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大型倉庫が乱立する理由

今回は大型倉庫について話したいと思います。

最近、ECが活況で大型倉庫をよく目にするようになりました。あの巨大な倉庫がどうして多数、短期間に建設されるのか。これらがどのように成り立つのか考えたいと思います。

サプライチェーンや物流を考える上で倉庫は外せませんのでしっかり確認をしていきましょう。

多数の大型倉庫


コロナ前はアメリカへの出張がよくあり、空港からレンタカーを借りて色々と移動していました。

高速を走っていて疑問に思っていた事がありました。それは高速の各出入口付近に存在する大型倉庫です。全ての出入口にある訳ではありませんが、かなりの出入り口で大型倉庫が存在します。

なぜ、こんなに大型倉庫が建てられるんだろうか?と思ったのです。しかも一つのブランドだけでも相当な数です。

日本よりも土地が安く、耐震性も低く簡素な作りなので、建設費は安いのだろうとは思いますが、それでも相当な費用の筈です。その理由はその時は分かりませんでした。

事業採算性改善


当時、日系企業が米国で躍進していて、アメリカの製造業の多くは事業採算性の改善に取り組んでいました。キャッシュフローの改善、キャッシュコンバージョンサイクルの改善です。小難しい言葉ですが要は「お金を早く回収して、年間通してどれだけお金を増やしたか」が議論されるようになったのです。
株式の投資指標として短期で利益を上げるため市場から重視されるようになった訳です。

その中で各企業は固定費、固定資産の削減に走ります。全て自前で建物や設備を用意すればそれだけ現金が早く必要になり、回収には時間がかかります。建物や設備を借りれば固定資産の圧縮が可能で、キャッシュも減りませんし、負債も増えません。決算の数字が単純に良くなります。

そこで選ばれるのが汎用性のある物流施設、つまり倉庫です。

REIT


モノを製造するメーカーであれば倉庫は必ず必要です。固定資産圧縮が急務の各社の倉庫ニーズが高まったのです。そこに考案されたのがREITです。不動産投資のために証券化された商品です。賃借収入から配当金が支払われるため高い配当性向があります。こうする事で短期に多額の資金を集められるため大型倉庫を多数展開できるようになったのです。

もちろんREITにもデメリットがあります。株と同じように変動するため元本を割る可能性があり投資家がリスクを負う形になります。

ただ、倉庫需要はEC需要も活況なこともあり堅調で、高いリターンが得られ、投資の選択肢の一つとしては悪くないでしょう。

大きな視点で見ると各企業の経営を支援し、倉庫需要・サプライチェーンの構築にも応えるもので、このスキームが社会に貢献しているとも言えます。

最後に


倉庫プロジェクトの裏側を紹介しましたが、いかがでしょうか?

私自身、倉庫契約を多数結んでいるのでREIT物件も扱う事があります。
REIT物件は新規大型の倉庫が多く、設備も立派で非常に使いやすい倉庫です。防火、耐震、免震構造を備えていてBCPの観点からも利用価値はあります。

最近ではメタバースの倉庫見学会なども行われていて検討もしやすくなっています。

直近では物流の混乱などもあり、賃料が高騰していますが、リーマンショック後はかなりお値打ちな物件もありました。倉庫の作業内容にもよりますが検討の一つとして入れてもいいと思います。長期契約なものが多いのも少々ネックですが、物流管理されている方の参考になればと思います。


なお、この記事はサプライチェーンを支える設備の一部を紹介したもので、投資を推奨している訳ではありません。REIT投資される方は自己の判断と責任でお願いします。

以上、今回はここまで。
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