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感情骨


恋愛、と口にする。絵画のように青く燃えてはいない。
春の気圧がそぷらのして、空洞がもっとも光っている。
(いないのに?)(いないから)
うつろのはるかあなたへわたしを代入することができる。

やがて遺影になるまでの日々を生活と呼ぶように、これまでのすべてが愛の名に束ねられてしまうなら、いっしんに走ってゆくこのにくしみは何なのだろう。ことばが追いつけない速度でわたしたちのからだは、感情は組みかえられてゆくのに、つかいふるされたことばで安心しているの? 名づけられれば、もうふるびてゆく。花の蘂がこちらを向く夜、にくしみがきらきらと眠れない。

骨。ずっと露呈している。
「これは生きてきた鬱の地層?」
よろこべないものをとりくずしてきたね、
えらばなかった名前のない感情、
白い椅子にかよう電気のようで忘れたかった。
ghostlight,
目をそむけられた感情が身投げしてゆく炎がながれついて、
腕をまるく焦がした。


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