仕事柄、日本各地へ飛ぶので「その土地の精霊に呼ばれたら住んでみたい」と常々思っていた。)

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住まいは川沿い、庭付きの借家。
除草シートがかけられ、仮死状態の庭。
植物好きとしては、庭があるのは飛び立つような嬉しさ。
残暑の厳しさに命の危険を感じつつ、涼しくなるのを待つ。

東京に住んでいた時は、玄関前の小スペースで鉢植えを育てていた。
ノウゼンカズラ、モミジ、キンモクセイ、ヤマブキ、アジサイ、ボケ、ツツジ、ユキノシタ、ガーベラ、スイセン、イチゴ、アサガオ、ネジバナ、などなど20鉢以上。
みんな、友人や近所の眼科の先生に引き取ってもらえた。
ありがたや。

京都にはオオタニワタリだけ持ってきた。オオタニさんと呼んでいる。
(土から放射状にテロンテロンと広がってゆく形が大好き。)
オオタニさんは飛行機(JAL)で運んだ。
機内に持ち込むと、キャビンアテンダントの休憩スペースで管理してくださった。
相棒を大事に扱ってくださり、感謝。。。

JALの冊子に投稿された旅客のエピソードを思い出す。
妻を亡くした男性が帰郷の際、遺骨を座席上部の棚に入れようとしていた時のこと。
キャビンアテンダントが「よろしければ」と男性の隣の席を用意してくれていたのだ。
二人は並んで着席し、共に座席ベルトをして、空へと飛び立った。


京都に住むと、飛行機に乗る回数が減りそうで淋しいな。
まずは、少しずつ、京都の暮らしに慣れていこう。
この暑さに順応できますように。


(イラスト:Akane Nishimura  http://lucypan.sakura.ne.jp/lucypan/ )

(写真:オオタニさん)



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