朝靄の中に見た、念願のあの景色〜九州旅②〜
初めての聖地巡り、そして阿蘇の偉大さを垣間見る
①はこちら
さて、チートデイという魔法の言葉を唱えつつ、すき放題食べた博多を後にして、次に向かうのは大分県の日田。
日田は私たちが大好きな漫画、「進撃の巨人」の作者である諫山創先生の故郷だそうで、クラウドファンディングで建てられたキャラクターの銅像と、原画が飾られているミュージアムがあるとのことでずっと行ってみたいと思っていた。
実は私はアニメを今までほとんどみてきた事がなかった。昨年、同じタイプの友人がおすすめしていたことをきっかけに、アニメを見始めたら大ハマり。私より先に漫画を制覇していた彼からストーリーを聞いていたが、見てみると印象がガラッと変わった。なんだこの話は‥!?キャラクターの個性も最高だが、ストーリーの組み立て方が震えるほどに素晴らしい。‥と語り始めると長くなってしまいそうなのでこのくらいで。
まず最初に向かったのが、日田駅にある「リヴァイ兵長」の銅像だ。
私も最初に好きになった人物で、人気が高い。平日だということもあり、貸切だった。顔はめパネルで一人ずつ写真を撮っていると、地元の方らしき人が撮ってあげるよと声をかけてくれた。優しい。
次に向かうのは大山ダム。
ここには、主要登場人物の「エレン・ミカサ・アルミン」三人の銅像があり、大きなダムの壁を見上げて絶望した表情を浮かべている。
この銅像は進撃の巨人の話が大きく動き出す、「壁が巨人に破壊される様子を見上げる3人」をイメージしているそうだ。
確かに、こんな大きく高い壁よりも大きな巨人が出てきたら絶望してしまう。横に並んでその気持ちを味わった。
近くにある「進撃の巨人ミュージアム」は道の駅もあり、その奥に実際の漫画の原画、書き下ろしのイラスト、来場者数に応じてサイン入りの色紙が飾ってあった。ファンにとってはたまらない。修正液の跡、少し掠れた筆跡、どれもイラストが人の手によって作られていることが分かる証だ。
思う存分堪能したあと、道の駅でジェラートを食べた。日田の梨とゆず、九州のいちごの2種類。
さてもう少し運転をがんばって、してついに熊本入り!
ひとまず、その日に泊まるホテルへチェックイン。せっかく高台にあって阿蘇の風景を眺められる場所なのに、曇り&霧。
まあまあ、明日明後日が晴れてくれればいいんだよ。
その日泊まったのが、「瀬の本高原ホテル」。
歴史を感じながらも、新館ができるなど新しく生まれ変わっている部分もあるこのホテルは、居心地の良さと落ち着く雰囲気を兼ね備えていた。
新館のツインの部屋は、決して広くはないが、窓から緑が見える、シンプルで気持ちのいい部屋だった。しばし部屋にて休憩&写真を撮って過ごす。
夜ご飯は、阿蘇で有名な「赤牛」を食べに少し麓に降りることに。
車を走らせると、阿蘇で有名なミルクロードに出た。
左右を囲む緑の山。短く刈られた芝と、ポツンとはえる細い幹の木。
曇りであるのに、非日常な不思議な空間に入ってしまったような気持ちになる。美しくも、儚いような。見たことのない景色だった。
夜ご飯に選んだのは「よかよか亭」。
精肉店がやっているとのことで、入り口すぐに保冷ケースに入った精肉がずらり。観光の名物である赤牛丼を食べにきたけど、それを見ていたら気持ちが変わって焼肉をすることに。
先ほどの精肉コーナーから、「赤牛カルビ」と「赤牛カブリ(コリコリ)」そして、野菜の盛り合わせ、ご飯を頼む。
テーブルの下で火をつけ、ワクワクしながら待つ。
赤牛丼も捨て難いけど、同じくらいの値段でこんなにもたくさんの新鮮なお肉と、エンターテイメント性を味わえるなら焼肉もありだな‥と感じた。網が十分に熱したところでお肉を一枚ずつそっとのせる。
じゅっといういい音と、立ち込める煙。そそくさとタレの準備をしたり、端の方に野菜を乗せて置いたりする。いい焼き加減になったらタレに、そしてご飯にバウンドさせ、口の中へ。上品な脂の甘み、タレの香ばしさ、柔らかな歯応えにうっとりしながらツヤツヤのご飯を口に運ぶ。
この全ての過程を経て、焼肉のおいしさは構成されている。焼く作業という一見面倒な作業も、美味しいにたどり着くまでのスパイスになっている。
赤牛は、今まで食べた牛肉に比べて噛むほど滲み出るお肉の旨みと柔らかさが特徴のように感じる。ここにたどり着くまでに、多くの牧場を通り、牛たちを見てきたけど、みんな広い大地でのびのびと過ごしていたことから、こんな美味しいお肉ができるんだろうな‥と感謝しながらいただいた。
食べ終わり、外に出ると日が暮れる頃で、
遠くの雲の切れ間から光が差し込み、田んぼや街を照らしていた。
天使が今にも降りてきそうな神々しい景色に、しばらく写真を撮って佇んでいた。
帰り道車を走らせると、こちらも厚く覆っていた雲が、風によって無くなっている部分があり、ちょうどマジックアワーの空が見えた。
見て。綺麗な空。
そう言って、道の脇に車をとめて、2人で車を降りた。
あたりは誰もいなくて、すごく静かだった。
雲だけが静かに動いていて、それがスローモーションのような、
時間がこの空間だけ止まったような不思議な景色に見えた。
頭が空っぽになっていく感覚と、なんだか泣きそうになるような気持ちになる景色を見ながら、阿蘇の壮大さを実感した時だったと思う。
宿の周りは深い霧に包まれていた。
本当は星空の大パノラマで、ホテルで星空ツアーという名前の星のガイドをしてくれるサービスもあったのだけど、今日は難しそう。
そう諦めて、温泉にゆっくり浸かることにした。
次の日は晴れますようにと願いながら、布団に潜った。
つづく
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