法制化されたHACCPが何故進捗しないのか?

国際HACCP同盟認定HACCPリードインストラクターのDaigoです。
初めての投稿になりますが、上記の件について私の見解を述べてみましょう。

HACCP・・・、

H:Hazard(危害要因)
A:Analysis(分析)
C:Critical(必須(重要))
C:Control(管理)
P:Point(点)

直訳すると「危害要因分析必須(重要)管理点」です。食品事業者の方でも、「ちょっと何言ってるかわかんなーい!」という方がほとんどだと思います。

今まで色々なnoteを拝見してきて、この「HACCP」に対する投稿はほとんど目にすることはありませんでした。しかし、この「HACCP制度化」は2021年6月1日に完全施行となった「食品衛生法を一部改正する法律(通称:改正食品衛生法)」に含まれており、全食品事業者が実施しなければならないことなのです。その中には食品メーカーだけではなく、倉庫を保有するような問屋さん、食品を配送する運送業者さん、販売するスーパーさんまですべて含まれます。

ところで・・・、
私は元々食品メーカーで製品開発や品質管理、生産工程管理等を行ってきた人間であり、現在は食品衛生コンサルタントとして独立した身であることから、このHACCPに関しても基本はすべて現場目線で指導・支援を行います。

HACCPで最も大切なことはPDCAサイクルをしっかり回すことであり、「やらされて実施するもの」ではないのです。自分たちでPDCAサイクルを回す形を、徐々に形成していく必要があります。

では何故HACCPが法制化されたにも関わらず進捗しないのか・・・、
まず最初に抑えておかなければならないのは、日本が「食品衛生の先進国ではない」ということです。3年程前、私はある地域の市民講座で講師を担当することになりました。そのとき私は「日本で製造された食品は安全だと思いますか?」と、受講者さんに問いかけました。

すると・・・、
90%以上の方が手を挙げられたのです。私はこの反応に対し、真向から否定しました。海外諸国の多くが、20年以上前からHACCPを法制化しています。それに対し、日本が「やっと」法制化したのが2021年・・・、正直言って遅れすぎです。

では何故法制化された今でもHACCPが進捗しないのか・・・、
これは私たちコンサル業界も反省しなければなりませんが、「多額の資金がかかる」、「特別な設備がないとできない」、「古い工場では無理」と思っておられる事業者さんが非常に多いということです。

HACCPは「原料の受入」~「製品の出荷」までを管理する為の「手法」でしかありません。手法に対して「特別な設備が必要」というのはおかしいと思いませんか?私は行政(保健所)職員に「金属探知機を入れないとHACCPはできない。」と言われたという事業者さんから相談を受け、その保健所の担当者をボロカスにしたこともあります。法令違反をしていない限り、行政職員が「〇〇を買いなさい」という発言はできません。また、法制化されたのだから、行政はしっかりとした罰則条例を実施すべきです。それもほとんどの自治体で実施できておりません。

HACCPを実施するメリットが見いだせない・・・、
HACCPを実施したからと言って、すぐに売り上げが上がるわけでありません。それは断言しますが、しっかり実施できていれば、大手企業との取引きが可能になるし、何よりも「自分たちを守る」ことができます。よく、「PL保険に入っているから大丈夫だ。」という声を耳にしますが、どんな損保でも「すべてを賄ってくれる保険」はありません。特に廃棄費用等はPL保険の対象外です。

今回はここまでにします。機会があればまた書きますね。それでは・・・。

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