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アルバム『俺の道』全体感想

今回は、エレファントカシマシ14thアルバム『俺の道』です。
※重要なネタバレを含みます。未聴の方はご注意ください。

個別感想はこちら

このアルバムを初めて聴いたときの第一印象は「もうギターリフがひたすらカッコいい」でした。何度も聴いた今でもギターのかっこよさに唸ります。まさに ”ロック屋” な一枚だと思います。

そして、狼のジャケットまで含めてアルバム丸ごとでひとつの作品という印象を受けます。書籍の体裁になってるからタイトルが縦書きなんですけど、ケースを開けた状態でも、歌詞カードがケースに収まっているときでも、その “向き“ にすごくこだわりを感じる。元々装丁も好きだから、じっくり眺めちゃうんですよね。このジャケットは数あるアルバム・シングルのジャケットの中でも秀逸だと思います。大好きです。

さらにタイトルだけ順を追って眺めているとなんだかストーリーが見えてきませんか?アルバムにせよライブにせよベスト盤にせよ、宮本さんの、曲順に対するこだわりというのを強く感じることがあるんですが、特に『俺の道』は、起承転結じゃないけれど明確な “流れ” を感じます。その流れは最初から最後まで破綻がなくて、5分の空白さえもあるべくしてあるという感じ。

だから、このアルバムに関しては〈アルバムを丸ごと聴く〉ということがすごく重要なんじゃないかなと個人的には思うんです。

聴き始めのころ、収録曲の流れについて感じた印象を割と興奮気味に語ってます。これをベースに次回は個別感想を書きたいと思います。

【妄想含むちょっと深読み】
『俺の道』というタイトルの意味と、空白の時間について考えたこと。

ここにある空白は前と後でフェーズが違う、という感じがします。ドラマによくある、そして○年後みたいな。時間の経過を感じるんですよね心理的にも物理的にも(5分は結構長い)。単に、曲調の違うものをどうしても入れたかったから苦肉の策で、という理由かもしれない。けれどもわたしたちは今、ソロワークスという未来を知っているから ”俺に還ろう” という言葉は、このときの無意識が声として出てきたんじゃないか、というようなことをつらつらと考えたりしました。

一般的には、バンドの音に還ろうという意味だとは思うんですが、それは意識の層にある意志で、無意識の層にある、たぶん子どもの頃からの声というか、想いは昔から通奏低音として存在していて、要所要所でこうしてひょいと顔を出してくるのかなあなんて。

なお、歌詞カードが無いんですが、かえろう=還ろう と解釈しました。ちなみに、phase とは月の相(the phases of the moon)を表す言葉でもあるんですよね。

(おまけ)
マイルールとして「アルバムジャケットを絵で描く」ということにも挑戦してます。こちらの狼の絵は万年筆HERBIN(M)で描いてます。インクも同じメーカーですが色名不明です。ヴィオレパンセだと思って入れたカートリッジがブルーブラック色だったというオチ。

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