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母の「ごめんね」ってずるい

何度か、母から謝られた。

「こんなお母さんでごめんね…」


タイミングは色々。
きっと、似たような親子関係(機能不全家族、共依存など)の方は、一度や二度、親に「許せない、親なのになぜ」と叫んだこともあるでしょうか。

すると、その都度、まるで「被害者」みたいに謝るんです。
「ごめんね、私が弱いから」と。

私って非力だから、と前面に出して。

なんて罪深いんだろう。
非力を武器にするということは。
「ごめんね」って時々、刃物みたいって思う。

ごめんね、の後ろには「私もつらかったの、許して」が巧妙に隠れていて、許されることが大前提だろう。当の本人に悪気はない、それがまた困る。

最初は何度か「ごめんね」「いいよ」を繰り返した。保育園でよくある光景みたいに、お決まりの。

「ああ、仕方なかったんだな」と理解しようとして。でも、そのたびにまた裏切られる。心がスパっと切れている。
あまりにも切れ味よくて、切られたことに気が付かなくて。
あとあと、痛みが増す。

いつだったか、似たような思いをして育ってきた先輩がいってたな。
「彼女たち(母たち)が、本当に心の底から、自分のやってきたことに”ごめんなさい、なんてことをしたんだろう”と思うのだとすれば、そんなこと死んで償う以外方法がありません、くらいのことじゃない?生きてられないよ、自分のやったことを理解してしまったら。でも、彼女たちは死なないよ、絶対に。」

なんて強烈な言葉で…と驚いたけれど、そこからなんども「ごめんね」「いいよ」→やっぱりわかってない、を繰り返していくと、当時の先輩の気持ちは痛いほどわかった。当時はまだ、信じていたかった、母を。

きっと、これからも言われる「ごめんね」と。
でももう、「いいよ」とは言わない。

それが、これから自分を守る方法。
もう、「いいよ」はやめる。





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