見出し画像

『俺の道』収録曲感想〜前編〜

個別感想の前編です。
全体感想・個別感想後編はこちら

「生命賛歌」
最初の1音を聴いただけで胸ぐらを掴まれて一瞬で曲の世界に引きずり込まれる。重厚感のあるギターリフ。重厚感のある声。イントロを聴くだけで内側からウワーッと生命が湧き上がってくるような感覚になります。だだっ広い草原の真ん中にいる情景が浮かんで、草の匂いまでも漂ってくるかのよう。生命賛歌よ!と歌い上げる壮大さは「オマエ・デッケエナ」のでっかさに負けていない。

「俺の道」
前曲で胸ぐらを掴まれたと思ったらそのまま続けてこの曲で引きずりまわされる。ゆっくりと歩くようなスピードで始まって、行き場のない抑圧されたうねりのようなものが間奏のドゥドゥドゥでグワーッと爆発する。バンド音もいいんですよね。ドラムのリズムがまるでのそのそと睥睨しながら歩いている感じで、ここでギター音が欲しいなというところで必ず絶妙なギターリフがくる。ベースも然り。歌と音が一体となって調和している。最後の捻り出すような喘ぐ声にグッときます。

「ハロー‼︎人生」
引きずりまわされた後、この曲でポーンと放り出されるような感じ。長いこと疾走感のあるライブver.で聴いていて、アルバム初聴きの時テンポが遅いなあと感じていたけれど、今ではどちらも大好きです。アルバムの方は特に間奏の跳ねる感じがカッコよくて悶絶します。このリズム好きだなあ。最初から最後までカッコいい。そしてこの曲は宮本さんの多彩なコーラスも聴けます。気分を上げたい時は必ずこの曲を聴きたくなるけれど、あるとき聴いていたら突然涙がこぼれてきて。心に深くつき刺さる曲でもあります。

「どこへ?」
エレファントカシマシのミドルテンポの曲って結構好きなんですよね。この曲もギターとベースのリフがかっこよくてクセになる。アンニュイな声から叫び声に変わるところがグッときます。羨望、怒り、焦燥、苦悩、決意、迷い、歌い方の変化で感情とか雰囲気を表現するのがいつもすごいなあと思う。はあ…というため息から始まるところと、よしきた!という感嘆詞?を歌にするところが個人的にツボです。

「季節はずれの男」
こちらもミドルテンポの曲。気持ちのいいメロディ。気持ちいい声。けれども夏の眩しい光はなく季節はずれのような雨の中、遠くへ出かけよう(=自分の信念に基づき進んでいこう)とする男の歌。こういう比喩表現が秀逸だなあと思う。ところで、途中のオウッという掛け声?が好きです。アルバム『ココロに花を』の「うれしけりゃとんでゆけよ」でデモにはあったけどリリース版で消えちゃった野太い声。すごく残念に思ってたのがこの曲ではハッキリしっかり言っててうれしくてとんでいきたくなります。

「勉強オレ」
このイントロすごく好きで一発で気に入った曲。こういう2本のギターでやるのなんていうんだろう。間奏もめちゃくちゃかっこよくて、もうずっとギターリフ聴いていたい。内容もタイトル通りひたすら勉強オレです。この歌詞の名詞の羅列は圧巻で、特にこの位置に“そして女“と持ってくるところが、リズムと語感と意味がピタッとはまって快感です。言葉の響きをたぶん音として(意識的にも無意識的にも)捉えてるのかな。羅列だけれども単調じゃなくて耳に心地よく響いてくる。リズム感はもちろんのこと、この、言葉の感覚が鋭くて唸ります。

後半へ続く

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?