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大人になってまで激しい恋愛なんてもうこりごりだ。

(前回のつづき…)
初期の頃はまだ、この人を手放したくないとか
ずっとずっと一緒にいたい、と思うものだ。

私はこれまで何人もの人たちと付き合ってきたけれど、本気で付き合っていればどんな相手にさえもそう思ってきた。

だから、そのうちその熱が冷めることを知っている。

本当にたくさんのひとを好きになって、
愛してきたから。

だけどかつて愛したあの人も、あの人もあの人も、
今の私にとってもう、どうだっていいのだから。

きっと今の彼に対してだって、
どうせそうなることを知っている。

私を傷つけることもなく、
憎しみあって喧嘩することもなく、
穏やかに、私の気性の荒さも包んでくれる、
そこそこお金のある人
絶対、いるんだから。

いまの彼と離れれば
さみしくて嘆くどころか
もっともっと良い人がいるって
確信しているから。

私は特に結婚に焦っているわけでもない。

私を心の底から認めて愛してくれる、
守ってくれる人が隣にいればいい。

私はそう覚悟して、
距離を置くために用意した荷物を傍らに

彼に言った。
「私、今日からしばらく出て行くからね。」

「本当に出て行くの?」と彼は言い
本音をいうと「さみしい」そう、言いました。

「だけど、距離をあけて、どうなるの?
距離をあけて青子ちゃんが戻ってくる頃には
俺の生活は変わっているし、
これから青子ちゃんのいない人生として
仕事の仕方だって、
1人で生きていく準備もして、
考え直していかなければいけない。」

彼は冷静にこれからの想像を組み立てていました。

私は、時々思うのです。

彼は、本当に頭が悪いし、
何もできないし、深く考えようともしないし、
物事を知らなさすぎるバカだ。

たまに、至極マトモなことを言う。
バカなはずなのに、
考えるときはとことん考えて、
現実的に、納得し、
気持ちが落ち着いていたりする。

私は、
バカでなくなるときの彼の真剣な部分が
とてつもなく恐ろしく感じるのです。

かつてお互い若かった頃に出会った彼は
人の気持ちを考えないほど
ヒドイ人間だと思いながら
本当はきっと真面目なのだろうと
そこを信じて好きだったのだ。

それが、裏切りによってすべて崩れ
いまこうして時を経て正式に付き合っていても
所詮は彼の勝手に振り回されるのだ

だから、私は、彼と離れる。

そう決意したはずなのだけど

彼が訥々と語るその言葉たちを受けて私は

彼と離れたくない。


不思議なことに、そのとき、
そう、強く感じてしまったのです。

私が選択肢を握っていると思っていたけれど、
そうではなかった。

彼が私のいない人生を考えはじめてしまったなんて、そんなの、あんまりだ。

それから2人は、淡々と話し合い、

私は、

出て行くのをやめました。

一緒にいたい。
離れたくない。


彼は40。
私は34。

数字で言うと立派な大人のはずの2人が、
恋愛したての学生のように
ばかみたいにぶつかり合い、また、くっつく。

そんな恋愛、もうこりごりだ。
そんなドラマティックな恋愛、もうしたくないんだ。

ここから、
お互いがちゃんと見直していけたら。

また、激しい1コマの出来事は、
ひとまず終止符をうち、
再構築を試みる私たちなのでした。

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