クイズ 生成AI仮免試験の出題意図
先日クイズメーカーにて、生成AIに関する知識を問うクイズ
『AI推進派&反AI集まれ~! 生成AI仮免試験の時間です!』を作りました。
問題は全部で10問!
Twitter(現X)で生成AIに関して発言するならば知っておかねばならない内容のクイズです!
このnoteでは、各問題の出題意図を解説します。
クイズの答えについては触れませんのであしからず。
答えを知りたい方はぜひクイズに挑戦してみてください!
問題(全10問)
1問目 生成AIとは、どのような技術を指すか?
学習データの切り貼りを行う技術
テキスト、音声、画像、動画などのデータを分析して、新しいデータを生成する技術
人間の手助け無しで、独創的なアイデアを生み出す技術
既存のデータを組み合わせて、新しいコラージュを作成する技術
【出題意図】
この問題では生成AIの理解度を確認しています。
生成AIに関して議論をする上での最低限必要な前提知識です。ここを間違えるようでは生成AIに関する議論のスタートラインに立てていないと言えるでしょう。
2問目 ITを活用したサービスを展開する企業と、生成AIの組み合わせについて、正しいものを全て選びなさい。
Google↔Gemini
Apple↔Midjourney
Amazon↔ChatGPT
Microsoft↔Copilot
【出題意図】
ここは日々更新されるAIに関する最新知識を収集しているか確認しています。
名称が変更されるサービスも多いので、生成AI利用者でも間違えてしまうかもしれません。
3問目 2024年3月時点で、生成AIを操作したユーザーがAIに指示を与えたり、生成結果を選択したりして作られた作品が他者の著作権を侵害していた場合、その責任はどこにあるでしょうか?
生成AIの開発者
生成AIを所有する企業
生成AIを操作したユーザー
誰にも帰属しない
【出題意図】
生成AIと著作権に関する基本的な知識を確認する問題です。
生成物であるイラストや文章が他者の著作権を侵害した場合、現状誰が責任を負うのか?
これも議論をする上での前提知識です。生成AIについて話すなら知っていて当然の内容です。
4問目 生成AIが作成した作品の著作権侵害の判定はどのように行われるか?
イラストレーターが判定する
生成AIを所有する企業が判定する
著作権侵害の専門家が判定する
裁判所が判定する
【出題意図】
最終的に誰が判断するのか?
この解説がそのまま答えになってますね。
5問目 ローカル環境でイラスト生成を行えるAIは次のうちどれか?
Stable Diffusion
Midjourney
NovelAI
Copilot
【出題意図】
イラスト生成AI利用者からするとサービス問題になるように用意しました。
非ユーザーには難しいクイズかもしれません。
6問目 次の選択肢の中で、生成AI技術の問題点に対する指摘として正しいものはどれか?
生成AI技術における機械学習は無断で他者の著作物を窃盗する行為であり、AI生成物は盗品として扱われるべきである。
AIについて、情報発信することにより、嫌がらせや誹謗中傷を受けるクリエイターやイラストレーターがいる。
生成AI利用者でないのに、自らの創作物がAI生成物だと決めつけられ、誤認による嫌がらせを受ける可能性がある。
人の顔や声を本物そっくりに偽装できるディープフェイク技術は善悪様々な用途に使用される可能性がある
【出題意図】
令和6年1~2月のパブリックコメントに寄せられた意見を設問に含みました。「わざわざ見当違いなことを送るな」と言いたいですね。
「問題点に対する指摘」と問題文に書かれています。国語の問題を解くのが得意な人は生成AIに関して詳しくなくても解けるかもしれません。
7問目 Image to Image(i2i)に関する説明の中で、正しいものを全て選びなさい。
テキストから画像を生成する技術である。
低解像度の写真やイラストを元に、高解像度な画像を生成することができる。
生成された画像が既存の画像と酷似していても、著作権違反とはならない。
ControlNetとも呼ばれる技術である。
【出題意図】
「AIはパクリなのか」という議論をする上で絶対に必要になる知識を問います。
何も知らないまま議論するのは無為な時間を過ごすだけです。反対するにも賛成するにも、どちらにしても知識は身につけましょう。
8問目 人の手でイラストを描いた場合と、人が生成AIを用いてイラストを出力した場合、その違いについて正しく述べているものを全て選びなさい
人の手で描かれたイラストは、作者の愛が込められているため、二次創作を行う場合でも問題ないと考えられるケースが多い。しかし、生成AIの場合は、愛のない機械的に生成されたイラストであるため、二次創作を行う際に著作権侵害となる可能性がある。
人の手でイラストを描く場合、数時間〜数日の時間を要する。対して、生成AIは数秒でイラストを生成できるため電子計算機損壊等業務妨害罪が適用される。
人の手で描く際、他者のイラストを無断でトレスし作成、公開すると著作権侵害になる。しかし、他者のイラストを元に生成AIで新しい画像を生成しても、著作権侵害にならない。
人の手でイラストを描く場合も、人が生成AIを用いてイラストを出力した場合も、どちらも法律上は同じ扱いである。
【出題意図】
現行法ではどのように扱われるのか?その認識を確認しています。
これもAI利用者にとってはサービス問題かもしれません。
9問目 Aさんは有名イラストレーターB氏のイラストを利用し、B氏の画風を真似したイラストを生成可能とするLoRAモデルを制作しました。2024年3月時点において以下の選択肢の中で、Aさんの行為が民事上の責任を問われる可能性が最も低いものを選びなさい
LoRAモデルを利用して生成したイラストを、B氏の名前を出してSNS上に公開した。
LoRAモデルを利用してイラストを生成したが、個人的な使用に留め外部に公開しなかった。
LoRAモデルを利用して生成したイラストを、B氏の名前は使わずに同人誌に掲載して販売した。
AさんがB氏の名前を騙り、あたかもB氏であるかのように振る舞いSNS上にイラストを投稿するなどの活動を行った。
【出題意図】
現行法で裁かれる可能性が高いものは、正しく裁かれるべき。
「一切問題のない生成AIなど存在しない」そう認識した上で生成AIの活用方法を模索していくことが大切。そのような意図を伝える為に設問を作りました。
10問目 SNS上にイラストを投稿している絵師Cさんはある日、自分の描いたイラストに酷似したAI生成イラストを見つけました。AI生成イラストは、Cさんのイラストと構図、ポーズ、服装、髪型、色使いなど多くの点において酷似しており、Cさんのオリジナルキャラクターであるにも関わらず、同じ特徴的な装飾品まで描かれていました。
この場合、Cさんが取るべき行動の中で最も適切なものはどれか?
泣き寝入りする
AI生成イラストの作者に抗議する
証拠を集め弁護士に相談する準備を進める
警察に通報する
【出題意図】
問題が起きた際には正しく適切に対処すること。
そのためには正しい知識を身につけましょう。すべての設問に通ずることではありますが、知識を身に着け正しく戦いましょう。
まとめ
以上が出題意図になります。
ここまで読んだのにまだクイズに挑戦していない人、いませんよね?
主に生成AIの前提知識、著作権侵害に関するクイズでした。
全問正解できたAI規制派の方は、かなり正しい視点からAI問題に向き合っていると思います。ぜひとも一度議論を交わしてみたいです。
AI利用者で著作権周りの問題を間違えてしまった方は、今後AIの利用でトラブルを起こさないよう心掛けましょう。
おまけ
個人的な主張(読み飛ばしてかまいません)
わたくしは「新しい技術の誕生により、新しい法律が作られる」という考え方には賛同しています。
自動車が誕生する前に道路交通法がないのと同様です。
生成AIの誕生により、新しい法律が作られることは今後起こりうることだと考えています。
しかし「今は無いけど将来的に違法だから違法」だとか「法律が作られたら今AIを利用してる人は遡及されて裁かれる」などはバカの主張です。
法律を作るならば
・何を(対象)
・どのぐらい(定量化)
・どのように(方法)
保護するかを考える必要があります。
(ここでいう定量化は、裁判の際に罪の重さを客観的な基準で判断できるように数値などの測れる形に明確化することです)
保護する対象は何なのか?
どれぐらい保護されるべきなのか?
どのように保護するべきか?
全部わからない状態では法律なんて作れません。
現状、生成AIにより生じる問題は現行法で対処可能とされています。
ですから今後は多くの裁判が行われることでしょう。
そうして判例を積み重ねていった中から「何を・どのぐらい・どのように」保護するか見えてきます。
そのようなプロセスを経て、生成AI技術に合わせた新しい法律が作られるものと思います。
なので裁判待ちです。親告罪なので我々は待つしかできませんね。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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過去(2023年5月11日)に投稿した生成AIに関するnoteです。
この時から進歩がない(むしろ悪化している)のが現状ですね…
https://note.com/aomadokatari/n/n8e2eb576d9b6
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