これはTRPGなんでも Advent Calendar 2022 の3日目の記事です。
「AIのべりすと」という主に小説を生成するテキストAIがあります。
これでTRPGリプレイのようなものを作ろうという試みはいろいろ行われていると思うのですが、自分も試してみようと思いました。
よくある方式は「展開をランダムにすること」、「スクリプトを使って判定みたいなことをしてみること」で実現しようというものだと思いますが、自分は違った方向から行くことにしました。
どういうことか? 実際に進めながら解説します。
急いで遊びたい人は「プロンプト化」の項目まで飛ばしてください。
シナリオ作成
シナリオの前に、まず今回はシステムは「第六猟兵TRPG カクリヨファンタズム」を選びました。
第六猟兵とは
…という感じのTRPGです。「カクリヨファンタズム」というのも世界の名前の一つで、基本は和風っぽいですが「妖怪の世界」というのが特徴であり、東方妖怪、西洋妖怪などの妖怪が暮らしています。
第六猟兵はPBWが元になっており、数値が少ないので今回の方式に向いてると考えました。
それでもルールそのものを再現するのは難しかったので、「判定で難易度を減らし(成功度を貯め)進行している」という部分を再現するという方向にしています。
PBWは現在運営中ですのでこちらも興味あればどうぞ。
ランダムでシナリオを作ろう
そしてシナリオを作りますが、第六猟兵TRPGはほぼランダムでシナリオを作ることが可能です。
「シナリオフレーム」というシナリオの展開がたくさん掲載されており、その中の枠をフラグメントというランダムな部品で埋めます。
「ダブルクロス」などにあるシナリオクラフトをもっと簡単にした感じがイメージが近いです。
とりあえず今回はダイスと任意の選択を組み合わせてシナリオを作ります。
以下、作ったシナリオの全文です。ネタバレが嫌な人は飛ばしてください。
プロンプト化
できました。いよいよここからAIのべりすとに持っていきます。
先程のシナリオをコピペして以下のように書き換えます。
他にもキャラクターブックやスクリプトなどを追加するのでこのままコピペしてもうまく動きません。
リンク先が共有用に修正したプロンプトなので、この後の解説を読んだ後にでも遊んでみてください。
解説
@endpointの追加
「@endpoint」を追加した行以下は生成時に無視されるので、先の展開を書いておくことが出来ます。もちろんAIは読んでいないので生成した文章と展開はつながらないことが多いですが、うまく加筆したり、メモリや脚注に設定を書いて誘導はできないことはないです。
実際に遊ぶときは第1章を進む時にその直前の@endpointを外し、第2章に進んだら外し……とすることで話を進める形になります。
リミット
各章の難易度に当たるリミットを追加しました。これは1回文章を生成することにゲージが増えていき、一杯になるまでに話をうまくまとめるように試行しようというゲーム性を表そうとしたものです。
最初は各章に○を全部書いていたのですが、コメントアウトしていてもスクリプトで置換してしまうことに気づいたので数字に直しています。今後もっといい方法がないか考え中です。
リミットの数値ですが、最初TRPG版の難易度をそのまま1/10くらいにした数に出来ないかと思ったのですが、なんかしっくりこなかったので中途半端な数値になっています。ここはもっと調整が必要かもしれません。
その他の設定
スクリプトはAIのべりすとの有料会員だと使える機能で、入力や出力を特定の言葉に置き換えたりなどがいろいろ出来ます。
AIのべりすとのwikiを参考にリミットのゲージを作りました。
無料会員でも手動でカウントすれば同じように遊べると思うので、メモなどを使って遊んでみてください。
あとは敵NPC、設定のデータなどをキャラクターブックやメモリなどに入力していきます。
ちなみに第六猟兵TRPGはルールブックの二次利用についてのガイドラインが出ており、「プレイ風景やリプレイ、ルール紹介の記事や動画の作成・配信等は個人・商用含み自由に行ってください。」とあるのでこの記事やプロンプトの入力内容も問題ないだろうと判断し作成しています。
ですが、もし何か問題あれば修正などしますのでご連絡ください。
また、これを参考にシナリオを作るのは自由にしていいですが、公開したくないという場合は、エクスポートで「.novel」ファイルにしてローカルのPCに保存もできますのでご活用ください。
実際に遊んでみた
というわけで完成したプロンプトを元に実際に遊んでみます。
実際動かしてみると想定外の挙動が出たりして、いろいろ直しながらになりましたが、なんとか最後まで終わらせることが出来ました。
そもそもAI生成の文章は適当にやっているといつまでも終わらないことになりがちなので、ちゃんとシナリオを作ると終わるのだということに感動しました。ただ結局、自分でプロットを作っているだけなんですが……
展開はカオス(急に謎の技を使いだしたり)だったり、想像と違ったり(急にドローンが自我を持ったり)して翻弄されましたが、不満すぎたら消して書き直すを繰り返せば良いわけです。
以下、実際に遊んで生成された文章をリプレイとして載せておきます。
(調整中だったのでリミットの数字が少し違います)
上のシナリオと比べてどんなふうに生成されたかとか見ても良いかもしれません。
どうでしたか?
最後にアイテムで逆転する展開を考えたのは私ですが、
「シャローインビーム」という技名を考えたのはAIです。
なんですかその技は。
面白いので採用しました。
よろしければ皆さんも遊んでみてください。