きょうだいたちと晩餐

きょうだいたちを並べた。4人。
彼らは、いわゆることが一度以上何かあった人たちだ。

それぞれに終わっているから、欲の灯った目で私を追う人もいない。うっすら、この中に兄弟がいることぐらいわかっているはずだが、そんな話題は出てこない。今更、なのだ。彼らにとっても私にとっても。欲しくて欲しくて仕方なかったのに、つまみ食いしてしまった瞬間にやっぱやめとこう、となる。食欲って不思議なものだなあとしみじみと思う。

ひょっとして、全員が全員、あいつは俺に夢中とでも思ってるのだろうか。全員が全員、俺がフったとでも思っているのだろうか。だとしても、ばーか、そんなわけないでしょう。と思うわけでもなく、まあ、そう思ってても仕方ないよねって思う。

なんていうか、私は私で、サクッと自分が切ったと思ってるから、向こうが同じように思っていても違和感はない。まあきっとなにか思うことがあって事が起きたのだから、多少は考えが被ってる部分があってもおかしくないよな。少なくとも、後先よりも欲を優先してしまうって点においては共通している。後先考えられれば、4人がたまたまにも集まってしまうことなどない。

ああ、4人いるなと言う感じ。
この空間で、どういうわけだか、真実の愛について語っている5人。常に愛があるよ、という私の発言に少しだけピリつく空気を感じる。いやいや、今更あなた方とどうとかいう話ではないのでご安心ください。
ああでも、ピリッとしたときの空気感はちょっと好きだなぁ。終わったものたちが集まっても、まるで縁側の日向ぼっこみたいな空気を感じてしまう。あるいは芝生のピクニック。ここは深夜の赤坂だというのに。一瞬のヒリつく空気に食欲を感じる。なんでもないのになあ、これは錯覚。

"今、兄弟たちを4人並べてるんだよね"、
と、彼らの長男にご連絡差し上げる。ああ、私もだいぶ狂ってるなあ、なんて悦に浸る。
"いい。俺も並びたい。戦隊ヒーロー。"
4人を見渡しても、ヒーローに見えないけれど。私がちょっと苦笑していることに、気づくこともない。まあ1度は強烈に惹かれたんだけどな。
とりあえず彼にはレッドを上げよう。数年会ってないまま、たまにラインする関係になってしまった愛すべきご長男様。

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