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原研哉さん、隈研吾さんと語る「日本の文化資源とその活用法」

普段自分はあまり緊張することがないのですが、久しぶりにえらく緊張して、当日、翌日にエネルギー切れが続くような会がありました。それはJAPAN HOUSEフォーラムで行われた、日本デザインセンターの原研哉さん、建築家の隈研吾さんとの対談です。

いやーー、本当に緊張しました。ただ、その分とてもワクワクする楽しい時間でした。当日の対談の映像もYoutubeで上がってきたので、振り返りつつ、印象に残ったエピソードを3つ紹介していきたいと思います。


日本にある「プリンシプル」と「余白」

原研哉さんと隈研吾さんへの本題の第一の質問は「お二人にとって、日本が持つ文化資源とは?」でした。

原研哉さん曰く

日本にはプリンシプル(規律)がある。機密、丁寧、繊細、簡潔みたいなことですかね。日本の羽田や成田を降りても、トイレがきれいなのを驚きますよね。すごい掃除した痕跡を感じる。それはルールがあるから掃除をするのではなく、提供する人も享受する人も当然のごとくあるスタンダードを持っている。そういうプリンシプルを持っていることがすごく大きな資源だと思っています。

隈研吾さん曰く

入社試験を海外の学生も日本の学生も同じものをやらせるんですよね。ものすごいサンプルがあるのだけれど、日本の学生はなんか違うというのがある。日本の建築学科がレベル高いと言われているわけではないが、学生の図面で書いたアウトプットを見ると、日本人は丁寧であるのと同時に、ある種優秀なんだけれど余白がある感じがある。やりすぎない感じがのこっている。日本の良さには、余白の使い方があるんじゃないかな、と思うんです。

プリンシプルと余白。JAPAN HOUSEのロゴも、日本の日の丸も意味はない。意味はないけれど、見る人にとって意味が生まれる。それは多義的であり、空っぽとも言える。それが日本らしさであるという話も面白かったです。


街の音楽を聴くという意識で、街に入る

今回一番したかった質問が「原さん、隈さんが新しい土地に行った時、どんなポイントをみるようにしているのか。」です自分自身が日本全国を回る中で、新たな目線を持ちたいと思ったのが一番の理由です。

そこで強烈に印象に残ったのが隈さんの言葉でした。

その場所を景観と見るのではなく、音楽だと思っているんですよ。リズムが合って、楽器があって、音色がある。そこで演奏が始まっていて、そこに僕が入る。その場所でみんながどんなふうに演奏しているのかな?と考えて入るようにしている。そこにみんなが演奏している音楽があるんですよ。山とか森林とかも演奏者なんですよ。そこに自分がピアノの役割として入っていく。そこで変なピアノを弾くと、隈何やってんだ、と言われる。そう言われないようにうまく入っていく。

街を音楽と見立てる、、そんなことは考えたことがなかったです。これは自分自身がメディアをやっていく中で、訪日客を誘客する中でも持つべき視点だなと感じました。

その後に続く言葉で、いい音楽を聴くためには「体調や体力が大事」というのも非常に面白かったので、前後の話に関心がある方は是非聞いてもらいたいです。


コロナはいい準備期間

3つ目に印象に残ったことは、原さんのコロナへの捉え方。

コロナは、いい準備期間を自分たちにくれている。あのまま訪日客が4000万人を到達していたら、京都をロスしていたかもしれない。次々に外資系ホテルが入ってきていて、日本は出遅れていた部分があった。ポジティブに捉えると、準備期間と捉えることができる。

原さんがおっしゃるように、このコロナの期間は準備期間だと思っています。この間にどういう準備ができるのか。

インバウンドは必ず戻ってきます。3000万人、6000万人増えてた時に、以前と同じオーバーツーリズムという言葉が蔓延するような自体があってはならない。

そして、コロナの状況は様々な業界内、業界外の連携をするチャンスです。日本全体を巻き込みながら、今後も事業に向き合っていきたいと思います。


最後に

恥ずかしくなりながら、3回ほど見ました。

前半はまさかの時間が早まって、隈さんなしのスタートになり慌てつつも、原さんがサポートしてくれて成り立ちました。前半の硬さや形式なところは感じながらも、後半は個人的に聞きたかった「街の捉え方」の話を聞けたりと大きな収穫でした。原さんの言うスイートスポットが、自分にとってなんなのか?も考えていきたい。

同時に沢山の反省もありました。冒頭をゆっくり話す。質問の振り方。締めを自信を持って一言で終える。同じことを何度も繰り返し言わない。声を安定させる。単語が途切れがち。「えー」や「あー」を減らす。などなど、、、。ここは練習して改善していくしかない。

繰り返しになりますが、こういった機会をいただけたことは本当に感謝です。経験と継続は力になると根本さんにも言われたので、しっかりと糧にしていきます。自分自身が一番学ばせてもらった場でした。隈さんの言うように、日本全体の音楽の調和を作れるよう頑張っていきたい。

最後に。一緒に対談の構成を作った根本さん、酒井さん。対談のサポート頂いた新生さん、あやさん、豊島さんに感謝をしたいです。

映像も公開されました。ながら聞きでもよいので、聞いていただけると嬉しいです。おすすめは後半30分からです。


最後まで記事を読んでいだきありがとうございます。毎日更新をしているので、よかったらまた読んでもらえると嬉しいです。