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朝靄の中に見た、念願のあの景色〜九州旅①〜

あの写真を見たのはいつのことだったか。

草原の背景には、雄大な山々が聳え立ち、その麓では、湖と小さくポツポツと馬が放牧されている。少し霞がかったようなその景色は絵画を見ているようで、一瞬で私の気持ちを奪った。

何かの勘違いでずっと鹿児島県であると思っていたが、最近たまたま行った写真家さんの展示会でまたこの写真と出会うことになり、その場所が熊本の阿蘇にあるということを知る。

最近、急に焦ることがある。
昔ほどのアクティブさが失われ、行きたいと思っても面倒だし‥。遠いし‥。家が結局一番!という気持ちが年々増している気がする。でも人生には限りがあるんだし、動けるうちにいろんな場所に行っておかないと、気づいた頃にはもう“行きたい”の気持ちが失せてしまうのでは‥。

よし、あの想い焦がれていた場所へ行こう。
そう決めてから飛行機を手配し、宿を予約するまでのスピードは自慢できるくらい早い。そこまでやっておけば、あとは直前に細かなリサーチをし、天気を願うだけ。そう、天気を願うだけなのだ。

私たちは、昨年の天気運がとても悪かった。
千葉旅行は2日目が快晴だったものの、1日目は土砂降り、天気が一番大事な八丈島は雨は降らなかったものの3日間曇天、富士山が綺麗に見えるキャンプ場では、山の姿は見えなかったし、10年ぶりに行ったディズニーシーも雨だった。

そして1週間前に見た天気予報は、曇りのち雨。「阿蘇 雨 観光」という検索履歴が毎日更新された。お前が雨男だ、雨女だと言い合ったり、"絶景の阿蘇の写真なんていくらでもありますが、雨の阿蘇の写真なんてなかなかない。逆にラッキーです”と書かれたサイトの考えに頷こうとした。(無理です)

そうこうしていたら、直前になって少し希望が見え始めた。
「曇りのち晴れ」
その単語を私は心のお守りに、飛行機に乗って博多へ向かった。

今回の旅のルートはこうだ。
1日目:博多へ前のり
2日目:博多からレンタカーに乗り、大分の日田に寄り道。阿蘇へ
3日目;黒川温泉散策
4日目:阿蘇ドライブ

旅のスタートは博多フードファイトから

夜8時前に博多へ到着し、ホテルへ移動。
寝るだけだったので、安いホテルを予約したがとても良かった。

「HOTEL ORIGO HAKATA」

必要最低限のアイテム揃えだったが、非対面チェックイン、清潔感がありシンプルでおしゃれな内装、アメニティや加湿器など小さな心遣いが嬉しい。
そして、一人3,000円ほどで泊まれたのも大きかった。

荷物を置いたら早速夜の博多の街へ。
まずは定番のもつ鍋を食べに、歩いて有名な「楽天地」へ。

瓶ビール1本、グラス2つもらって乾杯するのが私たちの定番だ。
美味しい〜と言いながら、山盛りに積まれたニラやキャベツ、もつが煮えるのを待つ。

野菜がくたっとしたら食べごろ。

醤油味の出汁がおいしく、いろんな種類のもつが入っているようだ。

私の記憶では、口溶けのいいもつというイメージだったので少し驚いたが、おいしく完食した。実を言うと、締めのちゃんぽんが一番おいしかった。

そのあと、ディープな街並みを歩いて中洲の屋台へ。その日は風が強く、3件ほどしか屋台がなかったのでどこも観光客で大混雑。

歩いていて思ったのが、海外の観光客の方がとても増えたと言うこと!少しずつ戻ってきているんだなあ。

雰囲気も味わえたので、締めに博多ラーメン行っちゃうか!と言うことで、とんこつラーメンの人気店「一双」へ。

タイミングよく、少し並んで入店。麺は「かため」で。バリカタは勇気が出ずでした‥。店内に広がるとんこつの香りと、元気のいい店員さん。


運ばれてきた博多ラーメンは想像よりもくどくなく、とんこつの旨みが聞いていて塩気もちょうど良かった。怖いけど、ぺろっと完食。

丸くなったお腹を抱えながらホテルへと帰りました。

3県をまたぐ移動日。美味しい博多を後にする

翌日。天気はしとしと雨。
レンタカーを借りるまで時間があったので、博多駅へ行ってお目当てのお土産を買うことに。ひとつは誰もが買うと言っても過言ではない「めんべい」。以前、誰かからもらってからずっと“思う存分めんべいがたべたい!!”と思っていたのだ。

もうひとつは「かすたどん」。
以前いただいて食べた感動が大きく、絶対に買うと思っていたのだが、なんと私たちの勘違いで鹿児島の銘菓とのこと。
博多での販売店が少なく、博多駅店のオープンはスケジュールが間に合わなさそうだったので、後ほど空港に寄ることに。

めんべいも無事に買えて、ホテルのチェックアウト、そしてレンタカーゲット。さて、お昼ご飯を食べに行くぞ!

車を走らせて向かったのは、「天ぷら ひらお」。
お手頃価格なのに、目の前で揚げてくれる熱々天ぷらを楽しめる天ぷら専門店だ。長蛇の列になる程、地元の人にも観光客にも愛される人気店なのだそう。

入店し、食券を買ったら、ながーーーーいカウンターのある背後に設置されている長椅子に座って並ぶ。初めて見る待機スタイル。天ぷらを食べるお客さんの背後から圧をかけるシステムだ。

流石の人気店。天ぷらを揚げながらも、お客さんの回転が良くなるよう、細かい声掛け、無駄のない動きは見ていて楽しかった。そうして私たちの番になり席に座る。

ひらお茶碗

私は野菜定食、彼はとり天定食を頼み、席についた後もなお、「この海老天ついてるやつにすれば良かった‥」「こっちは白身魚か‥」などと話していた。

目の前に、銀色の揚げ物バット、大根おろしの入った天つゆ、ご飯、味噌汁、そしてひらお名物の「いかの塩辛」がポンポンと置かれる、この塩辛はオンライン販売もしているそうで、コリコリとしたいかの食感と、ゆずのさっぱりとした風味が最高にマッチしていてご飯泥棒だった。

待っていると、オクラね〜平茸ね〜こっちはかぼちゃね〜あと玉ねぎとキクラゲくるからね〜と、次々と天ぷらを運んでくれる。

よし、揚げたてを食べるぞと天つゆに潜らせ、さくっ‥といい音を響かせて天ぷらを口に運ぶ。
おいしすぎる‥!目の前で揚げられた天ぷらがすぐにバットに置かれ、口に運ばれる。このタイムロスの少なさが天ぷらのおいしさを最大限に引き出してくれている。

そして、これが840円である。博多民が羨ましい。

彼からとり天ももらったけど、ふんわりしたとり胸肉とサクサクの衣の組み合わせに感動した。野菜もあげることによって、本来の甘みが引き出されてどれも美味しい。

大満足ニコニコスマイルで店を後にして、博多空港でかすたどんをゲット。
これで思い残すことはないので、博多を後にする。

つづく

#わたしの旅行記



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