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持続可能な物流を目指して

今回は物流の将来についてです。
2024年問題で話題になっていますが物流DAOもこの問題の解決に少しでも貢献できるように資料を配布しましたので、こちらの解説をしていきたいと思います。

2024年問題


2024年問題で色々な視点で議論がされています。
一番多く語られているのは35%の荷物が運べなくなるというものです。

これに対して自動化、規制緩和、速度アップ等で輸送能力を上げようという考えが多いようです。これらも一つの手段なのですが根本的な解決策では無いように思います。

例えば
自動化、規制緩和を行えば単純に供給が増えますので、輸送力の改善には繋がりますが、逆にドライバーの賃金を押し下げ、将来性も暗くなりますので、ドライバー不足が更に加速するでしょう。速度アップも事故増加の原因にもなり得ます。

もちろん、これらの対策も有効なケースもあると思いますので、一律の対策ではなく、適切な対策を組み合わせていく必要がありそうです。

物流の安定供給


では今、目指すべきゴールは何でしょうか?

物流DAOが考えるゴールは物流の安定供給です。つまり持続可能な物流です。
いつでも、必要な物が、必要な時に、必要な量だけ供給されなければ私たちは生活していけません。物流は社会にとって非常に重要なインフラなのです。

輸出入でコンテナの海上輸送を扱っている方は昨年、海上輸送の混乱で痛い目に遭ったと思います。輸送しようにも予約が取れない、取れても遅延、遅延の連続で世界の港、鉄道など至る所でコンテナが滞留していました。

輸送が出来なければ、事業が停止してしまいます。結果、通常の何倍もの価格を支払って輸送し、そして大幅に遅延する事態に陥ったと思います。物流の安定供給が如何に大事か実感した年だったのでは無いでしょうか?

今度は国内で2024年問題により物流が不安定になる訳です。
供給が不安定になってからの対応は限られています。高い運賃を払って予約の取り合うしかありません。そして遅延も多発しますので、商売や生産が計画通りに行えず損害が出ることは必至です。

運送会社の状況


安定供給するためには、以下のポイントについて理解をして頂きたいと思います。

  1. ドライバー不足

  2. 長労働時間

  3. 低賃金

  4. 車両価格の高騰

  5. 経常利益率の改善

まずはトラックドライバーが不足しています。20万人以上のドライバーが不足すると言われています。そしてドライバー不足を補うためか長時間労働が常態化しています。業務の構造的に残業が発生する背景もありますが、全産業の2割以上長く労働しています。

更に全産業の1から2割ほど低賃金となっています。これでは新しい人も集まりません。ドライバー不足の悪循環に陥っていると言えます。

一方、運送会社のコストである車両価格は30年前から2倍以上になっています。デフレで物価が長らく上がっていなかったのにトラックについては価格が大幅に上がっているのです。これは環境対策や安全装備の増加が原因です。

これらの結果、運送会社の経常利益は赤字0.2%から黒字でも0.9%程度でかなり低いレベルになっています。

つまり運送会社の状況をまとめると、コストは上がっているのに売上は改善できず人は集まらないので長時間労働をしても平均よりも低い給料しかドライバーに支払えていないと言えます。

この状況では倒産する会社は増え、人は遠ざかり物流は不安定になるばかりです。


運賃修復


今、荷主がやるべき事は物流サービスの安定供給のために運賃修復に計画的に応じていく事です。これまではトラックは入札すれば価格競争が発生して極限まで低価格になり、付随作業の無償サービスが提供されていました。荷主が圧倒的に優位な立場にありました。

この荷主優位は徐々に崩れていきますので、早めに運送会社と厚い信頼関係を築き、要すれば多くの優良ドライバーを確保できるよう輸送費用でサポートしたいものです。

また値上げ要請に聞く耳を持たないと、優位的な地位の乱用、買い叩きなどで、独禁法等で罰せられ、最近では企業名の公表がされていて社会的責任も非常に大きいです。最近では当局の調査が一層強化されています。昔と同じ感覚での取引ではニュースに自社の名前が掲載されバッシングを受けるリスクは高まるばかりです。


まとめ


自動化もまだまだ時間が掛かります。トラックの自動運転は狭い日本では特に難しいですし、積み降ろしについても人手頼りの作業で、なかなか機械での作業は出来ません。少子化が進んでいて労働力不足はもっと深刻化するのは間違いありませんので、将来に向けて自動化の開発は進めないと行けません。

一方で多くの若い人が長時間労働で体力勝負的なドライバーにはなろうとしません。高齢化も急激に進んでいます。2024年問題がなくとも物流を支える人材が減っている現実は変わりありません。

物流業界の環境改善は社会の物の供給を安定させる取り組みで、物流に全く関係ない人はいません。社会全体にとって必要不可欠な取り組みになります。皆さん自分の事として、出来るだけ早くこの問題に向き合って解決策を模索することを強くお勧めします。

以上、今回はここまで。
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