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力がないと文化は守れない - MATCHA 英語版編集長 ラモーナさん

MATCHAのメンバーインタビュー第三段は、ルーマニア出身で、英語版編集長のラモーナさん。

ラモーナさんと最初に会ったのは、2016年の1月初旬です。面接の時にラモーナさんが言っていた言葉が、強烈に印象に残っています。

当時ラモーナさんは、早稲田の博士過程で「能と舞台芸術」を研究していました。そこで「どんな授業があるんですか?」と聞くと

「世阿弥が残した伝書についてディスカッションしています。」

と答えていたんですね。やばくないですか。

この言葉を聞いた瞬間、一緒に働きたいと思いました。日本人よりも圧倒的に日本のことを深く理解している。MATCHAの今後の方向性を考えた時に、絶対に必要な人だと思いました。

そう思って、一緒に働きましょう。と話した記憶があります。そんなラモーナさんのインタビューです。


自分と同類の人間がいた

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- ラモーナさんがMATCHAに入ったきっかけは?決め手は?

もともとからメディアで仕事をしたいと思っていました。大学院に通っていた期間が終わろうとしていた時期に、CINRAが運営している人材募集サイトで「MATCHA」のことを知りました。2015年12月下旬あたりでした。

Japanese Studies (日本学)を専攻にしていたので、日本の情報を発信しているメディアなら、ここで大学で身につけていた知識と日本語能力が使えると思い、応募しました。

決め手は、「問題意識がある」というところでした。MATCHAの紹介ページで当時も今も書いてありますが、この会社が作られたきっかけは、「日本の価値ある文化を残したい」という想いでした。

実際にMATCHAが運営しているウェブサイトを見たら、伝統文化を紹介しつつ、現代アートや建築、街に登場した最新のカフェなども丁寧に取り上げられていました。

それで、「あ、この会社で働いている人は日本の文化を大切にしているのだ!自分と同類の人間だ!」と分かりました。


MATCHAのラフメイカー(笑)

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- 今行っている仕事について教えてください。

MATCHAのラフメイカーです。お笑い担当。(笑)冗談はさておき(笑)、MATCHA英語版の統括編集とPR記事の作成を担当しています。MATCHAの英語チームにはほかに編集者2人、チェッカー1人、そして数人の翻訳者の方やライターがいます。

みなさんをまとめるのが自分の仕事です。記事企画出し、仕事の割り振りやリソースの管理、そしてSNS運用を行っています。もちろん記事も書きます。(笑)PR案件の記事執筆がメインですけど。

MATCHAが運営するGreater Tokyoウェブサイトのコンテンツ作成がここ3年間で担当した大きなプロジェクトです。

今、Greater Tokyoによって、宇都宮や益子、秩父のニーズが高まってきています。英語版でも安定して読まれています。


旅行者の声で生まれた人気記事

 - 4年間のMATCHAでの仕事で、印象的なエピソードを教えて下さい。

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たくさんありますよ!(笑)例えば、MATCHAで読者と会う機会があり、一度、メキシコから来た旅行者と会いました。すでに京都や奈良の吉野山まで旅をしてきていたので、旅行の思い出を楽しく話してくれました。

途中で何か困ったことはありましたかと聞いた時、「東京の地下鉄でどうしてJapan Rail Passが使えないか?」と聞かれました。その場で説明したら、「なるほど!そうだったのか?」と言ってくれました。JR PassはJR以外の電車では使えないということは、旅行者には分からないわけですね。

それを受けて、三日間かけて「東京の路線図とフリーパスの説明」というテーマの記事を作りました。その記事は今でも自分の書いた記事の中で一番自然流入が多いです。

冒頭部分に「東京には地上を走る電車と地下を走る電車があります」とバカみたいな説明が書いてあるのですが、それくらい情報を砕いてあげないと、伝わらないですね。ヨーロッパやアメリカでは、市内で走る電車は基本的に「地下鉄」だからです。地上にある路線は都電のようなストリートカーです。

その上、鉄道会社は一社ではなく、複数あるという話になると、もう、初めて日本に来た旅行者はだいたい目の前が白くなるんですね。ものすごく分かりやすく説明してあげないと、苦労します。


人の情熱を燃料にして成り立っている

2018年 東京都美術館での池坊いけばな展覧会に参加した時、同僚が見に来てくれた

- この会社で働き続ける理由ってなんでしょうか?

同僚のみなさんの仕事への情熱です! MATCHAは本当に「人の情熱」を燃料にして成り立っています。似たもの同士が集まっています。自分も、どちらかというと、好きなものにすべての愛と情熱を注ぐタイプなので、ここで楽しく仕事しながら成長できると思います。

むしろ、人の情熱を必要しないくらい安定した会社になったら、MATCHAにおける自分の使命が終わると思います。(笑)

あと、日本の会社ですが、社員の三分の一が外国籍です。仕事に対する常識がたまに違うのですね。コミュニケーションの問題がたまに発生します。その中で、日本の常識を生まれながら身についているみなさんのやさしさと仕事への情熱があって、何とか大変なことを乗り越えられています。深い理解と優しさを毎日見せてくれるみなさんに感謝しています。


自分の「好き」を通す

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- ラモーナさんにとって、会社のバリューである理想から考えよう(Think Visionary)ってなんでしょうか?具体的な例があれば聞きたいです。

未来を信じて、何を言われても自分の思い描いた理想に向けて努力することです。必要な時は、無茶をするというのもありだと思います。(笑)

理想というものは、今手元にある「材料」から生まれます。その材料は、自分の得意な分野だったり、才能だったり、または世界に〇〇という問題があって、その問題を解決したいという想いだったりします。

具体的な話で言えば、自分は数年間かけて、日本文化のことやを日本語を勉強しました。それでいくつかのスキルを身につけたわけです。それに、この分野の愛と情熱があります。

「スキル」×「愛・情熱」があれば、どんどん同じ分野で引き続き頑張って、もっともっと詳しくなって、それでいつか人が喜ぶもの、価値のあるものを作って世に残す。これが自然な流れです。

この具体的な「スキル」×「愛・情熱」があるのに、今さらいきなりずっと頑張ったことを辞めて、「こっちのほうが儲かる」からと言って、違う分野に走るのはどうだろうと思います。

例えば、今からシステムエンジニアになるための勉強をするとか。できなくはないですが、今まで情熱と時間をかけたものを辞めるのはどうかなと思います。世の中を変えてでも、自分の「好き」を通す!のが自分の考え方です。(笑)


最初は恥ずかしいくらい何も知らなかった

阿寒国際ツルセンターでの取材現場

- この5年で成長したと感じることはなんですか?

もっとも成長したのは、社会人の常識という面ですね。MATCHAに入った頃、恥ずかしいくらい世の中のこと、社会人として仕事をすることについて無知でした。

大学院に通った期間を含めて、大学で12年間くらい過ごしました。大学ってものすごく守られた環境です。自分の勉強に集中できるので、学問には理想的な環境です。しかし、長く大学にいる人は、外の世界について何も知りません。

自分が大切に想うものを守るには高いレベルのプロ意識が必要だと分かりました。あと、編集力ですね。自分が作る文章をどのような人が読むのを考えて、それで記事の切り口を考えるのが当たり前ですが、面白いと思われ、説得力のある記事を作るには、時間をかけて身につくスキルなんです。 


力がないと文化は守れない

2018年10月 東京芸術劇場の池坊いけばな展に参加した時_2

- これから挑戦していきたいことを教えてください。

MATCHAが創建の時から問題にしていること、つまり「価値ある文化を残していく」という仕事は、始まったばかりだというような気がします。大切にしたい文化を守るには、ある程度の力・影響力が必要だと、ここ4年仕事して実感しました。

MATCHAの英語版も現在ある程度安定しているので、一般的に求められる定番の観光コンテンツのほかに、少しずつ未来に残したい大切な伝統文化を紹介したいです。

日本文化は確かに「日本の文化」ですが、同時に世界の文化でもあります。もっとたくさんの人に、この文化の奥底にあるものを本当の意味で知ってほしいです。

つまり、富士山や東京の高層ビルを見てから、もう少し「奥」に踏み込んで、日本文化への理解を深めてほしいですね。面白いもの、感動するものがここにたくさんありますからね!

そのために「意識の変化」を起こす必要があります。頑張りますよ!

一方で、本業以外での活動においては、日本のみなさんを対象にしています。自分は外から来ている者なんですが、外からの「物の見方・考え方」をみなさんにおすそ分けできたらと思います。異文化をルーツにしている人との交流は、価値になる何かにつながるはずです。みなさんにとってもこの交流が価値になるように、頑張っていきたいです。


次回は福島さん

- このインタビュー企画を連載としてやるのですが、次は誰にパスしたいですか?その理由は?

福島さんです。一人分以上の情熱を持ちながら、ものすごく冷静な方で、尊敬するプロフェショナルです。相談しやすいですし、すぐに助けてくれる。

会社の色々な側面を見てきた福島さんは、毎日どのような気もちで働いているかについて知りたいです。 


最後に

驚くべきことなのが、上記の文章のほぼ99%がラモーナさんから送られた文章なんですね。日本人の自分が書くよりも密度があって、文章の流れが綺麗です。

タイトルに入れた”力がないと文化は守れない” は、自分の中でストンと腹に落ちた言葉でした。文化を守るというのは、意志(エゴ)なんですよね。そのためには力が必要。

ラモーナさんのような日本好きで、変わっていて優秀な人が、世界で一番活躍できる会社にしたいと改めて思いました。

ラモーナさん、楽しい時間をありがとうございました!

2018年4月のお茶会に、フミさんが来てくれた

日本人より似合ってる。隣は台湾人のふみさん。


今までのインタビューはこちら


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