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アルバム『愛と夢』全体感想

この note は、今までTwitterや下書きに書いてきた楽曲感想をもとに、加筆修正してちょっと長めの文章にまとめてみたものです。わたしは宮本さんのソロワークスから遡って聴いているので、これから発売年順は関係なくアットランダムに取り上げていこうと思います。

今回はエレファントカシマシ10thアルバム『愛と夢』の全体感想から。

とにかく声が優しい。びっくりするくらい優しい歌声がこの時期の特徴かと思うんですが、もうひとつ、ギターが鳴っているように歌う独特な歌唱、ひとことで言うと「遠吠え」のような歌い方もこの時期に特に多いような気がします。すごく綺麗な響きです。

そして、楽曲の基礎となるバンドの音ですけど、基本は宮本さん自身によるMTRの打ち込みで制作されていて、特にドラム音が軽いのが特徴のひとつかなと思います。狂いのないリズムなのでこの音はともすれば冷たい、無表情の機械のような印象が強いけれども、“愛と夢“というタイトルからも分かるように歌詞や歌にとても情感がこもっているので、それらとのバランスでいけばこれくらいの無機質な音が逆に合っているのかな、と思いました。

また、声や表現はすごく感情的に聴こえるんですけど、制作している本人は客観的に冷静にどういう作品にするのか、何を目指すのかを醒めた目で眺めているんじゃないかな、とも想像します。もちろん恋愛で経験した気持ちは本物だけれど、それを作品にするにあたって感情を対象化している、というふうに。

ちなみに、宮本さん本人はこのアルバム制作について、インタビュー集『俺たちの明日 上巻』に

好きになったり嫌いになったりとか(中略)日常的なストレートっていうのはまだやってないのかなっていうところがあって、そこはひとつやってみたくなったんだと思います。

とあります。
そして、同インタビューにて “今回のアルバムに関してはデモテープの方がはっきり言って良かった“とも明かしています。もともと宮本さんのデモ音源には定評があるんですけど、デモテープの音はリリースされた音とどういう風に違うのか、どう感じるのか、ぜひとも聴いてみたいところです。

と言いつつ、実はその一端をYouTubeで観る(聴く)ことができます。

34:00 辺りから「ヒトコイシクテ、アイヲモトメテ」のイントロのギターリフとワンフレーズを宮本さんが弾き語りで歌っています。わたしはこの弾き語りを聴いてアルバムを購入しました。やっぱりデモ音源全部聴きたいですね〜

次は『愛と夢』アルバム収録曲の個別感想を書いていきたいと思います。

追記
新春2015のライブ音源では「おまえとふたりきり」の弾き語りが聴けます。これもデモテープの雰囲気を感じられてすごく良かったです。貴重な音源だけれども『愛すべき今日』の限定盤に入っているのでちょっと気軽に購入しづらいんですよね。。

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