そろそろ新しい環境をもとめはじめているプロダクトマネージャーの方へ
こんにちは。
ミラティブの執行役員プロダクトマネージャーの坂本です。
プロダクトマネージャーを取り巻く背景
米国のビッグテックがレイオフをしたり、日本でも「エンジニアバブル」という言葉がSNSを賑わせたり、実際に老舗のスタートアップが人員整理に動いたりしています。
プロダクトマネージャーにおいても、事業そのものが無くなったり、開発チームの人数が減ったりすると、当然のごとく仕事は減っていくと考えられます。プロダクトマネージャーのオフ会に顔を出すと、「事業がなくなり異動になった」のような話を聞くようになりました。
さらに、プロダクトマネージャーの仕事もスキル標準化・コモディティ化が進んできいます。下記は先日発売された本ですが、プロダクトマネージャーになりたいと思う人が、どうやったらなれるのかという手ほどきをしています。(既にPdMの方がどのように成長するかの章もあります)
このような状況において、あなたは何に特化したプロダクトマネージャーなの?ということを磨いておかなければ生き残れない時代がやってくるのではないかと思っています。
コミュニティに特化したPdMにならないか?
コミュニティとは
コミュニティのサービスと聞いて何を思い出す方が多いでしょうか?
40前後の方は、ニフティサーブなどのパソコン通信・その後の個人サイトBBSやチャット
30代の方は、mixiのコミュニティ
20代の方は、DiscordやSNSのハッシュタグ
なんかを思い出すんじゃないでしょうか?好きなものをテーマにして、誰かと誰かがコミュニケーションを行い、その場所が自分の居場所になる。どの世代にも、そんな場所はあったはずです。私の原体験で言えば、
X JAPANのファンサイトで夜な夜なチャットをしていた
学校の友人が集まるサイトをつくって、夜な夜なチャットをしていた
というような体験です。おそらく皆様にも、一度や二度、インターネット上のコミュニティにお世話になった経験があるんじゃないかなと思います。
Mirrativってなんなん?
私はMirrativというサービスを運営しています。Mirrativは機能的にいうと「スマホのゲームをスマホだけで簡単に配信できるプラットフォーム」ですが、本質的な提供価値としては、「画面共有を前提とした、リアルタイムコミュニティサービス」です。プレスリリースなどでは、インターネット界隈の人以外にも通じるように、常時接続型SNSと呼んでいます。
ようは、ゲームの上手い人の配信を見る・有名な人の配信を見るサービスではなく、「友達の家でゲームする感じ」のコミュニティサービスです。
コミュニティサービスのプロダクトマネジメントの難しさ
あえて自戒を込めて書きますが、コミュニティサービスのPdMは、めちゃくちゃ難しいです。例えば初期であれば、人は人を求めてサービスにやってくる、でも最初は人がいない。という矛盾を抱えています。
インターネットの歴史を紐解いてみると、Facebookの対抗としてGoogleがGoogle+というSNSをリリースしたことがありました。(もう10年以上前のため、Wikipediaを貼っておきます)
当時飛ぶ鳥を落とす勢いだったAKBを使ってプロモーションし、集客を頑張っていました。しかし、競合のSNSと比べて「人がいない」という状況を打破できませんでした。Google+は当時としては高機能な情報共有機能があった、十分な広告宣伝費をかけたにも関わらず、うまくいきませんでした。熱量が上がらなかったわけです。
逆に、人がいて熱量があっても長く続かない例もあります。Clubhouseを思い出してください。(Clubhouseは現在は当時と異なるコンセプトで運営を続けられており、いつかまた急速なグロースがありえるサービスですが、最近の事例としてわかりやすいと思い載せました)
Clubhouseは記憶に新しいと思いますが、招待制によりめちゃくちゃバズりました。社会現象となったといってもいいレベルで流行りました。しかし、アプリの構造としては「有名人のプライベートトークを聞く」という目的が主であり、せっかく招待制で繋がった友達との間ではコミュニケーションが少ない設計となっていました。その結果、有名人がいなくなればやらないというサイクルに入っていきました。
つまり、Google+のように機能が素晴らしくても失敗するし、Clubhouseのように熱量が素晴らしくても失敗する。コミュニティサービスの立ち上げ・維持運営はほんとに繊細で難しい、、と日々感じています。
2019年の記事ですが、そのあたりの苦悩や頭の使い方がわかるMirrativの記事を紹介しておきます。
なぜいまコミュニティなのか:外部要因
コミュニティサービスの立ち上げや運営が難しという話をしましたが、ではなぜ私があなたをコミュニティの世界に誘っているかを話します。
まずは、JOB型のプロダクトは「型ができてきた」「AIが学習してきた」からです。ようは、教科書化・効率化が進んできており、プロダクトマネージャーの仕事が一般化されてきているからです。
型ができてきたほうは冒頭でも言及しました。本・講演などでプロダクトマネージャーとして学べる情報源がたくさんあります。なり方まで整備されてきており、職業として定着してきたというすばらしい面もありますが、同時にライバルが増えて、自分自身の売りをより考えるべきフェーズに来ているとも言えます。
更にそれらの情報をAIが学習し始めてきます。
ユーザーがサービスを使っているときのログデータ
お問合い合わせ内容やユーザーインタビュー
事業計画書
などから、プロダクトバックログを作り、優先順位をつけてくれるサービスが出てくるのはそんなに遠い未来ではないでしょう。このようなツールをつかって、PdMがいないまま(CEOが兼務の状態)でIPOまでできる企業がでてきてもおかしくないと思っています。
なぜいまコミュニティなのか:居場所が重要だから
と、いくつか理由を話してきましたが、やはり一番言いたいのは「今後、人間の居場所になるコミュニティというものが、世の中でもっと重要になる」と考えているからです。
コロナ禍の余波、ひとり世帯の増加の上昇、リモートワークの増加などで、社会はどんどん孤立へ向かっています。孤立は孤独をうみ、容易に憎悪に転換し、社会を脅かします。人間は本能的に居場所を求める生き物なんだろうな、と私は思っています。
そのようなコミュニティの居場所をテクノロジーで作ることができる。再現性のある方法をみつけ、グロースできる。そんなスキルを持つ人は今後様々な分野で活躍できると思います。例えば、
学校に応用すれば、生徒全員が自分の居場所として学校を感じられるような仕組みづくり・サービスづくり
企業に応用すれば、新入社員がすぐに居場所と感じ、パフォーマンスを出せるような組織づくり
家庭に、国に、自治体に、、、、
など、人間が複数人いるが集団としてうまくいっていない場所を、その場所に集まる全員の居場所にする。そんなスキルをもっていれば、イチPdMとしても貴重だし、なにより、今後の社会に貢献するスキルだと考えています。
わかりあう願いをつなごう
上記のようなテーマにチャレンジしてみたいPdMの方、ぜひ一緒に働きましょう!このnoteではなかなか言えなかった、Mirrativの現状やおまかせしたい仕事も含めて色々とお話できればと思います。