見出し画像

痛いってウワサのアイツ

生きていればいろいろあるもんで。
数年間放置していたポリープが、いよいよ存在感を増してきたのでついに手術に踏み切った。

すこぶる健康に産んでいただいたおかげで、大病もせずにここまで過ごしてきた私だけど、それでも年に数回くらいは病院へ通うことになる。

謎の蕁麻疹に悩まされては皮膚科へ行き、季節の変わり目に肌荒れしては皮膚科に行き、新しい化粧水に荒れては皮膚科に行くという始末。

皮膚科は常連、お手のもの。いっそのことポイントカードつくってほしいわ。

延ばしに延ばした2月末の会社の年イチ健康診断で、子宮の入口にいたポリープを指摘された。さらに「早めに取ったほうがいいですね〜」とのこと。

まったく、軽く言いやがる。

婦人科検診の医者曰く、不正出血や月経過多の原因になるとか。ここ数年の経血量の多さに心当たりがありまくる。

命を宿したこともないmy子宮が、必死につくったのがポリープだったとしたなら可哀想過ぎるなぁ。なんてぼんやり考えながら「はやめに、ですね。そうします。」と診察室を出た。

皮膚科以外の病院に慣れていない私にとって、婦人科はハードルが高い。しかもポリープとはいえ、身体の一部を切り取るなんて。

手術は痛いのかしら?

恐怖に駆られて調べまくったところ、子宮頚管ポリープの除去は力技だということがわかった。捻り切る。「捻り、切る。」ポリープを掴んでグルグルグル〜、ブチっとやるらしい。

調べなきゃよかった、と後悔したけど時すでに遅し。どこのクリニックを見ても同じようなことが書いてあるんだから、そういうものなんだろう。

「婦人科 名医」で検索して、あれこれと見比べてみたけれど、結局は最寄駅から数駅先の一度かかったことがあるレディースクリニックに決めた。

近年は子育て世代に人気で、駅周辺にはショッピングモールやマンションがどんどん建設されている。デラックスなあの方が、テレビでこの街に言及したことでさらに知名度があがったような気がしている。やっぱ影響力すごいわ。

賑わう街のとある住宅街にあるレディースクリニック。そこで私ポリープを切除することにした。

パタリロの実写版を見事に演じ切った俳優さんを20歳老けさせ色黒マッチョにしたような外見で、笑いながら怒るネタをお持ちの個性派俳優さんそっくりの低音ボイスの先生。

患部が患部だけに恥じらいの気持ちで女医さんをと希望する人も多いだろうが、あっさりさっぱりテキパキしたこのお医者さんが気に入っている。クリニックが盛況なのも腕がいいからだろう。

結果から言うと、捻り切りは想像に反して痛くはなかった。ただ、子宮内にもポリープがあることが判明。いや、何個つくってんのよ私!そして、同様に切除が必要とのこと。

しかもこちらは麻酔をかけての手術。捻り切りより大掛かりになる。さらに出産経験がない私は、子宮口が閉じているため、子宮口を広げるための術前処置が必要なのだそうだ。

子宮の入口に海藻でできた棒(ラミナリア桿)を差し込むことによって、棒が体内の水分を含んで広がるシステム。お産のときになかなか子宮口が開かない場合にも使われるそう。検索魔の私はこれまた調べに調べまくる。

痛い。すごく痛い。気絶するほど痛かった。

経験者の声、声、声!調べなきゃよかった(2回目)手術当日までの約1ヶ月、話せる友人みんなに話し、励ましの言葉をカツアゲして決戦の日に臨んだ。

名前を呼ばれ、緊張がピークに達する。看護師長さんから処置の概要を再度確認される。「ちょっと痛いかもしれないけど、頑張ってね。」医者や看護師さんが言う「ちょっと痛い」は、たぶん結構、いやかなり痛いはずだ。

ビビり倒している私を見て、看護師長が「麻酔つかう?お金かかっちゃうけど」と控えめに提案してくれた。苦痛を免れるためなら金に糸目はつけねぇ!とノリノリで金額を確認すると「2万円くらいかな」と言われたので、すぐ財布を引っ込めた。

動く椅子に座る。ゆっくり向きを変え、カーテンが引かれて、足がパカーンと開く。気を逸らそうとモニターに映っていたわけのわからない数字とアルファベットを見ながら、深呼吸を続けた。

じゃ、はじめますねー。痛いけどすぐ終わらせるから我慢してください。とお医者さん。

やっぱり痛いんだね、と思いながら「はいぃ。」と応える。か弱い中年女性を装ったら、いつもより優しく、痛くなく処置してくれるかなどと思いながら。

こんな時でも打算的な自分に愛おしさすら感じる。

ふと気づくと、震え上がり胸に手をあてていた私に、そっと看護師さんが手を重ね、赤ちゃんにするようにトントンしてくれている。

ホスピタリティ!

気絶するほどの痛みがいつ襲ってくるのか、それがどんな痛みなのかと想像しているうちに、「もう1本〜!」というシブイ声。瓶ビールでも追加するかのような調子で例の棒(ラミナリア桿)2本目。

はい、終了です。

おや、おやややや?
全然痛くなかった。これっぽっちも。豆腐に釘を刺す如く、するんと入った。いや、多少の違和感はあるけれどまったく痛くはない。

なんだよGoogle!全然痛くないんじゃん!!と思ったが、お医者さんも看護師長さんも「痛いからね」と言っていたわけなので、きっと痛いと感じる人の方が多いんだろう。

個人差なのか、体調なのか、お医者さんの腕が良かったのか。はたまた私の子宮口が強靭なのかはわからないけれど、とにかく痛くなかった。

ラミナリア桿、攻略。

ネットだと「すんごい痛い」という情報しか出てこないので、「痛くない場合もある」ということをここにひっそりと残しておこうと思う。

そして、麻酔(2万円)使わなくてよかった〜!

ちなみに翌日、静脈麻酔でポリープ手術を行なったけれど、麻酔下なので寝て起きたら終わってました。

この記事が参加している募集

#上半期の振り返り

484件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?