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かしこくなりたい。

ばかみたいなことを言うけれど、かしこくなりたい。

難しい言葉は知らなくても、自分の頭で考えた、自分の言葉を紡ぎたい。どこかからの借りものではなくて、自分の心の動きを、自分の違和感を信じたい。つい取り繕ってしまうけど、つい流されてしまうけど、何度でも確認したい。

自分と違うあのひとの、ぜんぶを理解できないけれど、その背景を想像したい。視点をくるりと反転させて、見える景色を想像したい。いろんな角度から眺めたい。いろんな深度で探りたい。わからないことを、わからないまま認めたい。

わたしはあんまりかしこくないから、何度でも間違うから、何度でも正したい。かしこくなろうとすることを、知ろうとすることを、語ろうとすることを諦めたくない。

「私の身体を生きる」という本を読んだ。17人の女性作家たちによる「性」をテーマにしたリレーエッセイ。

自らの身を切って差し出すような、あまりに赤裸々で、あまりに真摯な女性たちの文章に何度も目を見張りながら、自分の中に刻みつけるようにして、ひとつひとつを大事に読んだ。

自身の「性」に関する疑問、違和感、悦び、気づき。

わたしにも痛いほど身に覚えがあるはずの、けれど上手く言葉にできなかったあれこれが、めくるめく鮮やかさで差し出されるのを目の当たりにして感嘆せずにはいられない。

わたしも、わたしを語るための、わたしだけの言葉を持ちたい。

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