継続率向上施策で踏み抜いてきたアンチパターン3選

このnoteは Repro稲田宙人さんの主宰する「モバイルアプリマーケティングアドベントカレンダー2021」の14日目の投稿です。面白かったら是非ハッシュタグ「#アプリマーケアドベント」を付けてシェアをお願いします!

こんにちは!ミラティブの坂本です。

IT業界にそろそろ12年になるのですが、ゲームやSaaSでデータ分析をやっていたり、SaaSやファンクラブアプリのPdMなどを経験してきました。その中で、継続率については相当に向き合ってきました。伸びたこともあるし、伸びなかったこともあります。今日は、私が踏み抜いてきたアンチパターンを3つの結論にまとめたので、紹介します。

まず結論から書きます。

  1. 継続率を短絡的にあげようとするとうまく行かない。→継続率を説明する変数を探して地道に向き合う。

  2. 見かけの成果に惑わされない。→アプリの本質的なKPIにつながっているかどうかをウォッチする。

  3. グロースハック的なアプローチにこだわりすぎない。→今は改善 or 改革?のジャッジをする


①継続率を短絡的にあげようとするとうまく行かない

継続率を短絡的にあげようとすると、大体迷走します。

例えば、SNSアプリを運営しているとします。継続率向上施策などが立ち上がると、だいたい下記のような流れで施策が進みます。

  • 企画チームが初日にどんな行動をさせればよいかわからず、「継続率が高い人の初日の特徴的な行動は何か?」ということを分析チームに依頼します

  • データ分析チームが、継続率が高い人が行っている行動を調べます

  • 「機械学習にかけると、X回以上フォローしている人が継続率が高いです。これはマジックナンバーです」と分析結果がでます。

  • では、おすすめのユーザーをX人強制的にフォローさせよう!こうすれば、すべてのユーザーがX人をフォローするので継続率があがるだろう。

こういう短絡的に継続率をあげる施策はだいたい失敗します。それはそのはずで、例えばこの場合も、「初日に自発的にX人フォローする体験」と「知らないおすすめユーザーをX人フォローさせられる体験」って全く違いますよね。

この場合の正解は、X人フォロー率をBridgeKPIとして設定し、その数字をあげるです。つまり、継続につながる中間指標を定義して、その数字を地道に上げていくのが継続率向上への近道です。

BridgeKPIを施策で上げていこう

「短絡的に強制や報酬によってユーザーの行動を変える」という施策が有効なのは、その行動を受け取る側にメリットが発生する場合のみです。例えば、他人へのコメントをするとコインが貰えるSNSがありますが、それはコメントする側の継続率をあげるというよりは、コメントを貰う既存ユーザー側の継続率を上げる施策です。他の例では、アンケートに答えるとコインが貰えるなども、そのアンケートによってより精度の高いレコメンドができるなどのメリットがあるからです。

話が寄り道してしまいましたが、X人フォロー率をBridgeKPIにしてその数字をあげていくとはどういうことでしょうか。例えば、

  • ユーザーの興味関心を先に取得しておき、それに合わせたユーザーを推薦する(こうすれば継続率の話がロジックの精度の話に落ちる)

  • 1人フォローしたときに、もっとフォローしたくなるような体験を用意する(例えば、1だけフォローするとスカスカでもっとフォローしたくなるUIを提供するなど) こうするとUIの問題に落ちます

といったような内容です。よいBridgeKPIは上記のように様々な施策に落とすことができます。ちなみに悪いBridgeKPIの代表としては、「3分以上アプリ滞在率」のようなコントロールが難しい熱量指標です。このBridgeKPIをあげようと思うと、

  • 1記事に改行や改ページをして、滞在時間をあげてみよう

  • 20秒のリッチアニメーションを追加して、現在2分台の人を3分台にあげよう

というような施策になってしまいます。これはどう考えても効果ないですよね。

まとめ

  • 継続率をあげるには、BridgeKPIを見つけよう (適当に機械学習にかけるだけでも候補はいくつか出る)

  • 施策がイメージできるBridgeKPIをBridgeKPIとして採用しよう

  • BridgeKPIを短絡的にあげる(強制XXや報酬で釣る)のではなく、BridgeKPIを上げるための施策に地道に向きあおう


②見かけの成果に惑わされない

薄いユーザーだけを増やしてしまった….

「継続率があがった」あるあるなのですが、「それって薄いユーザーを増やしただけなのでは?」ということです。

上の図を見てもらえるとわかりますが、例えば「翌日にログインする人が増えた!」といっても、実は人口比が変わっていて、薄いユーザーをたくさん増やしている場合もあります。

①で紹介したようにBridgeKPIを見つけて地道に改善している場合はこういうことにはなりにくいのですが、ログインボーナスなどの報酬施策で継続率を増やした場合はこのようなことになりがちです。

なので、継続率をログインだけで測るのではなく、濃いユーザー指標(例えばSNSだと記事閲覧数や、記事投稿率など)が増えているかもモニタリングしておくことが重要です。

ちなみに、ログイン率だけを追っていると、PUSHやお知らせやメール施策に終始する事が多いですね。ひどい場合は、チームでモニタリングしているday1,3,5,7,30のログイン率を上げるためのPUSH施策にチューニングされている場合などもあります(ダッシュボード上のKPIはキレイに見えるので。そりゃ30日目にPUSHが来たら何事かと思ってアプリ開きますよね….)

まとめ

  • 継続率はログインだけを指標にせず、濃いユーザー指標も合わせてウォッチする

  • そうしないと、知らず知らずに薄いユーザーだけが増えていることに気づきにくい。

③グロースハック的なアプローチにとらわれすぎない


改善か、改革か。


いやぁこんなこと最後にいうなや的な話なのですが、グロースハックって結局はチューニングの域をでないんですよね。漫画で例えると、

  • 「来週はとんでもない展開が!」というようは週刊誌のアオリ

  • 「人類すべてが泣いた」みたいなオビ

みたいな捉え方を私はしています。もちろん重要です。しかしながら、結局の所は、「面白い漫画であること」が継続の秘訣であって、グロースハックはそれを最大化することしかできません。どんだけ素晴らしいアオリやオビを書いたとしても、「魅力的な新キャラの登場」や「因縁の対決のクライマックス」には勝てません。

ようはサービスのコア体験が磨かれていないうちからグロースハックをしても局所最適解になってしまって、長期的に見ると無駄な投資になってしまいます。

改革と改善のジャッジの目安は、「類似の他のサービスと比べる」です。詳細は省きますが、丁寧にほかサービスを観察すれば、大体の「X日後の投稿率」みたいな数字を推測することができます。もしくは、他サービスのKPIが見れるようなシステムを利用するのも1手です。そこで半分以上離されているなら、グロースハックによる改善ではなく、改革をすすめることがおすすめです。

まとめ

  • グロースハックはいうてチューニング。改革か改善かどちらを優先すべきか

最後に


今日の記事、色々とぼやかして書いています(具体的なことは書けないこと多いので笑)が、私と分析やPdMの話をしてみたい!て方がいれば下記のMeetyからお気軽に!



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