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なんで、MATCHAに出資してくれたんですか? - ラグビーU20 元日本代表監督 中竹竜二さん

久しぶりに株主インタビュー記事を公開します。第4回は、日本ラグビー協会理事であり、ラグビーU20 元日本代表監督 中竹竜二さん。中竹さんとはじめてお会いしたのは7年前の2013年。リクルートのとある企画で、中竹さんから若手にインタビューするという企画でした。ネットで探したら見つかったので、興味がある方がいればお読みください。懐かしい...。

それから中竹さんから、Facebookの誕生日告知のたびにランチに誘っていただくようになり、その都度組織の相談にのってもらっていました。そして、スノーピークと同じタイミングで出資頂きました。

中竹さんはチームビルディングのプロ。コーチのコーチという仕事をされていて、このコロナ時代のマネージメントなども含め聞かせてもらいました。


コーチのコーチという仕事

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ー 中竹さん、簡単に自己紹介お願いします!

日本ラグビー協会理事をやっています。この10年は選手よりも指導者を教えています。コーチのコーチとよくいっていますね。U-20のユースレベルの日本代表の監督をしていました。

今はラグビーだけでなく他のプロスポーツのコーチを教えるという立場で様々な組織に育成支援しています。またTeamboxという会社で、リーダーを育成し、組織の文化を発展させるような活動をしています。今ちょうど7期目です。経営者のコーチや執筆活動なども行っています。


中竹さんの独立7年目の時の話

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ー 中竹さんが独立して7年目の話を聞きたいです。

何をもって独立するかによりますね。10年続けたコーチングディレクターの7年目で言うと、後継者育成に注力していました。

コーチングディレクターの仕事は、最初1人で進めていて、1年目に途中からお願いして人を増やしていきました。3年間で100人同じ考えの人が行き渡るといいと考え、その100人がさらなる100人に広げていくようなイメージで進めましたね。

7年目からは自分がメインでやるよりも、自分のポジションを担ってもらう人を見つけて引き継ぎました。コーチのコーチをする際に、大切な言葉があります。それは「No learn, No coach」という言葉です。痛みから学ぶことです。

そういった考えができる人を後継者として選びました。コーチは結果が出ないと、選手のせいにしてしまう部分があるので、自分の責任をきちんと取る姿勢が大事です。

ー 後継者を選ぶ際の、中竹さん自身の痛みはなんだったんですか?

我慢です。そばで見ていると、そうじゃないよなーというに気づくのだけれど、全部手を出したり、こちらの考えを出すと、任せた意味がない。答えを与えず、我慢することが自分にとっての痛みでした。自分を超えてほしいと信じる。それしかないです。


日本と世界をつなぐ橋渡し役が必要

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ー 今回の本題です。中竹さん、なんでMATCHAに出資してくれたんですか?

2つあって。1つは青木くんへの興味へ魅力。青木くんに会った頃、若者によく会っていたのですが、その中でも青木くんは特殊なリーダーだと思ったんですね。わかりやすくがんがんいくような経営者ではない。声が大きいというより、つぶやきながら、ささやきながら人を集めていく感じがあった。それもあって定期的にランチしたり、話を聞いていた。新しいリーダーが出てきたな、応援したいなと思っていました。

また、日本全体がグローバル化しなければいけない中で、MATCHAは相当大きな役割を担っていいくでしょう。日本と世界をつなぐ橋渡し役が必要になる。日本の世界に対するグローバリゼーションと、世界から日本へのローカルゼーション。そういった未来に対して投資をしている気持ちが強いです。


日本全体をパートナー化していくサービスに

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MATCHAに期待していること、まだこれやれてないことな、ということがあればお聞きしたいです。

色んなメディアが出てきているけれど、MATCHAにしかない価値はウケ狙いというより、本当の価値を常に伝えていくことなんじゃないか。派手じゃない。読み手一人一人を思っているところなんじゃないか。それが、大きなサービスコンセプトだと思っています。

期待することとしては、ビジネス的にも大きなスポンサーを取っていく流れもあるんだけれど、口コミによって気づけば書き手が増え、サポーターを増えていく流れを作ってほしい。大きな言い方をするならば、日本全体をパートナー化していくサービスになってほしいですね。きっとできると思います。


ジョージアの旅の話

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ー だいぶ話が変わります。こういう質問を、中竹さんにするのは初めてです。世界各地を仕事出回っている中竹さんにとって、印象にのこる旅の体験、エピソードがあったら聞かせてください。

今までの旅で一番印象的だったところは、ジョージアでした。とても行きにくい場所で、飛行機の到着がすべて夜中なんです。たまたまラグビーの遠征で行ったのですが、心から惚れた国になりました。ジョージアはワイン発祥の国なんですね。

ジョージアの本当のいいワインは、ジョージアの人たちで確保をしていたんです。今は経済情勢もあり、他の国が消費しています。また昔ながらワインバーもレストランも残っていました。チーズも有名で、ワインやチーズに歴史をすることも好きになりました。

基本的に僕は新しい国に行くときは、マーケットに行くようにしています。現地人しか行かないようなところが好きなんですね。現地人しかいないようなところに行きたいんです。

ー どこか変わったところはありましたか?

ジョージアの首都であるトリビシは、実は温泉が有名で、硫黄の匂いが街中に溢れていました。これは入らない手はないな、ということで温泉を探して入ろうとしたんです。トリビシの温泉は2つあって、観光客用の公衆温泉と現地人のための温泉があります。値段は二桁ぐらい違う。自分は当然、現地人の温泉に行きました。

建物からしたら怪しくて、牢屋に入るみたいなんですよ。更衣室にどうやって入るかわからない。ロッカーもない。着替える場所もない。何もない。荷物を取られたらどうしよう、そんな心配をしながら入りました。

その時は昼間だったのですが、全身入れ墨の怖そうなおじさんがいました。軽くシャワーを浴びて入った所、現地人の人に怒られました。もっときれいにしてから入りなさい、と。彼らにとって温泉は神聖な場所なんでしょう。

どこか日本と似ている文化が残っていて、規律を大事にしているところがあった。トビリシはロシアから独立した街で、希望をもって独立したんです。新しいものがありながら、古いものが入り混じっている。イノベーションの力を感じる街でした。


自分をさらけ出し、信じて任せる

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ー 最後の質問です。中竹さんに、今だからこそ聞きたいことがありました。リモートワーク時代のマネージメントとはなんでしょうか?

まず前提として、リーダーにとって、マネージメントをする側にとって、環境がすごく変化しています。慣れないコミュニケーションパターンになっている。こういう状況では、普段のマネージメントが通用しなくなることが多々あります。

ただ、実は根底にあるコミュニケーションや文化が変わっていないんですよ。コロナによって変わってはいない。実は両極端で、元々コミュニケーションがとれている会社は、オンラインによって更に良くなっていくことがあります。

元々悪いところは、この間さらに強調されます。これは逆にチャンスといえるでしょう。リーダーとしてのマネージメントに向き合い直すべきです。コロナのせいではなく、コロナを機に自分のマネージメントに向き合い、さらけ出していくしかない。

ーさらけ出すとは?

自分の過去の非についてしっかりと認めることです。メンバーは、無意識的に「一言謝ってよ」と思っていることはある。例えば、下記のような言葉をメンバーに投げかけてみるのがいい。

「これを機にオンラインになって気付いたことがあった。(自分の非を認める事実や言葉)。さらに会社を良くするためにみんなに協力してほしい。」

しっかりと非を認めた上でメンバーを頼る、リクエストを出すというのもさらけ出すことです。

オンラインだとパワーバランスが発揮できない。声が大きい人は無意識的に力が発揮できなくなる。席が前になるとかそうじゃない。また、オンラインには身体的な距離があるので、コントロールできる領域が少なくなる。相手に任せないといけないわけ。人間は信じて任せられたほうが嬉しい。疑うのではなく、信じて任せる。そのことの大切さを、リーダーは今一度考えたほうがいいです。


あとがき

最後に、中竹さんにこういう言葉をもらいました。

この間は、社長だからやるというだけじゃなくて、プロジェクトメンバーとして自分もやるよ。もう少し進んでうまくいきそうだったら、更にみんなの力を借りたい。そういうコミュニケーションを大事にしたほうがいい。

また、しっかりと価値観を共有した上で、こういう考えだからこの意思決定をしているというのをいつも以上に丁寧に説明したほうがいい。いつも以上に価値観の共有が大切になるから。

何回読んでも、グサグサ刺さります。自分はよく背景や前提の共有がなく物事を進めがちです。実際よく怒られる。価値観に関しても、まだまだ共有しきれていないところが沢山にあると思います。

自分なりのマネージメントスタイルは何か?と問うと、明らかに声が大きいリーダーではないです。そんなにわかりやすい社長っぽさやガツガツさもない。だからこその自分のスタイルのあり方、戦い方があるんじゃないかと中竹さんへのインタビューを通じて思いました。

いやー、インタビューも書き起こしも楽しかったです。中竹さん、ありがとうございました!


今までの株主インタビュー

ちなみに全て自分が聞いて、書き起こしています。時間とエネルギーはかかりますが、株主の視点、言葉を理解する上でも続けていきたいです。

追記:写真は、2018年4月に行ったMATCHA株主合宿で撮影したものです。今度株主を交えたオンライン飲みでもやりたい。 photo by @yansukim

最後まで記事を読んでいだきありがとうございます。毎日更新をしているので、よかったらまた読んでもらえると嬉しいです。